映画じゃなくて原作のほうですが。
映画、見たいなあって思ってたんだけれど、原作が文庫が出てるらしいっていうんで先に読んじゃいました。
すごいっすね。ここまで容赦なく負の連鎖で書かれた物語って久しぶりにお目にかかった気がします。エクスキューズなしに人の負の部分だけを淡々と描いていく。負が負を生み出す。いやあ、すごいすごい。
まったく救いのない話であるにも関わらず、この物語が多くの読者を獲得したのは、その負の連鎖がもたらす救いのなさに爽快さを感じるからではないでしょうか。人間だもの。悪魔のようなことをしながら、言いながらも、どこか温情を感じるような一面を見せてもいい。実際、「こんなことしちゃったけれど、この人にはこういういい面もあってさ」というくだりも出かかるのだけれど、それを後の本人の告白でことごとくつぶしていく。すべてを負へ。偽悪へと落とし込んでいく。
いやあ、気持ちいいっす。
正義の人がふたりばっかり出てきます。でも、不思議なほど彼らに共感することはない。むしろうっとうしく、余計なことはしないでくれとすら思ってしまう。その希望どおり、彼らの願いは叶うことなく最悪の結末を迎える。
すっきり。
映画「プレシャス」のような悲惨な物語に希望を感じ、救いのない負の連鎖の物語に爽快さを感じ、で、正義をアジる義民の物語にはうさんくささを覚える。人間ってそういうものみたいです。