【２０２０年３月４日】Ｎｏ２２７
以前の事になります。
２０１５年８月
暑い夏の真っ盛り
１件のお宅が完成しました。
リビングの上がロフトの様になっており
コンパクトながらも立体感あふれる
そんな家でした。
暖房方式は床下のエアコン
冷房はロフト上部のエアコンで行います。
当時から
冷房は上から
暖房は下から
という理念はありましたので
やはりこちらのお宅も
その理念に即した設計となっております。
しかし、住宅に関する様々な書籍を見ると
床下エアコンで夏も冬も快適！
といった記事を
何度か見かけたものでした。
床下のエアコンで冷房することに
懐疑的な私は
本に書かれていることは
あくまでも本だから・・・
ぐらいにしか思っておらず
本気で床下エアコン１台で
冷房も暖房もしようとは
全く思っておりませんでした。
こちらのお宅
８月下旬に開催する内覧会まで
１週間ほど時間的余裕がありましたので
床下エアコンによる冷房は
如何なるものか？
これ幸いとばかりに３日間ほど
検証実験してみました。
右側のサーモグラフィー写真において
濃いブルーになっているのが
冷房運転している床下エアコンです。
夏ですから窓から熱射が侵入しているのがわかります。
キッチン脇の小さな床スリットからも
冷気が押し出されており
空気自体の流れは良好なようです。
冷たい空気は密度が高いので
重くなります。
重い空気は本来下に溜るので
重力に逆らってもこのように
押し上げられている
ということは・・・
暖房時においては文句無しの
空気の流れが得られることを
確信したのでした。
この点に関しては
思った通りなので
良かったことです。
ところが時間が経つにつれて
冷気は１階全面を下の方だけ
覆うようになりました。
それは他の部屋でも
顕著に起こりました。
ヘソから上くらいから
温度の境目が顕著です。
内覧会の準備中
３日間ほど試験的に
床下エアコンで冷房運転
をやってみました。
連日３０℃を超える猛暑日でしたので
家の中に入った瞬間は
涼しくてとても気持ちの良いものでした。
ですが数時間～半日
内覧会の準備で家の中に居続けると
まず 脚が痛くなってきました。
そして次に
昔、膝の靱帯を損傷するケガを
した事のある私の場合
古傷が痛くなりました。
下に溜った冷気を攪拌するために
サーキュレーターを用いると
大きく改善されることでしょう。
ですが、部屋ごとにサーキュレーターを
設置する必要がありそうです。
また、床下から冷やされているので
足の裏の接する床表面そのものは
冷たいままです。
床より上の空気は攪拌されて改善されても
足の裏で冷たいと感じることが
いかに夏と言えども快適と感じることは
無いのではないかと思います。
床下エアコンを冷房で運転するとどうなるか？
実験期間はたったの３日で
『決して良いものではない』
という結論に達し
実験を終えた日から内覧会当日までは
上にあるエアコンでもっぱら冷房する
本来の方法に切り替えました。
するとどうだったかというと・・・
カラッとした爽やかで軽い空気が
満遍なく家中の部屋全体を
包むではありませんか。
上からの冷房の方が
遥かに心地よい。
やはり
冷房は上から
暖房は下から
これを裏付ける
出来事となったのでした。
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