とある夏の日の午後。
汗ばむ身体とは裏腹に、心は躍りながら
待ち合わせの駅を目指した。
つい先ほど、「もう着いたよ」と彼女からメール。
込み合う駅の雑踏の中、彼女だけが色鮮やかに見えた
ゆっくり近づく
あと5,6メートル
まるでスローモーションのように
彼女は僕の方を振り向いた。
「おう、ユウ 久しぶり、待たせたかな」
「ううん、全然待ってないよ」
それ以上互いに言葉が出てこない。
二人並んで歩き出す。
「喉乾いたね」
「うん、カラカラ」と彼女。
右手をぎこちなく彼女のほうへ。
さりげなく彼女は左手を絡めた。
汗ばんだ手のひらは暑さのせいだけではなかった。
大多数の夫婦は、年月がたつとどうして手を繋がなくなる
のだろう。
スキンシップは大事だよな、などとこの状況に至っては
不謹慎なことを考えていた。
程よくクーラーの効いたこ洒落た店。
キンキンに冷えたビールで再会を祝って乾杯。
「うまい!」と僕
「ん~美味しい」と彼女
日頃のメールでは何でも話していた。
メールの回数が足りないほど。
もどかしいほどに。
今はすぐ隣に待ち焦がれた彼女がいる。
会話の一つ一つが全身の神経に行き渡る。
ビールが2杯3杯とすすんでいく。
逢う前は若干の緊張と不安も、もうすっかりない。
酒の力も手伝って、彼の耳元で
「早くユウを抱きたい」と言った。
「うん」と頷く彼女。
彼女の白い肌が淡いピンク色に見えた。