まず、テクニカルな面だけで言いますと、貫井徳郎さんの衝撃デビュー作『慟哭』。あの作品のラストこそ、読む側の予想を完全に粉砕する。

この小説には、あの作品のテイストが感じられます。

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そして『桐島、部活やめるってよ』の展開。
同じ場面を全く違う人物が見ている。主観が入れ替わるのね。この小説の最終章。「おんなたちの審判」で、クライマックスを迎えるシーンがそうですね。

作品全体は、リアルな刑務所の実態です。
死刑囚を中心に、むしろ刑務官の実態に迫るのです。これは経験者でないと書けない、いわばばくろぼんとしても有効です。

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映画で言うと『ショーシャンクの空に』とか『グリーンマイル』などでしょうか。囚人と看守が心を通わせる、という展開は『グリーンマイル』かな。

そして、その死刑囚の生い立ちに遡ると、ガス・ヴァン・サントの『グッド・ウィル・ハンティング』も重なります。幼い頃、親に捨てられて、里親を転々とすると、子供は果たしてどう育つのか。

最後のどんでん返しもまた凄い。

なぜ、おんなたちなのか?

涙が止まりません。
どなたかが、ドストエフスキーの『死の家の記録』ではいか、と例えられていましたが、それも然り。

絶望に重なる絶望の行く末とは?

あとはお読み下さい。
感動で心が震えます。
(=^x^=)