朝、声が聞こえる。
艶があって、柔らかい、落ちてしまいそうなほろ苦い大人な感じ。そう、キャラメルプラリネみたいな声。
「あねこちゃん、朝だよ。」
「白・・・・お兄ちゃん・・・・・」
「よく寝れた?」
「うん、いつもより。」
「よかった。はい、あねこちゃん、アーリーモーニングティーだよ。」
渡されたカップを手にとって、飲んでみる。
「おいしい!でもこれアールグレイか・・・・あたしはダージリンが好きだな。」
「じゃああしたはそっちにしようか。」
「オンリーでね!」
「へっ・・・・・」
白お兄ちゃんに着替えを手伝ってもらって、階下に降りる。
キッチンに行くと、いい匂いがしてきた。
「おはよう!あねこちゃん!」
甘くて、心地よくて、弾ける様に爽やかでいて、包み込むように優しい声。まるで冷たいレモネードみたいな。
おじ様だ。 どうやら、朝ごはんを作ってくれたらしい。
メニューは、トーストと、コンソメスープと、生ハムとレタスのサラダ、
ほうれん草とウインナーのバター炒め。
ちゃんといただきますして、食べた。
やっぱり美味しかった。こうゆうしっかりした朝ごはんを食べたのは久しぶりだ。
終わったらちゃんとごちそうさまして、出ようとしたとき。
「あねこちゃん!・・・・ほら、髪の毛グチャグチャじゃない。こうやって・・・・よし、完璧!」
「ありがとう、おじ様。」
結びなおしてもらったおさげが揺れる。
重い鞄も、今日は少し軽く思える。
「いってきます!」
「「いってらっしゃい」」
玄関をでると、真ちゃんがカプチに乗って待っていた。
「かんぺん、行くよ。」
やや乾いていて、ピリってするけど、それがどこか懐かしく感じる、ジンジャークッキーのような声。
(アウディがいいのにな・・・・・頭〇字D見すぎだよ・・・・・)
そう思いながらも、左側に乗る。
真ちゃんが免許持っていないのは内緒ということで、学校に行く。
ああ、この学校さえなければ、あたしは完全な幸せを掴めたのかもしれない。
なんて思いながら、新しい生活が始まったあたしが、校門に足を踏み入れた。