時はオールウェイズ…
私がまだ利発そうな小学生だった頃のお話。
なぜか張り切った父親の思いつきで
数ヶ月に一回、
“家族で外食”というイベントがあったんデス。
もともと我家は
“いつもお家ご飯”的な家風(?)だったので、
気軽に外食~とか出来るような雰囲気じゃなかった。
普段食べてるモノは、母親が作るフツーのご飯と
「和食のおかず+パン」という
当時よくあった妙チクリんなメニューの給食のみ。
そんな当時の私にとって“外食”っていうのは
まぁ言ってみれば
“海外旅行”くらい未知の世界なのだった。
お店を早めに閉めて、
車で20分くらいの市街地に向かう。ワクワク
そして連れて行ってもらった先は…
トンカツ屋さん。ドキドキ
よく憶えてないけれど、
多分カウンターだけしかないような小さなお店
…だったんじゃないかなぁ。
とにかく初めてカウンター席というものに座った私は、
わけもわからず(当たり前か)
父親と同じ「ヒレカツ」を注文したのだった。
「ヒレ」ってなんだ?( ̄ー ̄;
一抹の不安を感じる小学生を尻目に
板前さんはキャベツを出してきて半分に切る。
そして
ストトトトトトトトトトトトトトトト♪
おぉぉ~すげぇ!(@▽@)ノ
正確なストローク、
迷いのない包丁さばき、
もうね、いきなり目が釘付けデスよ。
あっという間に
4人分の糸みたいに細いキャベツを切り終えると
お皿の上にさくっと盛り上げる。
お次は肉を出してきて切り分け
粉をまぶして卵を通し、パン粉をつけてデカい鍋に
ジュワワワワワワ~♬
流れるような無駄のない動き。
母親には悪いけど
料理してる姿をそれまでなんとも感じた事はなかった。
でも、このとき初めて思いましたよ。
カッコェェ*( ̄∀ ̄)*
やがて、
揚ってきたヒレカツの色の
なんと美しいこと!
そして、
包丁で見事に切り分けられた肉が
キャベツの上にスッと品良くのせられて、
とうとう私の目の前にっ!
おぉぉ~、
これが「ヒレカツ」っていうモノか。
たしかに
家で出てくるトンカツとはちょっと違う。
なんだか、とっても美味そうだ~…。
「いただきま~す」
ソースをかけて、迷わず肉にかぶりつく。
サクッ!!
うおぉぉぉ!柔らかっ!о(>▽<)y ☆
家で食べてるトンカツと違うっ。
何が違うって、何もかもが全然違~う!
これがようするに「ヒレ」なんだな♪
柔らかいのにちゃんと噛みごたえもあって、
肉の味わいがお口いっぱいにジュワッ!
それが
衣のサクサク感と絶妙なハーモニーを奏でながら
私の身体を駆けめぐってゆく…。
「おやぢ、良い仕事してるじゃないか!」
…とは小学生だから言わなかったけれど、
私はモグモグとご飯を口いっぱいにほおばりながら、
カウンターの向こうにいる無愛想なオヤジさんを
かなりの角度⤴で尊敬していたのだった。
当たり前みたいな顔をして、
こんな美味いものサラッと作るなんてこの人…
超クール!≧(^▽^)≦
いやはや
大人になって自分で料理を作るようになると
尚更あの板前さんのスゴさが身に沁みる。
あの美味さ、優雅さ、ハンパねぇ。
…ってゆーか、
プロってやっぱすごいな!
無駄のない美しい動きっていうのは
踊りや音楽にも通じるものがありマスよね~。
武道だって、
動きの綺麗な人はまず間違いなく強いし。
あ、そう言えば
スポーツだって一流の人の動きって綺麗だもんね。
逆に言うと、動きを見れば
その人がどれくらいの“しごと”をするのか
判っちゃうって事デスよね。
ひょっとしたら…
見る人が見れば、“しごと”どころか
もっといろんな事が判っちゃうのかもしれない!
この人は正直な人間だ、とか
こいつは仕事の出来ないヤツだ、とか・・・。
う~ん、あんまり自分の中身がダダ漏れないように
普段の動きも気をつけなくっちゃ…
とか言っても、どうしたら良いのか全然わからんし!
…とりあえず
トンカツ屋のおやぢさんを参考にして
自然体 ( ̄▽ ̄)
って感じにしときますかね。
最近の美術館のカフェはとってもおしゃれ。これは新国立美術館でいただいたマンゴーケーキ。お味の方も甘さちょっと控えめな大人の美味しさ。落ち着いた雰囲気でカップルにもぴったり、なんじゃな~い?