先週観に行ったのに今頃書いてるqqqq
日曜のレッスンがお休みになったので、レビューを書く時間が出来ました。
『イブ・サンローラン』で 生き写しのようなサンローランを演じて話題になったピエール・ニネが天才的聴覚を持つ音声分析捜査官を演じるサスペンス。
実在する国家機関BEA(航空事故調査局)の全面協力
…つーだけあり映画の前半はナカナカのモノです。
話の作りはネタバレ的に言うと
'19年に起きたエチオピア航空302便の事故と、数年前から問題視されている ボーイング737MAXの墜落事故が株絡みという話をあべこべに混ぜた作り。
航空会社のセキュリティ、雇用、事故調査、安全保障、新型機開発云々の裏側も織り交ぜている所が良かったと思います。
主人公の設定+劇場の効果音上、耳鳴りある人には…お勧め出来ない、いやホント。三半規管が弱い人にはキツい映画かもしれん。
監督は、この作品の前に 『パーフェクトマン 完全犯罪』でピエール・ニネと組んだヤン・ゴスラン。
監督飛行機メッチャ怖いらしい(爆)
前作『パーフェクト~』はオヨヨな出来でお蔵入りしてしまったのですが(涙)
今回は何とか劇場で公開できるレベルまで作品仕上がってます。
そんなワケで予告編こちら、あらすじいってみる。
ドバイ発パリ行きのヨーロピアン航空24便がアルプス上空で墜落。
乗客300人乗務員16人全員死亡。
24便はアトリアン800型、ハイテク企業の新型機ということもあり仏政府はBEA(航空事故調査局)に連絡。
司法警察立ち合いのもとBEAの主任音声調査官ヴィクター・ポロック(オリヴィエ・ラブルダン)がブラックボックスの回収、事故原因を探ることに。
ブラックボックスの音声分析には主任であるポロックの他に現場で天才的な聴力を発揮するマチュー(ピエール・ニネ)が同行するはずだった。
しかし直前にヘリのブラックボックス分析で意見が対立したこともあり、ポロックはマチューを担当から外し、ポロックは独りで事故原因を探り始めた。
マチューの妻のノエミ(ルー・ドゥ・ラージュ)は新型航空機の認証機関に勤め、能力の高さを航空会社から買われていた。
彼女はマチューに、アトリアン800は認証試験にもパスした完璧な航空機だったと言った上、アトリアンは800の次の機種を開発中で もうすぐ認証試験があるはずだと教えた。
疑問が解けないマチューを待っていたのはポロックの突然の失踪。
レニエ局長(フィリップ・デュソリエ)はマチューを呼び出し、ポロックの代わりに今夜7時に開く記者会見までにブラックボックスの音声データを解析しろと命じた。
マチューは音声分析をはじめると墜落直前にノイズまみれになったコックピット内の音声を1つ1つ拾い上げていった。
その結果、客室乗務員がパイロットに食事を運ぶためにコックピットに入った際、トイレに隠れていたヘッドフォンをしたイスラム系の男(ハッサン・ガンシー)が 犯人ではないかと分析。
その日の晩の記者会見で『テロだったという事ですか』と記者から問い詰められたマチューは答えられず、しどろもどろになってしまう。
レニエ局長が巧くとりなしたものの、その後の世間の憶測は加熱するばかり。
マチューは、あの時の分析で良かったのか…と考え込んでいた。
一方記者会見でのマチューの仕事ぶりを評価した局長は、ポロックの後任として調査の責任者に任命する。
いきなり降りかかった重責に戸惑うマチュー。
その後、アトリアン800の遺族から連絡があり、亡くなった乗客が残したボイスメッセージを 聞いたマチューは、ブラックボックスの音源が改ざんされていることに気づく。
すぐさま局長に報告したマチューだったが、全く相手にされない。
ポロックが謎の失踪をとげた理由は何か真実を掴んだのではないかと悟り、マチューはポロックの自宅に侵入
ドライブレコーダーを持ち帰る。
すると、失踪前夜、ポロックと映っていたのはマチュー夫妻の航空学校時代の同窓生のグサヴィエ・ルノー(セバスチャン・プドルース)だった。
ルノーとポロックの接点とは…。
以下ネタバレです。
マチューはカッコよくいえばエリートなんすが、仕事はヲタなのです。
演じたピエール・ニネは、役作りの時に実在のBEAの分析官をリサーチして本作に挑んだのだとか。
その結果マチューのように、上着かける位置や、ノート、鉛筆を置く位置、ヘッドフォンをしまう所にもこだわりを持つキャラクターが 出来たらしい。
この辺り『イコライザー』でデンゼルが演じたマッコールと良く似てる。
マチューを演じたピエール・ニネのインタブーがこちら
ヒゲモジャですな。
役作りで、必要以上に取りつかれて神経質になるあたりは 『アビエイター』も参考にしたらしい。
映画の最初の方で、ポロックとマチューはブラックボックスの音源と動画の録画照らし合わせながら事故原因を探るシーンがあります。
ポロックは事故原因だけ追究して調査を終わらせようとするのですが、マチューはこのエンジンと同じものを積んだヘリは再点検する必要があると言い張るのです。
ポロックは、そんなことしたら航空メーカーが損害こうむるだろとお前は青いわーと怒って音声分析室から出ていこうとする所で局長に呼ばれ、アトリアン800の事故を知ります。
いつもならマチューを連れて分析するのですが、ヘリの分析の様な経緯があったばかり。
一抹の不安を感じたポロックは、マチューを優秀だけど担当から外すことにしたのです。
担当外されたマチューは、思わぬヒマが出来て奥さんのノエミから『航空学校の同窓会行かない?』とLINEおくられてきます。
仕事以外興味ゼロで、とりあえず行くんすが、
性格上会場で、ぼっちになるマチュー(涙)
奥さんモテまくりで、アトリアンからヘッドハントされる噂もある社交的な美人。
そこに颯爽と現れるのが、航空機を専門としたセキュリティ会社を興したルノー。
マチューの奥さんノエミにもアトリアンに売り込んでくれと自信満々。
マチューはルノーは旧友なんですが、な~んか嫌な存在なのです。
奥さんが認証だした飛行機にケチをつけるのが旦那の仕事なんだから、面白くないだろうけど こぎれいなインテリフラットに帰ってきても家庭内離婚状態。
お互い今の仕事は、それなりに面白いんすが、マチューが能力の割に同僚+部下+上司+取引先から正当に評価されず 孤立する一方なのに対し
奥さんは、どんどこ株をあげている。
そりゃ~旦那であるマチューは奥さんを愛していても、 どーだっていーわあほたれー…になるのも無理…はない。
ブラックボックスの音声分析の結果、事故が人為的なものか機械の故障かを見抜き 対策を施すのもマチューの仕事なんすが、毎回毎回『この間の事故は人為的ミスだから今後は気を付けてね』と操縦士に言い杉ると操縦士から嫌われて当たり前なんすよね。
この日もマチューはアトリアン800に乗る予定だったパイロット・アラン(グレゴリー・デランジェ)に、言われた一言で目が覚めるのです。
『何かと人為ミスにしがちだが、最新式の航空機の自動操縦システムについて勉強しているのか』
マチューは自動操縦システムにも欠陥があることまで考えが及ばなかったのです。
マチューはルノーを呼び出しドライブレコーダーの写真を見せて、これは何だと詰め寄るのですが、ルノーはのらりくらりと逃げ切ります。
上司が行方不明だからって上司の家に夜中に不法侵入して、ドラレコ盗み出すって(汗)
不審者そのものじゃんマチュー(汗)
それで『証拠あるぞー!これについて説明したらどうだー!』ってルノーに鬼の首とったように詰め寄るあたりどうなのか、と思ったシーン。
ポロックが行方不明になった時点でポロックの車のドラレコを司法警察が回収してないってのもおかしいなーと思い映画観てたんすが(涙)
…この映画どうも話の作りと伏線回収が甘すぎる…。
ルノーもルノーで『そんなん言われてもいちいち説明してられへん…』とアタフタ。
この理由は最後の辺りで真相が判るのですが、 航空セキュリティ会社が売上を重視するあまりに、肝心の技術確認を行った…て話です。
ルノーにそっぽ向かれたマチューは、アトリアンの自動操縦システムに欠陥があるのではと考え、まさかの
奥さんが寝ている間に、アトリアン800自動操縦システム装置のデータを盗みます
奥さんのノエミもノエミで、旦那のマチューのこと、ことごとく無能扱いしてるなー感がある+無能扱いし杉でとばっちり喰らった感がある…と思ったこのシーン。
マチューに、もしかしたらアトリアンの自動操縦システムに欠陥があったかもしれないからデータみせろと言われ『守備義務があるから見せられない』と言った割には
自分のラップトップに入れている…すよね大事なデータ(涙)
旦那がこの手のお仕事に関してズブの素人でも気を付けないとイカんのに、そんなに簡単にデータコピーされていいのかと。
マチューは、データをコピーする前にノエミのスマホにルノーからLINEが入ったのを見てしまうのです。
会食の予定なんすが、ルノーはノエミをヘッドハントしようとしてたんすね。
まーヘッドハントだけが目的じゃーないんでしょうが。
見なかったことにしてマチューは、さりげなーくノエミにルノーと会食行く日に、以前行った日本食レストラン行かない?と 誘うのですがノエミは、しゃーしゃーと『その日仕事があるから』と大嘘つくのです。
仏の顔も三度までのマチュー、禁じ手でデータのコピーを取って上司のレニエ局長に持っていきます。局長はノエミが マチューの奥さんだと知ってるので、データの出典元は判ってるのです。
そこまでして手に入れたアトリアン800の自動操縦データなんすが、本体に手を加えられていなかったことが発覚。
夫の早とちりでとばっちりを喰らったノエミは情報漏洩でアトリアンへの転職を取り消され、マチューをフラットから追い出してしまいます。
…その前に浮気してた貴方も貴方だと思うんすが…。
家を追い出され姉ポーリーン(マリー・トンプニア)の家に転がり込んだマチューは、何もすることもなくゴロゴロとする日々。
甥っ子テオ(オクターヴ・ボーセット)を外に遊びに連れて行ってと言われ、渋々外の公園に連れていきます。
ドローンを飛ばすテオを見て航空学校時代はパイロットになりたかった夢を思い出すマチュー。
視力検査で落ち、聴力が優れていることを見出され、今の仕事についたものの、失うことの多さにめげかけたその時、テオがこんなことを言うのです
動かしてないのにドローンが勝手に飛んでいく
テオが何もしていないドローンは、近くで別のドローンを操縦している少年たちの所に飛んでいったのです。
アトリアン800の墜落は、ハッキングによるものかもしれない…。
アトリアン800の社内カメラから、マチューはラップトップPCを操作するアラブ系の男を見つけます。
事故機体を保存する倉庫に出向き、男が座っていた位置を確認し乗客名簿を確認。偽名で乗り込んでいたのです。
部下のサミール(メイディ・ディジャージ)の力を借り、社内カメラの顔写真とルノーの会社ペガサスの社員名簿を照らし合わせると、 男の名はデヴィット・ケラー(マーク・バリス)であることが発覚。
ケラーは事故三カ月前にペガサスを解雇された従業員で、システムの脆弱性を見つけてはハッキングしたことで逮捕歴がありました。
アトリアンを敵に回したくないBEAはマチューを更迭。
マチューはサミールにアトリアン800のドバイ発の搭乗当時の名簿を取り寄せるよう命じます
業務を引き継ぐ同僚のバルサン(ギヨーム・バルサン)から音声ファイルのアクセスをしてくれと頼まれ、 音声ファイルを開くと、そこにあったのはアトリアン800の一件前にポロックと揉めていたヘリの墜落事故の映像と音声ファイルでした。
がっ!まさかの!
全然関係ないはずのヘリの音源まで改ざんされていることに気が付くマチュー
音声データの空白部分のピッチを下げると、とある土地の座標を示す数字を言っているのに気付くのです。
あまりにもブラックボックスに取りつかれているので無能有能のブレっぷりが激し杉なマチュー。
周りの人間は、こんな奴業務の支障になる+信頼損ねるからカンベンしてくれー!つーので更迭しようとするのです。
が、それで諦めないマチュー(しぶとい)
座標に示された所まで車で行くんすが、どうやらそこはポロックの家の敷地内
ポロックの家の敷地の裏にある森の中通り越して、
真夜中のクソ寒い池の中
…なんですよ…音源と光のある位置が…
イチがバチかで泥水の中に素潜りして回収したのが
モノホンのアトリアン800のブラックボックス
事件の真相を握るモノホンのブラックボックスを自分の裏庭の池に捨てる上司って何なんだと思いますが(汗)
こんなんでコ○ナや肺炎かかったら元も子もないしーってので、ブラックボックス回収後は着替えて、ポロックの家の地下にある解読機で解読します。
すると映ったのはポロック(おい)
これをみてるのはマチュー君だろう
ええええええ?それって何?ってかオッサン殺されてる?失踪してる?それすらも描かれていないですが?
失踪前のポロックとルノーが密会しているのがドラレコに映っていたのは、ルノーがポロックにコンタクトをとったからなのです。
アトリアン800の墜落事故の原因はケラーと、セキュリティ会社ペガサスの欠陥が原因
ケラーはペガサスのシステムを『ある程度』は知っていたので、クビになった腹いせにシステムに侵入。
これがマチューがブラックボックスで捉えた『コックピットのヘッドフォンの雑音』です。
ルノーは『航空機のセキュリティは客席と別だからハッキングなんてありえない』とマチューに言い張ったのですが ケラーのように航空機セキュリティやハッキングの専門だったらどうか、という話で。
操縦士がヘッドフォンに雑音が入ったぞといってヘッドフォンを外した時に、ケラーは飛行機の自動操縦をコントロールして タチの悪いいたずらをしていたのです。
これがマチューが『アトリアン800の自動操縦システムそのものに問題があるのでは』と カンちがいした所につながります。
が、ここからが真相。
ハッキングされた時は、飛行機がコントロール不能になって墜落してしまう
ケラーは墜落する飛行機の中で、自動操縦システムを切り替えようとしますが、操作不能になってしまいます。
その頃ノエミはルノーと食事をしてたのですが、ルノーはまだ発表前の情報を口にしたことで、ノエミは彼の会社ペガサスが アトリアン800の事故につながっていると確信。
マチューもまた事故の原因を掴みダウンロードし、情報をノエミのPCに送ります
あと1時間で帰るから
が、ポロックの家に何者かが侵入、マチューはノエミのPCに何とか情報を送り、慌てて車に乗り込み追手を振り切るのですが
途中で車のナビが故障、激しくなり出し、衝突事故を起こし、帰らぬ人になってしまいます。
数日後、ペガサス社の講演会に招待されたノエミは、ルノーのプレゼン中にステージの巨大スクリーンにポロックの映像を流しました。
あの日マチューが命がけで手にいれたブラックボックスの映像だったのです
同じデータは講演会に臨席する人のスマホやタブレットにも映し出され、どよめきが置きます。
ルノーから依頼されて事故の音声データを改ざんした…
ポロックの声が会場に響く中、ノエミが後にする所で映画は終わります。
この映画、前半は良い作りだけど後半尻つぼみだとか色々言われていますが、ま~航空業界を取り巻く闇や、 同じ夢を追っていたはずの夫婦のすれ違いを描いた作品としては、まぁまぁの出来ではないでしょうか。
マチューは音声分析の第一人者ながら、内向的かつ社交性ゼロ。
音だけで決めつけるガンコな面もあればデータ重視の天才肌なので、パイロット受けも悪く、 捜査を進めるにつれ航空局の幹部や航空機メーカーの大物たちの妨害に遭うのです。
そんな彼の性格をよく判っているのが彼を育てたポロック。
往年の名優だったリノ・バンチュラにケヴィン・スペイシーを混ぜたような彼は、能力さえあれば 認めて貰えるはずじゃー!と張り切る若き部下を、アトリアン800の調査にわざと同席させない。
運が悪けりゃ~殺されるだろうし(涙)真相解明が目標なのに、ツブされると困るからです。
真相解明の代償としてマチューは命を落とすことになるのですが、真相解明の為なら奥さんのキャリアも 台無しにするダンナってのは、いかがなものなんでしょうか?
遺されたノエミは旦那が命を張って真相を解明してくれたからアトリアンに転職できるのだろうけれど、 航空業界で役に立ちたいと思った昔の夢は、旦那の死と共に打ち砕かれてしまった…と思うのですね。
この映画気になるのは、マチューをシブとく追い回していた黒のアウディ。
アレってなんだったんでしょうか?