労働者たちのコーラス隊(原題名:Heat Singers '19年) | Que amor con amor se paga

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旧ソ連時代の旧態依然としたセントラル・ヒーティングの暖房システムを今も使い続けているウクライナ。​

セントラル・ヒーティングって日本では、北海道の一部しかないんだけど、むかーしむかーし、オイルショック以前の日本では『夢の様な暖房装置』みたいに言われてた時期もあったって話を、後期高齢者のスイミングのバーサンから聞いた事がある。

セントラル・ヒーティングの原理はこちら。



日本のごく一部で使われているのは不凍液(車のエンジンのラジエターに入ってるアレ)
だけど、今回の舞台になるウクライナでは、そんな親切ではなく

国のお湯工場

…みたいな所で、せっせとお湯を沸かして、各家庭(アパート)の建物にお湯を配って建物全体を温めるという暖房システム。

原理聞けば『合理的で理想的』と思うかもしれんけど、木造家屋が多く各部屋暖房が普及した日本では、セントラル・ヒーティングが普及しなかった。

…そんなセントラル・ヒーティングのメンテナンスを『今も』行うという、石器時代なお仕事+その労組メンバーで結成されたダサイモ(失礼)コーラス隊『マリーゴールド』のドキュメンタリーが今回の話。

ドキュメンタリーつーだけでも、監督の手腕+題材によっては面白おかしくなったり、
『つまらんな~qqqqq』と思う様になるのだけど。

今回のドキュメンタリー、長編が初めての女性監督が手掛けたせいか、

3回みて、ようやく話のあらすじがつかめたという、ダラダラ感qqqqq

予告編m、ググっても出てこないので、なんちゅーシャレ気のないポスターqqqqq

労組+コーラス団代表のオッサン・イヴァンの肖像が真ん中qqqq



そんなワケで、あらずじいってみる。(多分だれも観ないと思うのでqqqq)

ウクライナは、どの建物にも原則旧ソ連時代のオンボロ暖房装置『セントラル・ヒーティング』が通っている。

国営の『お湯工場』で沸かしたお湯が、ビルもしくは、各家の配管を通り、建物全体を温めるという原理としては夢の様な装置だ。

ドイツやポーランドでは、セントラル・ヒーティングのメンテナンスや技術開発が進んだが、ウクライナは未だ

旧ソ連時代のオンボロセントラル・ヒーティング

…を使ってる。

度重なる紛争で経済発展で、取り残された事+
立地的に、EU諸国とロシアに挟まれる位置にあり、軍事的にも重要な拠点とみなされた事から

自国の製品は安く、輸入製品はバカ高いハイパーインフレが止まらない(涙)

ジ〇バブエほど恐怖のインフレではないが

去年まで3万円だったモノが、今年は1万円切りました(ガビーン)という事は当たり前。

労働者の賃金は下がる一方のウクライナ。
セントラル・ヒーティングは稼働していないも同然。

給料上がらないのに物価があがる。

部品もないセントラル・ヒーティングで供給と保守点検を行っている通称『暖房公社』は、日々利用者からのヒステリーまがいのクレーム電話にさいなまれている。

去年も暖房がきかなかったのに、たらいまわしにした挙句暖房費だけ踏んだくるオタクの会社どうなってんの?!

…と延々怒鳴り散らす客の相手を毎日するコールセンターのおばさん。

今日は配管の漏水相談の日だと言っても暖房相談の電話がある事は日常茶飯事。
客は客で、ハイパーインフレの中で暖房費混みのアパートに住んでいるのに、暖房が全く効かないのだから、怒るのもムリはない。

修理担当の社員は『クレームの電話を受けるだけで頭がおかしくなりそうだ(涙)』と泣きそうになるが、女性社員はシビアだ。

クレームは暖房公社にかかってきたものであり、私個人宛にかかってきたものではございませんので



セントラル・ヒーティングのお湯を、各家庭(建物)に届ける為の配管や、修理するネジ一本、工具も全て

旧ソ連製で在庫ゼロ(マジか)

古いモノを、騙しだまし使ってるか、なんちゃってな部品で修理する。

ヒーティング用配管は壊す予定のアパートから拾ってくる。
それを無理やりつなぎ合わせて、アパートの漏水修理に使うのだ。

サビていようが、海底から引き揚げて藻まみれになっていようが、修理する時に使えれば貴重な部品。←おい。

セントラル・ヒーティングの暖房配管の工事に行ったはずなのに。

アパートの電気回線がむきだし+ショートしているのに出くわし、ビビり、このままでは火災になるからと無償で修理して帰る暖房公社の面々

そんな彼らのまとめ役になっているのが労働組合の組合長の、イヴァン・ヴァシリオヴィッチだ。

労組メンバーでコーラス隊『マリーゴールド』を結成した理由は、会社で練習が出来る事、費用がかからない事、イベントにそれほどでなくて済むので、会社から睨まれなくて済むという理由だった。

『マリーゴールド』が歌うのは、ウクライナ民謡。

ダサくて暗いqqqqq



イヴァンは、マリーゴールドの活躍を知ってもらおうと、労組のメンバーたちに、他の公社(水道局や福祉局など)が主催するイベントいにも出るよう労組のメンバーを促すが

労組の面々は労組の会合は、私用を挟んでサボるqqqq

今回のイヴァンのお願いは、水道局?が主催する綱引き大会(おい)に出場してくれという事。

閉会式でマリーゴールドの面々は歌わせてもらえるからだ。



労組全員がコーラス隊『マリーゴールド』に関心があるとは限らないし、
今回の綱引き大枚でも最低施行人数の6名かき集めるのに必死。

前回の運動会は、労組から誰も参加せず、医者や近所の住民をサクラにして出場させたイヴァン。

イヴァンは

ビリでも参加する事に意義がある

…と熱弁をふるうが、当日の綱引き大会は、まるでどこぞの田舎の町内運動会。
これじゃ盛り上がらない。

水道局や福祉局、彼らが所属する暖房公社も、何でこんなに盛り上がらない運動会やイベントに、参加してんの??

…とドキュメンタリーを観ながらギモンに思ったんだけど。

そもそも、ウクライナって街がめちゃくちゃ汚い(涙)

娯楽とおぼしきモノがなさそう(汗)

そんな中、暖房公社の面々は

暖房費混みで家賃払ってるのに、全然暖房きかない+修理にこないじゃない!

…という住民の最もな苦情+時にヒステリーなクレームに耐え、
ありあわせの工具を携え、国民のアパートや家に赴き修理に行く。

ハイパーインフレなので、皆スマホじゃなくてガラゲー(折り畳み式じゃない)
しかも

料金払える程、懐に余裕はないので、固定電話から受けることしかしない。
LINEやインスタ、ZOOMなんかないよ?むこうは
それでも生きている人はいるわけだ。

SNSツールで繋がらないといきていけないとか女々しいコトいってるの誰だよ、おい、そこのお前に言ってんだよ、お前!

話を戻す。

ドキュメンタリーの中で、去年の冬から暖房がきかないとヒステリーに怒鳴り散らしてクレームを言い続ける客がいるんすが。

映画の最後の方で、公社の面々が修理に良くのです。



普段はビルの中にあるヒーティングの配管をタバコバカバカフカしながら修理するという、トンデモ行為に出ているオッサン連中。

今回修理に出向いたのは、家の中。

今まで建物の外側の配管の故障が多かったセントラル・ヒーティングだったものの、今回の修理は、家の中にある配管の水漏れ。

女性の家は、アパートの中をむき出しの金属の配管が走り、そこが破裂してお湯が漏れているという、トンデモな事態。

破裂した配管の部分にタオルを巻いて住民の女性は

近所の住民には、修理してもらったってウソを言っている。

うちの家には足が不自由な車椅子の母がいるし、まさか修理して貰ってないとはいえない


…と嘆くのです。

暖房公社からしてみれば、数あるクレームの1つかもしれない。

でもクレームを出す方からしてみれば、生活を左右する一大事だという事。

今までクレーム処理を、面倒だ、ジャマだと聞き逃しスルーしていた暖房公社の面々は反省し、女性の部屋の水漏れをきちんと直して帰って行くシーンは良かったと思いました

ポンコツ同然のセントラル・ヒーティングを維持して半世紀。

ボイラーの着火は毎日不完全燃焼。
部品も工具も新品ゼロ
ビル解体現場で部品漁り


…労組に集う社員は、今年こそ賃上げが見込めると僅かな期待を寄せるものの、社長はのらりくらりと言い逃れし、今年も賃金を上げなかったのです。

創業50周年を迎えるにも関わらず、勤続10年未満の写真に休業手当がつかないのは何故ですか?と社員が労組で質問すると、社長は

(就労10年未満の社員に)休日手当がつくのは社会が安定した時だ

…とスルーしてしまいます。

社長は、これだけ社会情勢が厳しく暖房公社も予算的に厳しいのだから金のかかるレクリエーションは削って業務に集中しろというのですが、そこでイヴァンが『お言葉ですか…』と手を上げるのです。

自分が主催するコーラス隊『マリーゴールド』は、お祭りの慰問や、各局のイベントのドサ周りだけやっていて、基本的に金もかからない事、労組の面々が出ている事をアピールします。

映画の冒頭で、地元の陶器祭りのイベントで民族衣装を来てマリーゴールドの面々が歌うシーンがあるのですが、彼らは団体で遠征するのに

JRバスを三段階ぐらいオンボロにしたようなバス

…に長距離乗っていくのです(涙)
どこからも遠征費用出ないんでしょうなぁ(しんみり)

映画のエンディングは、労組の面々を集め、イヴァンが、皆に嫌がられないうちに定年になったから労組の組合長をやめるけど、後任の組合長をイビるのはやめてくれと言って去っていきます。

そんなイヴァンをマリーゴールドの面々が工場で暖かく迎え、歌で送る所で映画は終わります。

映画では、家賃を払えずアパートを追い出される人が出てくるのですが。

俗に言われる『全くお金がないから追い出される』というワケではないのです
いわゆる

情報化社会に取り残された人たち

まじめに務めていれば、定年を過ぎても死ぬまでセントラル・ヒーティングのあるアパートで悠々自適で暮らしていけると信じた人たち。

彼、彼女らが情報貧乏で追いやられているという事実も浮き彫りにしている。

これってウクライナだけじゃなくて、日本でも言える事なんじゃないかな?

映画では、定年まで働いていた女性が、ある日家賃滞納で強制退去を命じられるのだけど、彼女は定年退職者が家賃免除のなる国の助成金制度を知らず、
もしも滞納していたとしてもローンが利くという事も知らなかった。
さらに

家に固定電話もなかった

ブログ主の近所でも、未だに昭和のハイソカー?
アレに乗ってるジーサンもいれば、
『周り皆都市ガスなのに、何でオタクの家だけオプロパンなの?』という家も、チョっと上の方にいけばあったりする。

こういうのって、今回のドキュメンタリーにある種通じるモノがあるんではないか、と思うのだ。

何でもかんでも、スマホだ、ネットになったから便利だ、さあ使えと世間はいうけれど

それに取り残されている人からの叫びに耳を傾ける事の方が大事

緊急事態宣言の時に、つくづく思った事でした