ロシアが『国を不安定化させる西側の陰謀』として
国内上映禁止(汗)にした映画
だそうな…。
やっとロシアも本腰いれて、万年筆作り出したっつーのにねぇ。(クオリティが良いかどうかは別問題)
…ロシアの言い分判らないでもないっすが。
私的に、こういう映画観る時に限らず、どんな事する時でも、
スバラシー!スッテキー!これなら、この分野のトップに認められるわよネ(( ̄ー ̄)ニヤリ
というものに触れたり、これってウケるかも~というのに触れるのではなく
その分野の中のウ〇コなものにも定期的に触れておかないと、いいアイデアって出てこないモノqqqqq
という考えがあるんですよ。
両親共々、良き時代の広告代理店だから余計思うのかもしれないんすが
いくら話題になったから、つーても毎日毎日『ミッション:インポッシブル』みたいなアクションモノや『君の名は』みたいなアニメファンタジー観ても、皆飽きると思う。
…というワケで、9月に、ソ連国内で絶賛された、戦時中が舞台の映画をUpする前に、ウ〇コなブラックコメディをUpしてみる。
これフランスのマンガ(バンド・デシネ)『La mort de Staline』が原作なんだそうっす。
バンド・デシネの映画化といえば『ストームブレーカー』を映画化した『ラルゴ・ウィンチシリーズ』がありますが、それとコレとは全然違います。
そんなワケで、予告編はこちら、あらすじ行ってみる
時は1953年。
第二次世界大戦終結後から10年経たないソ連。
書記長スターリン(アドリアン・マクローリン)と、秘密警察は、名簿片手に問答無用で国民を『粛清』していた。
スターリンは側近たちと夕食のテーブルを囲んでいたが、正直、側近たちは『腹にイチモツ』な奴らばかり。
第一書記のフルシショフ(スティーブ・ブシェミ)は権力に弱くウケ狙い。
秘密警察トップのベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)は粛清の親玉。
スターリンの代理のマレンコフ(ジェフリー・ダンパーは)ヒョロっちく、空気が読めない。
食事をお開きにし、自室に戻るスターリン。
ピアニストのマリア(オルガ・キュリレンコ)に無理を言い録音させたクラッシックを聞こうとレコードをかけた所、レコードのジャケットの隙間から彼女の直筆の手紙が、ひらりと落ちた。
その死を祈り、神の赦しを願う、暴君よ
最初や余裕ブッこいて、せせら笑っていたスターリンだったが、数秒後彼は頭にきたのか、ブチ切れて倒れてしまう。
扉の外の護衛も倒れた音に気付いていたが、殺されるのが怖いので助けもしなかった。
翌朝、お茶を運んできたオバサンメイド(ジューン・ワトソン)が意識不明のスターリンを発見(遅杉)
すぐに側近三人が呼ばれるが、フルシショフは
サイケな寝間着の上に背広姿で現れる
マレンコフは、オロきまくりながら『とりあえず代理は私が勤める』といい、医者を呼ぼうとするが、
有能な医師は、スターリンの毒殺を試みたので全員反逆罪でブタ箱行きか死刑になってる事が判明(汗)
とりあえず長男、長女に報告だというので、長男ワシーリと長女スヴェトラーナに報告する側近たち。
スターリンの息子ワシーリ(ルパート・フレンド)は『オレはスターリンの息子だ!』と威張るばかりのホッケー狂のチャラ男で話にならない。
残るは、何故か父親が嫌うユダヤ人の男に次々恋をする娘スヴェトラーナ(アンドレア・ライズブロー)
何とか集めたヤブ医者が彼女に、スターリンは脳出血で回復は難しいと診断。
が、スヴェトラーナに病状を伝えた後、
後継者を指名する事なく、スターリン、あっけなく死亡(ガビーン)
表向きは静粛かつ威粛ある国葬を行ったのだが、側近たちは、たちまち手のひらを返し始めた。
労働大臣カガノーウィチ(ダーモット・クロウリー)はスターリンの亡骸にお悔やみの言葉を述べるフリをして
『あばよ、クソジジイ(爆)』
フルシチョフが『私がこの国を変える』と言えば、死の原因になったピアニストのマリアに、ブブっと吹かれる始末。
ベリヤは配下の秘密警察の面々に『リストを渡すから、片っ端からブっ殺してこい。』とナ○ス状態。
マレンコフは、オロオロしているだけで何の役にも立たない。
武闘派の陸軍・ジューコフ(ジェイソン・アイザック)は、軍服が勲章まみれ。
フルシチョフからアライアンスを求められたら
『おめーの裏切りをバラして粛清にしてやるからな、
ぬわーんてね、知らんけどwwwww』と脅す。
スターリンの死がきっかけで、大粛清が解け、側近、政治家重鎮たちが、一斉に椅子取りゲームに乗り出した。
最後に勝者となるのは誰なのか?
以下ネタバレです
スターリンくたばった場面が、これ
映画の中では、時間軸がさっぱりワカランので『スターリンが死んでから数日の間に起こってるんと違うんけぇ?』と思うのですが。
登場人物の身の上に起こった事と照らし合わせると、かなり誤差がある…そのあたりを気にしない人にオススメのブラックコメディ。
遺言状は残すか、残さないか、その家の事情をよく考えておかないといけませんな…(実体験に基づく)。
話を戻す。
でもって何で、大粛清行われている政権下で、『スターリン、ブっ殺す(ゴルア)』って手紙、レコードの中に入れたのよというと、
映画の冒頭で、スターリンはラジオの生放送でオーケストラの演奏を聞いていたスターリンは、演奏を気に入って
このピアノの演奏気に入ったから持ってきて~
とラジオのDRに電話するわけです。
いやいやいや!今みたいに録音じゃねぇですし、実況生中継だから!
…とは言えないDR
出来ませんなんて言おうものなら、粛清リストに入れられてブっ殺される(汗)
ので、ピアニストのマリアに『今の曲、もう一回弾いて~ギャラはずむから~』と言ってムリヤリ録音させたワケです。
そりゃ怒るわな
でもって、スターリンがくたばって、側近+大臣同士の椅子取り合戦がはじまったワケですが、実質は
フルシチョフとベリヤの椅子取り合戦ですqqqq
他の人はって?
振り回されているか傍観者か、犠牲者のどれか。
ベリヤは秘密警察幹部なので、スターリンが健康上ヤバいな~と思ってた時点から既にコソコソ動いていたんだろうなぁ~…というのが判ります。
まぁ宴会の席で、側近は書記長に突き合わされてジョン・ウェイン出てきそうな西部劇を一緒に鑑賞させられるんですから。
もうええわ~…と思う気持ちが判らないでもない…
歴史上ではマレンコフがスターリン亡き後の書記長になっているのですが、どんだけ短い期間で任期終わってる??というぐらい任期が短いわけですね。
これはベリヤが気の弱いマレンコフを傀儡にして、自分が影で操ろうとしたワケですが、そうもいかなかったという。
確かにベリヤは悪い意味で優秀なワケですよ。
スターリンがポンチな形で死んだなんて国民にバレたら大変じゃぁないですか
ので、スターリンの死体が発見された別荘で、スターリンの死を知ってる人間を片っ端から殺すわ、外務大臣モロトフ(マイケル・ペイリン)は奥さんのポリーナ(ダイアナ・クイック)がユダヤ人だったので粛清リストに入れられているのですが、ベリヤは
オレに味方すりゃー、奥さんを粛清リストから抜いてもいいよ
…という
この時のモロトフの反論が、コワいんですよねぇ
恐怖政治というか
一つのモノに染まっている団体の群集心理は、間違いがあっても気づけない
…というか。
骨の髄まで独裁者の毒にやられて、奥さんを愛しているのに『国に背いたから仕方がない』ですよ。
で、自分につけいったベリヤを責めるわけです。
ベリヤのやった事も卑怯なのだけど、独裁者の毒が抜けない事に気づけないモロトフもどうなんだと。
スターリンの粛清が何十年も続いていたから
スターリンを受け入れないと死ぬ世界に慣れきってしまっている
これが怖いな、と。
金が貰える仕事以外では、時間も労力も縛られたくないという概念を持つアタシとして、お揃いのモノを着るとか、同じ所に毎週毎週行かないといけないよという暗黙のプレッシャーを趣味の領域でかけられるだけでも、息がつまるというのにだ。
ま~スターリンの粛清じゃないけれど、そういうノリに近い所もあるよね。
話を戻して
スターリン死後、後継者争いがベリヤ優勢で進み、ベリヤはマレンコフを書記長に推し、自分は影の側近として暗躍する道を選ぼうとする。
フルチショフは、スターリンの葬儀委員長など面倒な事は押し付けられるわ、粛清リストに入れられている人々を開放しようとしたのに案をベリアに一蹴されるわ、ことごとくベリヤに抜け駆けされてしまう。
彼も彼で、例のピアニストは、姪っ子のピアノの先生だというので弱みを握られているわけなのです。
そこらへんが秘密警察、ぬかりがない。
で、どうなるかというと、
フルシチョフは、陸軍司令官ジェーコフと共謀し、スターリンの葬儀の最中にクーデターを起こし、ベリヤを銃殺し、自分がトップにつくという。
映画の流れとして、スターリン死んだ→数日モメた→国葬→クーデター…という流れになってるので、これって長く見積もっても、一週間の出来事かぁ?とカン違いしてしまいそうになる。
本来ならベリヤが失脚したのは、スターリンの死後4か月後なので、映画は4か月の間の出来事でないとおかしいハズだし、ベリアの失脚には諸説あるので…そのあたりを気にする人にこの映画は向きません。
しかもこの映画
登場人物の政治的心情、具体的な陰謀、策略についても全く描かれていない
てか、それを描くと、ベツモノのサスペンスになるので、描かなかったのだろうと思います。
かといってオバカコメディかというとそうでもなく、冷ややかな笑いと風刺が中にあるわけで。
監督のアーマンド・イヌアッチがこの映画を作った理由は
ドイツのホテルにはヒトラーの肖像画はないが、モスクワのホテルにはスターリンの肖像画がある。
粛清は行うわ、黒歴史はあるわなのに、なんで?という事で作った映画なんだそうな。
ま~この映画『スターリン政権下に生きた人への敬意がない』というバッシングもあるのですが。
ロシアの人が喜ぶ映画って、ニキータ・ミハルコフ戦争三部作(『太陽に均かれて』『戦火のナージャ』『遥かなる勝利へ』)や
『スターリングラード』みたいな判りよい、自分の国の人物が英雄視されている方が、いいんでしょうねぇ。
余談なのだけど
スターリンのくたばり方は
フーバーFBI長官と似ている(涙)
フーバーも、突然死+自分に対する暴言の脅迫文で頭に血がのぼったのだけど
この当時のFBIとソ連の違いって何すか~と聞かれたら
FBIには『ザ・シークレットマン』にも描かれている通り、副長官のマーク・フェルトが居た事なんだろうと思う。
彼が良い意味で後始末をすべて引き受けたから、ウォーターゲート事件も追及できたワケで
スターリンの死がフランスのバンドデシネ原作でブラックコメディになるってのは
時代の流れなんだろうなぁって思うのだ。
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