バンバン・クラブ -真実の戦場-('12年4月 テアトル梅田) | Que amor con amor se paga

Que amor con amor se paga

映画・本などのネタバレメインのブログです
日常で気になったコトや動画も載せてます。

原題名:The Bang Bang Club

試写会で現在公開中の『アベンジャーズ・インフィティウォー』を観てきたのですが
観た人、結果が判ってると思うのですが

あまりにも結末ヒサン杉だろ(涙)

…というので、レビューを書く気が失せて

どうせ登場人物半分以上ぐらい死ぬ映画なんだったら意味ある映画のレビューを(それってアベンジャーズのネタバレ言ってる様な…)Upした方がエエかと思い。

昔見た映画をUpします。
6年ぐらい前、テアトル梅田のレイトショーで上映してました。

'90年代に、内戦状態の南アフリカ共和国で活動した4人の戦場カメラマングループ『バンバン・クラブ (Bang-Bang Club)』 のメンバーで、生還したグレッグ・マリノヴィッチと、 ジョアオ・シルヴァ 共作に寄る回顧録『The Bang-Bang Club: Snapshots from a Hidden War』が原作。

予告編はこちら、あらすじいってみる

時は'90年代の南アフリカ共和国。

マンデラ率いるANC(アフリカ民族会議)と、インカタと呼ばれるズールー人を中心とした『民族解放文化会議』との対立は血で血を洗う戦いに突入していた。

フリーカメラマンのグレッグ(ライアン・フィリップ)は、現地でベテランのケン(フランク・ローテンバーグ)、ケヴィン(テイラー・キッチュ)、ジョアオ(ニールス・ファン・ヤーレスヴェルト)と合流。
争う様に戦場の生々しい写真を撮り続けた。

その辣腕ぶりは次第に女性写真編集者ロビン(マリン・アッカーマン)に認められるようになり、グレッグら4人は、命知らずの戦場カメラマン『バンバン・クラブ』として知られる様になる。

だが戦場で報道写真を撮り続ける過酷な状況から、彼らはドラックと性に溺れ、次第に精神を病んでいく。

彼らが撮った写真が最高の栄誉に輝いた時、それは悲劇の始まりでもあった…。

以下ネタバレです。

随分前に見たレイトショー+内容がかなり重かった+アベンジャーズのヒーローはくたばったとしても(思いっきりネタバレするなよ)、車〇マンガか、ジャ〇プマンガの主人公みたいに甦ってくるんだろうけど

実在の人間は、死んだら戻ってこないし、何故死んだかは、生きている間の行動の代償でもあるのだから。

それを教えてくれる映画でもあります。

4人のカメラマンは、いかに素晴らしい写真を撮るか、過酷な内戦状態でも気持ちを一定に保つ為に、ドラッグをやっている為に、人としてのモラルも明日の方向に飛んで行ってしまっている。

バンバン・クラブの中で、2人がピュリッツアー賞を受賞してるのですが、最初に受賞したのがグレッグ。
題材が

『黒人男の火達磨』

黒人居住区で怒ったANCがズールー人をリンチにした挙句、ガソリンをかけ、火だるまにする殺害現場を、助けもせず撮るわけなのです。

グレッグは、この写真をAP通信に送ってそれが世界中に配信された結果、賞の受賞となってしまうわけです。

撮った時は無我夢中だったグレッグですが、 殺害事件を撮ることに成功したグレッグは、その写真をに送り、 それが世界中に配信され、ついにはピューリッツァー賞を受賞してしまう。

グレッグは、命がけで南アフリカの惨状を写真に収めたはずが、黒人批判に利用されると反対に罷免されるわけです。

物事には何事も二面性があります、それが判らず『これはいい事だ!』と突っ走った結果、グレッグは真綿でじわじわと首を絞められる様な苦しさを戦場で味わう事になるわけです。

正しい事をする為に戦場に写真を撮りに来たはずが、いつの間にか浮かれていた。
この場面までに、女性編集者のロビンと寝てたりもしますし、一歩外に出たらハチの巣にされてもおかしくないのに、こいつ何なの?という事が多かったですしね。

浮かれいたグレッグが一気に落とされていくシーンは 『パークランド』における、JFKの暗殺をコダックカメラに収めたザプルーダーにも似てる所があるのでは、と思います。

一方ケヴィンは、'94年に南アフリカの総選挙が終わると、面々と行動を別にしてスーダンに向かう事に。

彼は、ハゲワシが餓死状態の少女を狙っている所をカメラに収め、この写真がピュリッツアー賞を受賞した事で、世界中から非難の的となります。

報道か命かという事なんですよね。
写真撮ってるヒマあるなら助けろよ、飢えてる黒人撮って稼ぐなんて、サイテーだなと、非難されるわけです。

結局、バンバンクラブの面々はどうなったか。

厳しい世論に耐えられなくなったケヴィンは、元々薬物を常用していた事もあったのだけど、排ガスで自殺。

残りの3人は、マンデラが大統領になった後も内戦が続く南アフリカで撮影してたのだけど、命を張って活動している平和維持軍から妬みをかったのか、維持軍が誤射に見せかけて撃った弾が取材中に命中。

グレッグは命を取り留めたもののケンは帰らぬ人になってしまう。

彼らは結果を残さなければ後がない仕事とはいえ、人間性やモラルが崩壊してるのが判るのですよね。

報道か人命かと言われれば、報道と答えてしまう。

南アフリカにはもちろん黒人のジャーナリストやカメラマンも居るのですが、バンバンクラブの面々の様に深い所まで切り込んでいって無事で戻ってこれないわけなのですよ。

劇中でジョアオが『白人で良かった、白人ならどこでも入っていけるから』とKYなコトをホザきますが、彼は地雷をふんで両足を失うという報いをうけています。

グレッグが命からがら逃げて帰ってきたという、シチュエーションは 『ラスト・キング・オブ・スコットランド』を彷彿させると思います。

これが現実にあった話なのだから、絵空事で『メインキャラ全員死亡』とか、そんなものよりは説得力はあると思うのですよ。