世界一美しいボルドーの秘密(原題名:Red Obsession '14年10月テアトル梅田) | Que amor con amor se paga

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今年スタバから、ショートサイズ1890円つーバカっ高いコーヒー『パナマアウロワールゲイシャ』が出た


ゲシャ(ゲイシャ)種に希少価値がついから、価格が高騰し、スタバのこのコーヒーも、
日本で市場が見込めるというので、日本にかなりの量を輸入したらしい。


パナマアウロワールゲイシャは、1~3日で完売。

ゲイシャ種のスペシャリティは、どれも200gなら1万円近くする。

こういう現状、どんなコトでもそう。


おいしい、楽しい、そうした娯楽に妙な格差が生まれたり、楽しさや喜びを心に
余裕をもって本来味わうべき人が、外に追いやられる社会的構図は、
いかがなものだろうか?


というコトを昨今のボルドーワインビジネスを通して描いたドキュメンタリー


シッポの先までアンコつまった皮がパリパリのタイヤキの様に、グッド(どういう表現?)
なドキュメンタリーでございました。


かなり疲れてた・・・んすけどね(涙)


一席はさんで横に座ってた村上隆似のオサーンが、ワインの飲みすぎか美食のし杉か、
肝臓悪くしてるの丸判り系の体臭で(号泣)


ドキュメンタリーの最中、不幸中の幸い、眠らなくてすみました。


予告編はこちら、あらすじいってみる




何世紀にも渡り、富と権力の象徴としてマリー・アントワネットにも
愛されてきたボルドー・ワイン。


その繁栄の裏には刻々と変化する世界市場とグローバル経済が結びついている。

歴史を彩る権力者たちに支えられてきたボルドーワインには定価がない。

需要と供給で値段が決定する。

毎年4月に実施されるアン・プリメールにより、市場販売前のワインは先物取引として
出されるのだ。

売り手は、景気、為替、在庫など様々な要素を考慮して値段をつける。


そのボルドーの値段に最大の影響力を持つのが、米国の批評家、ロバート・パーカーが
つけるパーカー・ポイント。

パーカー・ポイントが90%を超えるとボルドーの値は跳ね上がる。

しかしワイン評論家は、パーカーをはじめとしてこう口にする


自分たちはよいものを世間に広めようとしていたが
逆に本当にワインの良さをして欲しい顧客を遠ざける事になってしまった



今やボルドーワインは『投資目的』で変われ、富裕層のワインセラーで封をあけるどころか、
カートンに入ったまま保存されている。それはまるで『液体資源』だ。

評論家やコンサルタントがワイン市場の動向を懸念しているにも関わらず、
ボルドーを生み出す5大シャトーの主たちはいたってのんびりして、
その考えを崩そうともしない。

それもそのはず

ボルドーを生み出す、ボルドー・メドック地区には61のシャトーがあり、1~5級に
格付けされている。

1855年のパリ万博に際し、ナポレオン3世により公式にワインが格付けされてから、


ほぼ格付けは変わっていない上に見直しもされていないのだ。



ボルドーの5大シャトーのうち1855年に選ばれたのは4つ(ラフィット、マルゴー、
ラトゥール、オー・ブリオン)そして1973年に格上げされたムートン・ローシルト

それからみなおしはされていない。


パーカーをはじめとする評論家やワインコンサルの予想は当たり、リーマンショック以来の
新しい買い手として中国が出てくる。

定着するのに半世紀かかった日本の様な市場に、見切りをつけた5大シャトーはこぞって
中国詣でに出だした。


5大シャトーの1つ、ラフィットは中国市場向けに2008年のワインに漢字の八を印字した
ボトルを売り出す。

するとこれが当たり、ワイン輸入会社『ALTAYA WINES』代表パウロ・ポンは、
祝い事にカートンで注文が入るようになったと語る。


富裕層ランキング発行人のルパート・フージワーフは、
現在の中国の富裕層は米国の富裕層の数を抜いてしまった。今ワインを買っているのは
中国でもほんの一握りだと語る。


ワインジャーナリストのジェニー・チョー・リーは、中国人がオピニオンリーダーの
いいなりになっているのでは、と語る。そのうち富裕層が買い占めてしまうのではと
懸念は隠せない。

2011年には1本15万という高値になったボルドーワイン。

中国市場に出回り始めたラフィットの偽モノ、このまま中国はワイン市場で横暴をつづけるのか、それとも
ボルドーが変わるのか・・・


以下ネタバレです

ここまで書いて、まだネタバレネェの?といわれそうなんすが。

ここで終っちゃうと『ギャー中国腹立つわー!カネに任せてワインまで買ってー!
空港の免税店で炊飯器だけ買って帰れ(ゴルア)』と怒る人もいるかもしれんので。


確かに、監督はワイナリーを持ってるだけに、特定の国に急激に荒らされるように
買い占められるという状況は私的に快くないとは思ってるんでしょうねぇ。

その象徴じゃないですか、イヤミとも取れるのですが、原題名が『RED OBSESSION』です。


REDに赤ワインと中国をかけているのでしょうし。

作品のチラシには、とあるワイン収集家がラフィットのワインばかり集めた立派な
ワインセラーに逆光でたたずんでいるのですが、この人


大人のお○ちゃ作って一財産築いた成金なのですよ(涙)

ワタシの会社は、こんなのを作ってますよ~げへへへへ~ってのを何の羞恥心もなく
開けっぴろげに言うアタリは、なんなんだ(ゴルア)と思うし

エロジジイにワイン飲むなとは言いませんが(汗)、こういう品格のない男が
飲みもしねぇのにワイン集めてインテリぶるのはやめた方がいいんじゃないの?
・・・と思うワケです。


アタシが言うまでもなく、劇中でも中国と英国の混血のワインジャーナリスト・
フォンギー・ウォーカーが、皆こういうものを知りたがって集める事で、
品よく見せようと気取ってるだけよ、とシラっと言ってるトコがあります


劇中に2,30人ワインに関わる人が出てくるのですが、数少ない冷静な人の1人だ・・・


ま、まぁ中国人の中にも、中国でこんなに需要あるなら、ニセモノなんか
作る以前に自国で作ったらどうなの?という人もいるわけで


世界中旅して、ボルドーでも修行し、世界5位中国でトップのワイン・シャトー・チャンユーを作った、
スン・ホンポーも出てきます。

こういう努力をする人はホンの一握り。先ほどのフォンギーは、
ワインが中国に定着するかどうかはわからないと言っている。富裕層を中心に
広まっているので好奇心に終ってしまわないかという事。


自社セラーでワインを熟成するヴィンテージワインの発売元『マーラベッセ』の
クリス・マイヤーズは



情報だけをかぎつけて買い付けようとする客にうんざりしている


いいものと風の噂だけで、ドドドとくる客には、このワインの価値がわかっているのだろうか、
と売る側としてはいいたいのだろう。


それ以上に評論家などワインビジネスに関わる人間が言うには、上位のシャトーの
有り方に問題があるという。


何もしなくても買ってもらえる

・・・という意識がないだろうか?という事だ。


自分たちが誇りを持って作ったワインが『本当に飲んでもらいたい』人に
適正価格で渡る事無く、投資目的で大量に取引された事が、米国の顧客や
長年つきあえるはずの欧州の客が離れる要因を作りつつある。


中国では高級ワインは、賄賂代わりだ。


なのに、買ってもらえればありがたい、自分たちのやり方を
尊重してもらえれば、飲んでもらえなくても構わないというのは、
本末顛倒ともいうべきかもしれない。


ボルドーで最も高級なワインを生産するシャトー・ペトリュスのオーナー、
クリスチャン・ムエックスは、生産したワインが飲まれない事に
ついて嘆いている。


偉大なワイン作りには多くの愛が必要なのだと。

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