シャンプー台の向こうに(原題名:Blow Dry '02年1月 ナビオTOHOプレックス) | Que amor con amor se paga

Que amor con amor se paga

映画・本などのネタバレメインのブログです
日常で気になったコトや動画も載せてます。


10年も絶縁状態だった両親が、ある日突然再会

何故かコメディチックでもありドラマでもありラブストーリーでもある映画

あれ・・予告編出てこない?

あらすじいってみる


ヨークシャのキースリー

なんの変哲もない田舎町が突然お祭り騒ぎになった

市長トニー(ウォーレン・クラーク)の肝いりで、
全英ヘアドレッサー選手権を開催することになったのだ


普段は死体安置所の死体相手にカットの練習をしている
ブライアン(ジョシュ・ハートネット)は、
全英一の美容師になるチャンスとワクワクしている

市長をはじめ、周りもそれを期待していたが、彼の父親は
猛反対


ブライアンの父親、フィル(アラン・リックマン)は
かつてこの大会で二連覇した腕利きのハサミ師だった

しかし三連覇を目前に控えた時に、ヘアモデルのサンドラ
(レイチェル・グリフィス)と右腕であり妻のシェリー
(ナターシャ・リチャードソン)は駆け落ち


以来10年間、理髪店で町の年寄り相手にカットをする
寂れたオヤジに甘んじている


その冷戦状態を破るかの様に、シェリーがサンドラを連れて
フィルの店にやってくる

シェリーは癌を告発されていて余命はわずか


かつての店の常連デイジーに

『死が近いと判っていれば問題は解決できる』と励まされて
やってきたのだ

しかし事情をしらないフィルは無視

息子のブライアンの心境は複雑だった


一方、キースリーの町は、にわかに賑やかになってきた

英国中の腕利き美容師が続々と町に到着し、その中には
フィルが達成できなかった三連覇を狙うレイ(ビル・ナイ)が
娘でブライアンの幼馴染クリスティーナ(レイチェル・リー・クック)を
連れてきていた

久々にクリスティーナと再会したブライアンは、彼女が美しく成長した事に驚く

カラーリスト志望だという彼女を死体を実験台に使ってやろうとする
ブライアンとクリスティーナだったが、途中で葬儀場から締め出された二人は
パンクな髪に染めてしまった遺体を元通りに出来なくなってしまう


何の解決法も見出せないまま、選手権の会場に滑り込みセーフで向かう二人。

フィルは前日レイに侮辱されたのが頭にきて急遽参加

女性ヘアブロー部門ではサンドラをモデルにブライアンが担当するが、
前日の遺族に見つかったブライアンは会場から逃げ出そうとする。

それを見かねたシェリーは怒鳴る

『この選手権はアタシの最後の賭けなのよ!それでも頼みを聞いてくれないの!』

彼女の頭はカツラだった。彼女の頭には放射能治療で髪もなく末期がんだったのだ

唖然とするフィルとブライアン、病状はサンドラには隠すというコトで3人は会場に
もどっていく


しかしヘアブロー部門では、レイの策略によって他の参加者たちのクシが熱でとけだしていた。

レイがぶっちぎりで一位へ

シェリーの真意とレイのイカサマに腹をたてるフィル

次の男性フリースタイル部門で、モデルの割り当てでイカサマを図ったレイのチームに仕返しをして、
フィルのチームは4位にまで一挙浮上した

次はシェリーが腕を振るうナイトヘア部門だっがた、シェリーの事態を知らなかった事に
ショックをうけたサンドラがモデルを追い返した挙句に実家に帰ってしまう

シェリーは諦めず、病院からデイジーを連れてきて白髪をバロックスタイルに結い上げ、この部門の優勝をさらう


残るはトータルルック部門

トップを走るレイのチームに三点差につめよったフィルのチーム

だが、追い抜くにはサンドラの協力が必要だった

フィルはサンドラの実家まで訪ねていくのだが…


かつて伝説の美容師と言われた男が、カット7ポンド(1500円)、プラス2ポンドでシャンプーだなんて、と思ってしまう

演じるアラン・リックマンは『ダイ・ハード』でブルース・ウィリスをとことん追いつめれば
『モネ・ゲーム』ではコリン・ファースをイビりまくる変人上司もやる

かと思えば、『ギャラクシークエスト』ではシェイクスピア俳優だったのに落ちぶれTVコメディに出ているトホホな役も
演じたりする

演じる役によって八面六臂

今回は、とある事情で妻に逃げられて人生の希望を見出せずにいる男性だ

もう今更もどってこられてもなんなんだ、と思っている


そんな彼が、トータルルック部門の前に実家に引きこもってしまったサンドラを説得しにいくシーンがある

サンドラはどうして自分に病状を知らせてくれなかったのか水臭いし、自分にだけは知らせて欲しかったと思っている。

この辺り『ぼくを葬る』と違う点なのだけど。

『ぼくを~』の主人公は、家族や恋人には自分の死期は知らせない

自らのアイデンティティをきちんと判ってくれる人間にでないと、死期は伝えたくないからだ、何故なら死は嘘を赦さないものだから

死が嘘を赦さないものだからこそ、話し合おうとするのがこの映画なら、そうでないのがあの映画かもしれない

『シェリーには僕たち2人が必要なんだ』

落ち込むサンドラにこう励ますフィル

フィルはフィルでシェリーのセクシャリティを受け入れる事が出来ないし、サンドラはサンドラは、
シェリーが家族に先に病状を打ち明けたことが赦せない

このシーン、フィルとサンドラの痛み分けの様にも見える、シェリーってズルいよね、どっちかでなくどっちもなんてという

サンドラがフィルにとって、そういう事がどうでもよくなるぐらい、最高の芸術作品だからこそ、和解できたワケで

シェリーの相手が、どこぞの女だったら、和解不可能だったと思うワケよ(涙)

クライマックスで、フィルがサンドラの髪にバリカンを入れる前に、2人が目配せするシーンがあるのだけど、アレが最高によかったですねぇ

サンドラのトータルルックのクライマックスシーンはこちら




まぁ、シェリーは、思うに、ダンナが作った芸術品にホレて駆け落ちしたのかもしれませんねぇ…


そんなフクザツな大人の恋事情の裏側でジョシュ演じるブライアンとレイチェル演じるクリスティーナがおちゃめ

カラーリングは死体で失敗しちゃったからというので、羊で再チャレンジしたら、パンク色に染まったモッコモコの羊の大群がが田舎町を走っていく…というオチには笑った


この映画、美容師選手権ってので、さすがに手元がクローズアップになるとごまかしはきかない

そこで全英トップクラスの美容師やモデルはカメオで参加、コンサルタントは元欧州・英国チャンピオンのトレボー・ミッチェル

小道具や教育担当はレッドケンで映画の為に、研修会を専門に開き、レッドケンの教育マネージャー、ジョーン・ニュートンは、
映画の中の審査委員としてカメオ出演もしています。


これだけ沢山の要素、人物が雑然と出てくる映画で、出てくる人間も情けないのもいれば、キツのもいれば、意地っ張りもいれば、間抜けもいる

なのにすんなり観れてしまうのは、監督の手腕によるものでしょうか

この映画、ロンドンとかパリが舞台なら『へぇ~そうなの~』ぐらいなモノだったかもしれない

でも地方都市で市長のキモ入りでやってるものだから、お客もまばらで、宿泊施設もとってつけで、全英選手権なのに、どこかドン臭そうな感じがする

フィルのライバルのレイが泊まることになる民宿だって、部屋が空いた理由が『そこに居た人死んだから』というトンデモな理由だったりする

普通なら『そんなもんゆるせるけぇ!』が、面白くなるのだから、フシギな映画でもあります。









BLOW DRY シャンプー台のむこうに [DVD]/ジョシュ・ハートネット,レイチェル・リー・クック,アラン・リックマン

¥6,300
Amazon.co.jp