スーパーチューズデイ~正義を売った日~('12年5月 シネ・リーブル梅田) | Que amor con amor se paga

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映画・本などのネタバレメインのブログです
日常で気になったコトや動画も載せてます。


原題名:The Ides Of March



サボっていたライアン・ゴスリング祭り復活(汗)


この映画、大阪ステーションシネマがメインの上映だったのですが、
ステーションシネマでの上映中に観に行けず(涙)
途方にくれていたら、シネ・リーブルが上映してくれる事になり、
連休前に観に行きました。


ずーっとブログの更新止まっっとるでぇ(滝汗)

…と言われそうなんで(爆)

ここの所、水泳では取れない程、肩と腰にガタが来そうな程、
仕事してたもので、
映画全然行ってない(涙)


そんなワケで、予告編こちら、あらすじいってみる

原作は元米国選挙スタッフのボー・ウィリモンの劇曲




米国大統領選を目指し、民主党予備選に出馬した、
ペンシルバニア州知事・マイク・モリス(ジョージ・クルーニー)

ハンサムで弁舌に優れカリスマ性もあり、清廉潔白、誰もが
モリスの勝利を信じて疑わなかった。


ライバルのブルマン上院議員を引き離し、来たる
オハイオ州予備選に勝利すれば、共和党候補を破り
大統領の座を間違いなく手にするだろと言われ、
『オハイオを制するものは全米を制する』とマスコミも
煽り立てた。


モリスの快進撃を支えるのは、ベテランのキャンペーン責任者・
ポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)と広報官・スティーブン
(ライアン・ゴスリング)。

二人は二人三脚となりモリスを支えてきた。

若干30歳にして広報官に任命されたスティーブンは、討論会場の
マイクや演壇の高さ、スピーカーの音量、大手メディアへの対応や
ブログの動画投稿にまで万遍なく目を光らせる辣腕ぶりを
発揮していた。


ワシントンDCのキャリアコンサルタントから転職した彼の
辣腕ぶりに目をつけたのが、ライバルのブルマン側の選挙参謀・
ダフィ(ポール・ジアマティ)だった


彼はスティーブンの父親と偽りモリスの陣営に電話を取りつなぎ、
極秘の面会を取り付け、ねがえるようにしかける

その夜、うかつにも、スティーブンは自分の陣営のインターンである
モリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)と一夜を過ごしてしまう


翌日スティーブンは事の洗いざらいを上司であるポールに報告するが、
忠誠心を重んじるポールは激怒。

しかもブン屋のアイダ(マリサ・トメイ)にかぎつけられてしまう。

さらに追い討ちをかけたのは、モリーがモリスと関係を持っていたという
許されない事実だった。

清廉潔白で売っている大統領候補に対し、この事実が明るみに出るということは
失脚を意味する


ショックを隠しきれないスティーブンはブルマン陣営に寝返ろうとするが、
ダフィからはすげなく追い返されてしまう。


どちらの陣営からも干されたスティーブンがとった意外な行動とは…


『グッドナイト・アンド・グッドラック』『シリアナ』と個人で手がける
作品に関してはリベラルで辛辣なメッセージを観客に投げかけるものを
作り続けているジョジクル

今回主演を勤めたライアン・ゴスリングは

『共演者にドッキリを5つも10も仕掛けながら同時進行でいくつもの仕事を
こなすタフな人』と尊敬のまなざしをおくっている

映画作りが衝撃であり、理解できないものであるからこそ強くひきつけられる
彼だからこそ、自らと違った役や二重人格の役を選ぶのかもしれない

劇中でも興味のなかった間は、名前もへったくれも覚えないインターンに
対し覚えてからは、影で関係をもつトンデモ男を演じている。

それが『自分でやったことぐらい自分で責任とれ』と後から
両陣営にクギをさされるとも知らずに


原題名の『The Ides Of March』というのは、ジュリアス・シーザーが暗殺された
ローマ暦3月15日の事をさす。


劇中でジョジクルが演じるモリスはシーザーを思わせるカリスマだ。
大企業を恐れず、任期中に全てのガソリン自動車を水素燃料か電気自動車にすると
のたまう。


しかしモリスは劇中に殆ど登場しない。

『ジュリアス・シーザー』のシーザーと同じで、あの物語でも主人公は
彼の盟友ブルータス。

エジプトもガリラヤ人も平定したシーザーは
その圧倒的人気を背景に独裁者となってしまう。これではローマ共和制が終わってしまう。

反シーザー派の政治家カシアスにそそのかされたのがブルータスだった。


ジョジクルは余程『ジュリアス・シーザー』が好きなのか
『グッドナイト~』でも引用している。


『 And whose fault is that? Not really his, he didn't create this situation of fear,
he merely exploited it, and rather successfully.

(マッカーシーではありません。彼は共産主義への恐怖を作り上げたわけでなく、利用したまでです。
非常に成功しましたが。)

Cassius was right, the fault dear Brutus is not in our stars, but in ourselves.

Good night, and good luck.

(カシアスは正しかったのです。過ちは運命ではなくわれわれの責任だ、
おやすみなさい、グッドラック)』


カシアスの『過ちの責任はわれらにある』という言葉は保守派米国人が最も嫌い、
リベラル派が支持する言葉でもある

楽しいことは好き、面倒なことは嫌、そうしたツケが回ってきた米国に
クギをさす映画作りをジョジクルはしている


あれほどシーザーを敬愛していたブルータスがシーザーを暗殺する時に
『ブルータスお前もか!』とシーザーが叫ぶのは有名だろう。

この映画にはそれはないが、その代わりにスティーブンは

『大統領は必要のない戦争も始めることも出来れば国も破綻させることも出来る、でも
インターンを犯すことは許されない』というのだ


これは米国ゆがみを象徴している。

イラク戦争を始めようとも、リーマンブラザーズが破綻しようとも、お咎めなしの大統領なのに、
クリントンさんがモニカ・ルインスキーとヤっただけで大統領の座を追われる米国

歴代大統領でカトリックなのはケネディだけで、他は全員プロテスタント。

人種面では黒人初となったオバマさんだが、彼もプロテスタント。
モルモン教のロムニー氏の『他人に対してドケチ』な宗教概念が受け入れられるかと
言われればNOなのだ。


この映画が公開される2012年という年は、米国、仏国、ロシア、韓国で
大統領選が行われ、
中国、北朝鮮と指導者が代わる激動の年の中、生まれた映画でもある


とりわけ米国大統領選は1年かかりの熾烈な長丁場で予備選が同時開催される
『スーパーチューズデー』が天王山。候補者たちの政治だけでなく信仰心、
離婚暦、知力、体力、気力を総動員し、資金集め、中小合戦、裏工作が
当たり前のように繰り広げられる激動の舞台だ。


そんな激動の舞台の中、政治家であろうと、タダの人であろうと、
『自分の責任は自分でとらぬものに明日はない』ということを
教えてくれる映画でもある。





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