子どもの頃に読んだ本が,
自分の生き方・考え方を左右していると感じることがある。
幼稚園の年長さんのときに買ってもらった本は,イソップ物語だった。
その中に,教員になってから,よく思い出した物語がある。
「王様の息子とライオンの絵」のお話だ。
勇敢な王子は,ライオン狩りが大好き。
でも,一人息子を心配する王は,王子を ライオンの絵を壁に描いた宮殿に閉じ込めてしまう。
閉じ込められ,いらついた王子は,壁の絵のライオンを指でつき,
そのときの指の傷がもとで亡くなってしまう。
王は,
こんなことなら,好きなライオン狩りを思いっきりさせてあげればよかったと泣くのである。
子どもを大切にしすぎて,
子どもの様々な体験を奪ってしまっているように思える保護者に出会う度に思い出した。
一度だけ,子どもに向けて話したことがある。
それは,東日本大震災の翌年に担任したクラスでのこと。
大きな地震は,小さな子ども達の心にたくさんの不安を残した。
あるお子さんは,震災以来,家庭から離れることが怖くなってしまった。
登校もしぶりがちとなり
校外学習や遠足には全く行けなくなってしまった。
地震の翌年,そのお子さんを担任したわけだが,
ぜひ,春の遠足には全員で行きたいと思い,
朝の会で,この「王様の息子とライオンの絵」の話をしてみた。
そして,家の中にこもっていれば安心かというと,そんなことはなく,
病気になるかもしれないし,思わぬけがをするかもしれない。
それなら,広い世界で,のびのびと自分の好きなことにどんどん挑戦して
豊かな人生を送った方がよいだろう,と。
話をしている間に,その子の目の光が変わっていくのが分かった。
そして,遠足にも校外学習にも全員で行くことができたし,登校しぶりもなくなった。
おそるべし,イソップ物語!