わが家の長男は二浪中

実は去年の今頃からもう一浪したいなんて言っていたものだから、私の中では悩みのたねですよね
『若い時のい1年や2年、好きにしなさい』
なんて言ったものの…やっぱりねぇ…
自宅浪人なのでお金はかかりません
たまに参考書を買うくらい

この長男…
震災の時、たまたま出かけており2日間連絡がとれませんでした
ほとんど出かけることもなく家で勉強していたのにその日に限って出かけた

地震の後主人は仕事場から一旦自宅に戻って来ました
主人の事務所は海のそば…しかし、お客様の車を取りに二人で大津波警報が叫ばれる中事務所に向かったのです
長男は大丈夫だろうか…そう思っても携帯が繋がらない
事務所から自宅へ戻る途中に長男からのメール
『今安全な場所に避難完了 余震が頻繁にあるからお母さんも家の中にいない方がいいよ』
返事を打つにも運転中だったから出来なかった

家に戻る途中で私は娘を迎えに学校に寄り、そこに津波が…

主人と合流して長男と連絡がとれない事を伝え、長男にメールをしようにも頭がパニック状態でメールの画面にもいきつかない
主人がメールを打ってくれました
返事はなし

町は壊滅状態で町場の避難所にまで津波が押し寄せたのです

その夜から避難所をまわり、長男を探し始めました
知ってる人をみかけては長男を見なかったかと尋ねた

実家には叔母の家族も非難し、みんなでラジオを囲んで情報を得ようとしましたが何も分からない
何度となくおきる余震に怯えながら、茶の間で夜を過ごしました

長い夜…満点の星…やっと空が青白くなった頃、町を望める場所に立ってみると、町がなくなっていました
あそこのどこかに長男がいるかも知れないと思うといてもたってもいられませんでした

しかし瓦礫の山を越えて行くには…

3日前に乳がんの転移再発を告げられた私
骨転移の痛みがひどく、起きているのもつらい状態だった

それでも長男の無事を信じ、徒歩であちこちの避難所を歩き回りました
どこにもいない…
高台の避難所しか存在していない状態です
ここまで非難するのなら自宅に戻ってくるはず

残るは孤立状態となった場所
橋が落ちて…または道路が寸断されて孤立状態になっている場所があるらしい

しかしそこは家から大分離れており、自転車で出かけたとも思えない
やはりダメだったのかも…
でも、亡くなったのが長男でよかったのかもしれない…私ももうすぐ死んでしまうだろうから…
主人の実の子ではないから、残して逝くのは気がかりだったから…
亡くなった彼の父親が迎えにきてくれてるはず…
そう思いながら、遺体安置所に迎えにいく準備をしていた
見付けたら必ず連れて帰ろうって思ったから、きっと冷たかっただろうから毛布で温めて…体を綺麗に拭いてあげないと…
怖かっただろうに…苦しかっただろうにと…泣きながら準備していた



主人は…その日の朝、津波で水没した車に乗って一時間かけて孤立した地区の避難所に長男を探しに行くといって出かけました

携帯も通じないし、午後になっても戻らない
やはりいなかったんだなって…本当に諦めようと思いました


その時何故か窓の外を見たんです

長女が誰かと歩いていた
それが誰なのかよく見えなくて…

それがだんだん近づいて…私の中で奇跡が起きた瞬間でした


孤立した地区…そこには彼女の家があったらしく、主人は知ってたみたい
津波警報も解除にならないし、瓦礫の山で…身動きがとれなかった長男を連れて帰ってきてくれた


水没していつ止まるかも分からない車で、長男を連れて帰ってきてくれた主人
実はそこの地区は主人の実家のある場所でもありました
その日の朝、何とか車で行けるルートを知人から聞いたそうです

不思議とその車はそれ以降一度もエンジンがかかる事はなかった



あの時たくさんの軌跡に恵まれた私
こうやって家族で過ごせる幸せを感じます

そして、生きようって…強くならなきゃって…そう思ったの








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