モンティ・パイソン 復活ライブ!(Monty Python Live (mostly)) | CAHIER DE CHOCOLAT

モンティ・パイソン 復活ライブ!(Monty Python Live (mostly))


年越しは絶対これ!と思って、観ないでとっておいた。正方形の豪華ブックレット(というかもはや写真集)の中に、DVD、Blu-ray、2枚組CD(DVD &ブルーレイの音声のみを収録)が入っているデラックス版。内容は、2014年7月にロンドンのThe O2で行なわれたライブの最終日7月20日の公演を収録したもの。ということは、ちょうど10年前ということになる。タイトルには「(mostly)」がついてて、サブタイトルは「One Down, Five To Go」。始まってすぐに「One Down」のグレアムが実に効果的に登場する。この時点ですでに気分上がりまくり。あちこちグレアムのアーカイヴ映像が絶妙に使われているのが嬉しい。やっぱりかっこいいな〜、グレアム。ちょっとせつなくもなるけどさ。全体としては、『モンティ・パイソン ノット・ザ・メシア』でもエリックとともに制作にたずさわった音楽家のジョン・デュ・プレが指揮をつとめるミュージカル仕立てになっている(歌い踊るのはダンサーのみなさん)。エリックは総指揮でもあるし、歌のパートも多い。どことなく全体像を見てるような冷静な感じがあるのはそのためかも。合間合間にミュージカルパートやアーカイヴ映像が入っているのは、キャストの休息という意味合いもあるでしょう(SMAPのコンサートでも年々映像部分が多く、長くなっていった記憶ある)。ミュージカル『スパマロット』のキャスト、サミュエル・ホームズがパイソンズと一緒に色々な役を演じる。グレアムの代役も彼がやっている。あれだけの数のパイソンズファンを前にして、結構なプレッシャーだったのではないかと思う。今回、ニール・イネスは参加していないのがちょっと寂しい。ニールとともに「7人目のパイソンズ」と呼ばれるキャロル・クリーヴランドは参加している。キャロルのスタイルの良さがすごい(公演当時71歳!)。私はあのヒールで3歩も歩けない自信ある。階段を一歩踏み出しただけでヒールが脱げる自信もある。スタイルといえば、パイソンたちみんなそれぞれにぽちょっとしたおなかになっている中で、ひとりしゅっとしたスタイルをキープしてるマイケルのかっこよさは格別。ジャケットスタイルでも半ズボンでも、どんなかっこうでも「かっこいいなー、マイケル!」と何度も心の叫びだった。さらに、女装もフューシャピンクのボディスーツも、なにごともなかったかのように着こなす(?)マイケル、最高だ。テリーGも、女装とかへんなおじさんとか、エリック言うところの「as madly as possible(可能な限り狂った)」かっこうをしてめちゃくちゃ嬉しそうだったり、なんとも満足そうだったりで、小学生かよって感じ。それ以外のところでも一番はしゃいでるテリーG。ほんとに楽しそうで見てるこっちの楽しさもさらに割増しになる。セレクトされたスケッチはジョンががんがんしゃべるものが多くて、モンティ・パイソンにおけるジョン・クリーズの存在感というのを改めて感じた。デッドパロットからチーズショップへの流れ、最後の部分やグレアムへのメンションも含めて、まるっとまとまっていたのが観てて気持ち良かった。アン・エルクとアルバトロスの売り子の謎の可愛らしさも健在(ひげ生えてるけど)。この時すでにテリーJは病気(前頭側頭型認知症による原発性進行性失語症)を発症していたのだろうということを知った上で観ているから、ちょっとせつない気持ちになるところもあった。知らなかったら何も思わないであろう部分、さりげないカンペ(小道具)とか、もしかしてそういうことだったのかなと思ってしまう。ま、でもジョンも2回ほど「Where are we?(どこまでやったっけ?)」となったりしていたな。シリーズでは淡いピンクが基調の服だったスパムレディ、今回の鮮やかなブルーのも可愛い。1998年の『モンティ・パイソン・ライブ・アット・アスペン』での「Suppose all of you died suddenly, and God said every one of you could return to Earth provided that you return as only one of the many characters you played during Monty Python in the life time, who would you chose?(死後、モンティ・パイソンで演じた役のひとつで蘇れるとしたら、どれがいいですか?)」という質問に、テリーJは「The lady who sells Spam(スパム売りの婦人)」と答えていたのを思い出す。(ちなみに、マイケル:パントマイムホースの前足、ジョン:Mr. エクエイター、テリーG:犬のMr. サラダ、エリック:哲学者ブルース) このライブは同窓会的でもあるし、そもそも企画時点で色々なパイソン都合もあったようだけども、色んな意味でゆるく和やかさもあって、今年の年越しも最高だった。やっぱりパイソンズは私に絶対的な楽しさを保証してくれる。画像はインターミッションのペッパーポットたち。可愛い。全体のカラーの組み合わせも見事。

このライブの衣装は『空飛ぶモンティ・パイソン』シリーズや『ジャバーウォッキー』などのヘイゼル・ペシグが担当していて、これまた間違いない良さ(ヘイゼルは私の一番好きな衣装デザイナーで、いつかお会いしてみたい方なのだけれども、表に出る人ではないしなあ……)。メイキング映像のマイケルとヘイゼルのツーショット、素敵すぎた。この時マイケルが練習しているのが、ここだけ見たらが絶対に誤解されそうなセリフなのがまた最高。