最後の晩餐(La Grande Bouffe) | CAHIER DE CHOCOLAT

最後の晩餐(La Grande Bouffe)

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かなりへんな映画。4人の裕福な男たち、マルチェロ、ウーゴ、ミシェル、フィリップが自らを死に至らしめるまでひたすら食べ続ける。4人のうちのひとり、ウーゴはシェフなので、料理はとても豪華。材料は最高級、カロリーも最高級。美食も度が過ぎると身体を悪くするというもの。彼らはそれをわかってわざとやっているから、糖尿病を患っているフィリップも激甘スイーツをばくばく食べる。これでもかというほどのゴージャスな料理がどう見ても人数分以上の量で次々に出てくる。連れてこられた3人の娼婦の女の子たちは最初は喜んでいたものの、だんだんその異常さについていけなくなって去っていく。たまたま誘われてやってきた小学校の教師、アンドレアが残るけれども、いたってふつうに(むしろおとなしく)見えた最初の印象とは実はかなり違っていて、彼女の存在がカオスの度合いを加速させる。色んな意味でグロテスク、でも、映像は美しくて、どこかおかしくて、それでいて物悲しくて、常に不穏で静かな狂気で満たされている。みんなでこうやって死のうと計画して、それを実行する4人にはほほえましさすら感じるけど、どう考えてもやっぱりおかしい。写真のグラスを傾ける3人の視線の先にあるのもものすごい光景だったりする。かなりへんな映画、でも好き。



マイケルが1974年の日記でこの作品について、感想を書いていました。「夜、ヘレンと僕はマルコ・フェレーリの『最後の晩餐』をカーゾン(映画館)で観た。スタイリッシュで、不快で、とてもおかしくて、とても悲しい、自らを死に至らせるまで食べることを決めた4人の男たちの映画だ。食堂で出てくるとても重くてカロリー過多の食事は、究極で不条理なレベルまで達しているものもあった。とんでもないが、不愉快でも無情でも安っぽくもない。この映画が国の認可が得られず、ロンドンのみに上映が制限されているのかと思うと悲しい。(In the evening Helen and I went to see Marco Ferreri’s La Grande Bouffe at the Curzon. A stylish, revolting, very funny and very sad film about four men who decide to eat themselves to death. Some of those heavy, over-rich meals at restaurants taken to ultimate, absurd lengths. Outrageous but never offensive, never heartless, never cheap. Sad to think that it can’t even be given a national certificate and has to be restricted to London viewing.)」