BBC - ジョン・クリーズ『007/ダイ・アナザー・デイ』インタビュー | CAHIER DE CHOCOLAT

BBC - ジョン・クリーズ『007/ダイ・アナザー・デイ』インタビュー

[ORIGINAL]
BBC - Films - interview - John Cleese
https://www.bbc.co.uk/films/2002/11/20/john_cleese_die_another_day_interview.shtml

デスモンド・リュウェリンからQの役を引き継ぐことには重大な責任を感じましたか?

それは感じたよ。前の映画(『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』)でR役をやっていて、ほんとうによかったと思う。パインウッド(・スタジオ)に足をふみ入れたとき、環境もそこにいる人たちもよく知っていると感じられたからね。1本の映画(の制作)に入っていって、そのファミリーにいきなり加わるというのがどれほど恐ろしいことか、ことばでは言い表わしきれない。よその家のクリスマス・ディナーに行って、ほかの人たちはお互いを知っている、自分はそこにいるけれど、どうしたらいいものかよくわからない、っていうようなものだね。

脚本家の人たちと連絡を取り合えたのもかなりよかった。FAXで脚本の一部を送り合ったり、色んな提案やコメントのやり取りをしたりしていたんだけれども、その結果、撮影前に脚本家たちやバーバラ・ブロッコリと一緒にランチを食べたときには、みんなほんとうにとてもいい感じになっていたから。

Qの役をやって、テクノロジー関連にくわしそうな人というイメージになりましたか?

なってるね、申し訳ないことに。とはいえ、演技というのはそれらしく見せるっていうことで、俳優はみんな実際にはできないことをそれらしくやって見せることに長けている。私はテクノロジーは非常に恐ろしいものだと思っている。エンジニアがほかのエンジニアを感心させるために作られているものだし、エンジニアによる、ほかのエンジニアのための取り扱い説明書が常についてくる。それだからテクノロジーというのはほとんどうまくいったためしがないんだよ。

デスモンド・リュウェリンのQの要素で、引き継ぎたいと思ったものはありましたか?

すべて。変える理由はまったくないと思った。脚本家はそれでいいと思っているかわからなかったけど、脚本が届いて、読んで、それでいいんだなと思った。私は心理的にちょっと変わった部分があるんだよ。脚本を脚本家として読むところがあって、書いてあるものがだいじょうぶなら、それでよしと思う。それから、俳優になる。そういう感じ方がどれくらいおかしなものかひとつ例をあげると、『ワンダとダイヤと優しい奴ら』の「逆さ吊りになる」シーンを書いたとき、思いついたシーンに満足したあとで、「なんてことだ、これを自分でやらないといけないのか」と初めて気がついたぐらい。だから、まず一度脚本家として読んでみてから、思ったね、Qとボンドの基本的な関係性を変える必要性がどこにあるんだろう?と。変える理由があると思えなかった。

これらの映画に参加したことで、どんな成果がありましたか?

非常に良い日給! それと、きちんとできるようにしてくれる、たくさんの良い人たち。この答えはほんとうだよ。ふざけているように聞こえるかもしれないけど、ほんとうにほんとうに良いんだよ。



もともとボンドファンでしたか?

そうだね、それに小説も昔読んだし。みんなボンドになりたいっていう幻想を持っていたけど、それは実生活でのボンドという意味で。私の言っていることがわかるかな。今思うと奇妙だけれども、若い頃でも気づいていたのは、映画で小さめのとてもいい役をやるイギリス人の俳優というのが一定数いるっていうこと。デヴィッド・トムリンソン、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト、ロバート・モーレイといった人たち。私は「ああやって生活していけるというのはすごくいいな」と思っていた。プロジェクトからプロジェクトへとのんびり渡り歩いていくというのはおもしろい。でも、食べていく必要がある。だから、ああいうふうにやっていくのはものすごくいいやり方だよ、鉱山の下にいるよりずっといい。

これまでの仕事を通して、ばかげたことに対してかなりするどい感覚を持っていることで知られていますが、ボンド映画についてもばかばかしいと感じることがいくつもあるのではないでしょうか……

主にタイトルだね。タイトルを覚えられない。なんだっけ?って、いつも途中で止めて考えないといけなくなる。『Dr. No(007/ドクター・ノオ)』とか『From Russia with Love(007/ロシアから愛をこめて)』とか、初期のものは簡単だったけど、今は「Don't Ever Die Tomorrow」みたいなのになってて……文句を言いたいと思うことは2つある。ひとつはタイトル。もうひとつはプロット。話の筋がかなり理解しづらい。というか、みんな話の筋についていけているんだろうかね?






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007/ダイ・アナザー・デイ』のときのジョンのインタビュー。連載の記事のためにQの衣装について調べていたのですが、ジョンQに関する情報がほんとにない。衣装デザイナーのリンディ・ヘミングのインタビュー動画やメイキングのコメントをなんとか見つけたけれど、それもほぼ100%ボンドのことでQの話はゼロ。何かないものか……と探していたら、ジョン本人のインタビューを発見! Qについてジョンが話していることは私が感じていたことと一致していたので記事にも入れましたが、せっかくだし全文を訳してみました。まあジョンですから、どこまで信じるかというのは読む人におまかせします……というような部分もありますが。元記事には写真がないので、『007/ダイ・アナザー・デイ』ロンドン・プレミアのときのを。この時も、ほんとうはテクノロジーは苦手、できないことをさもできるかのように見せるのが演技、と言ってました。



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