Investigates the Pitfalls of the DJ Lifestyle | CAHIER DE CHOCOLAT

Investigates the Pitfalls of the DJ Lifestyle

[ORIGINAL]
In Sickness and in Health: MEOKO Investigates the Pitfalls of the DJ Lifestyle...
PUBLISHED ON TUESDAY, 30 OCTOBER 2012 15:38
http://www.meoko.net/news/in-sickness-and-in-health-meoko-investigates-the-pitfalls-of-the-dj-lifestyle



MEOKOによる、DJのライフスタイルにひそむ危険についての調査と報告


DJたちにインタビューすればするほど、彼らのライフスタイルが健康に影響を及ぼしているということがよりはっきりしてきた。私たちも知っているように、全世界的なDJカルチャーは比較的新しい現象であり、彼らがやっていることに付随して起こってくることに関して、深く掘り下げた考察などはあまりない。これは、例えば、危険な環境で産業、工業に従事する人々の負うリスクと比較した場合など、少しばかり大げさに聞こえるかもしれない。しかし、それでもやはり、私たちMEOKOが関心を持って見ていきたいと思うことである。

DJの仕事には、健康に有害な影響を及ぼす可能性があると思われる要因が多くある。そこで、「過度にツアーをしながら生活することがどのように健康への悪影響となるのか」ということについて深く知るためには、NHS(National Health Service/英国国民健康保険)の専門家に話を聞くのが良いのではないかと私たちは考えた。毎週人々の前でプレイしながら世界中を旅するのは素晴らしい仕事ではあるが、その一方で、健康に密接な関わり合いがあるとも考えられる。これを認識し、必要に応じて対策を取らなければならないと私たちは考える。

そこでこの記事となったわけだが、DJたちに今彼らがやっていることをやめるように呼びかけたいというわけでは決してない。ただ、彼らの仕事の、いかにさまざまな要因が健康に影響を及ぼす可能性があるのか、そのほんとうのところをつかむために見てみようというものである。

睡眠不足:
数日間連続で遅くまで起きていて朝は早く起きること、あるいはまったく眠らないことが健康に影響するというのはほぼ予想どおりである。DJたちがツアーで移動しているにしても、アフターパーティに行っているにしても、新しい音楽を作るために一晩中スタジオで作業しているにしても、睡眠不足はDJ業界ではおそらく最もよくある問題である。集中力の欠如、運動能力の低下、ささいなことで腹を立てる、などとなるのが典型的だが、睡眠不足がうつ病につながることもある。もちろん、決して良いことではないものの、人は睡眠不足に慣れてしまうこともあるという。NHS(National Health Service/英国国民健康保険)の看護師長・Jacqui Jedrzejewskiはこのように述べている。
「眠らないことによって引き起こされる疲労は、気分に影響を及ぼし、家族や友人との関係や仕事をする環境で問題を起こします。平均的な成人は、一晩に7~9時間の睡眠を必要とします。これが不足すると、日中に正常に活動することが難しくなります。怒りっぽくなったり、集中できなくなったりします。極度の疲労も危険のもとです。例えば、交通事故の多くはドライバーが過度に疲れていることと関連しています。週に1回、一晩に10時間眠るくらいでは、慢性的な睡眠不足を補うのにじゅうぶんとはいえません。連続した睡眠不足から回復するためには、一晩にさらに多くの睡眠を取ること、あるいは、数晩続けて睡眠時間を伸ばすことが必要でしょう。適切な長さの睡眠を取り、睡眠不足を解消することは、脳の慢性的な睡眠不足による悪影響に対処するためにたいせつです」

常にツアーに出ていること:
睡眠不足とも関係しているが、今日のDJたちの多くは常にツアーに出ており、その状態に耐えているといえる。しかしそれは、彼らの身体と精神の状態に大きな影響を及ぼしている。いうまでもなく、睡眠不足や二日酔いの時、また、時差ボケで疲れ切って気分が下がっているときに、ひとつのタイムゾーンから別のタイムゾーンへの移動を続けることは、誰にとってもかなり良くないことである。それぞれの場所で過ごす時間が短いということは、身体がそれぞれのタイムゾーンに慣れる前に別の場所へ移動することとなり、不安定な状態が身体に残る。しかし、ツアーはDJカルチャーの中で大きな(そして利益の上がる)パートであり、今も昔も有名なDJの多くが世界中でブッキングを取り、プレイしている。

スーパースターDJの中には、20年近くもの間、地球を旅し続けている者もいる。健康の専門家であるJacquiは、それについての見識を示している。
「ひとつのタイムゾーンから別のタイムゾーンへ移動することと時差ボケは、身体的、精神的健康に幅広く影響を与えます。単純に眠くてぼーっとするといったことから、腸、泌尿器、消化器、血圧などへの影響までさまざまです。少なくとも、到着した場所の新しいタイムゾーンに身体を慣れさせるようにしましょう。そのための最も良い方法のひとつは、日中の太陽光のもとで過ごすことです。そうすることで、体内時計をずいぶん早く調整することができます」

アルコールの摂取:
DJが出るほとんどどのイベントでも、彼らに出演を依頼したプロモーターから無料のお酒が大量にふるまわれる。誰もが知っているようなビッグスターになると、彼ら専用のサポーターがおり、欲しいものをなんでも頼むことができる。ウォッカ、シャンパン、ラム、ウイスキー、ビール……好きなものなんでも。創作の過程をスムーズにし、夜を盛り上げるものならなんでも。このような環境では、我を忘れて飲みすぎてしまうのはとてもかんたんだ。もし、こういったことが週に2~3晩以上あれば、最終的には健康状態は非常に悪くなってくる。飲みすぎの影響は十分に立証されている。 —— 肝臓病はアルコールに関連した病気の中でも最も一般的なものである。健康の専門家であるJacqui Jedrzejewskiは言う。
「1日に3~4ユニット(飲酒量の目安としてイギリスで使われる単位。1ユニット=純アルコール 8g、成人が1時間におよそ分解できる量)以上のお酒を定期的に飲むといったことはすべきではありません。3~4ユニットは、例えば、一般的な強さのビール3本分、ダブルのウォッカ2杯分に相当します。かなりの量のお酒を飲んだ場合は、その後48時間はアルコールを控えるべきです。迎え酒は一時的に気分が良くなるかもしれませんが、長期的には良くありません。『アルコール摂取の度合いをコントロールしている』と周りに人に言うことは簡単ではないかもしれません。けれども、それをコントロールできれば、健康のためには絶対に有益です」

ドラッグの使用:
めったに話されることではないが、ダンスミュージックに関係しているほとんどの人が、ドラッグの使用はかなり一般的であることを、黙ってはいるものの、認めているという。とはいえ、音楽をプレイしたり、聴いたりしている人がみんなドラッグをやっているというわけではない。しかし、やっている人はかなりの割合でおり、やっていないように見せているだけだということがわかっていても、みな知らないふりをしているのである。この記事を書くに当たって、可能な限りのすべての要因や極限的なものを追求することが必要だと私は考えていた。そして、ドラッグの使用はそのひとつなのである。過度のドラッグ常用は、不安障害やパラノイア(偏執症)から、記憶障害、うつ病まで、多くの身体への影響がある。内臓に障害を与えることもあるのである。

NHSの代表、Jedrzejewskiは加える。
「気晴らしのためにドラッグを定期的に使用することが及ぼす長期的な影響には、うつ病、不安障害、パラノイア(偏執症)のようなメンタルヘルス問題が含まれています。睡眠不足や、これまで述べられているような、その他の要因が組み合わさることで、心の状態への影響はさらに大きくなります。身体的な問題には、肝臓、腎臓、心臓の疾患が含まれます。例えば、コカインとアンタフェミンは心臓への負担を大きくする原因となります」
彼女はさらにつけ加えた。
「では、薬物乱用の問題を抱えていると感じたら、どうすべきなのでしょうか」

ひとつ、「話しましょう」。
GP(General Practitioner/一般開業医。専門を限らず地域の人を診る内科医。イギリスではGPへの登録が義務付けられており、まずGPの診断を受けてから専門医に回される)、あるいは薬物乱用問題を抱えた人々を助けた経験があるセラピストなど、信用できる人にあなたの心配を話しましょう。

ひとつ、「助けを得ましょう」。
助けを求めて頼るべきところがわからなかったら、インターネットで検索してみましょう。薬物乱用の治療を専門とするところを知ることができます。

ひとつ、「今すぐ行動しましょう」。
中毒症状は、治療しないまま放置すると徐々に悪化し、深刻になります。極度の中毒の場合、身体的にも精神的にも深刻なことになり、死に至ることもあるのです。

背中、腰の問題:
背中や腰の問題は、かなり前からDJ界では一般的なことである。DJたちが音楽をプレイするのに、レコードが唯一のメディアだった頃は、ギグのためにレコードバッグを持って移動することは、当然彼らの背中や腰にかなりの負担をかけていた。現在では、運動不足、フライトの間ずっと座っていなければならないこと、DJブースで身体をかがめた姿勢でいることなども、背中や腰の状態悪化の原因となっている。Steve Bug(ドイツ人DJ)とHeidi(イギリス人DJ)は、DJたちの中でも特に背中や腰の問題に苦しんでいることで知られているふたりである。

Jedrzejewskiによると、こうである。
「背中や腰の問題は、世界中のあらゆる職種の人々の間でも一般的です。運動不足や1日中悪い姿勢で座っていることなど、多くの原因から、現代社会ではごくふつうのこととなってしまっています。背中のコアマッスル(インナーマッスル/体幹)を鍛えるのに、時間はほとんどかかりません。日常の中の色々な場所で、シンプルなデイリーエクササイズ(インターネットで見つかります)を実行するだけです。移動中でもできます。これらのエクササイズを日常生活の一部にすることで、長期的な症状となるのを防ぐことができます」

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耳鳴り:
DJのライフスタイルの中で非常に一般的で、どうしても避けられないもうひとつの問題、それは耳鳴りである。DJブースのモニタースピーカーの音の大きさ、定期的にクラブ環境にいること、また、プロデューサーにはスタジオの環境といったものもある。サウンドシステムから出る、世の中でも最も大きな音だといえるボリュームの音にかなり近い場所にいつもおり、さらにヘッドフォンから鼓膜への圧力が加わる、時には、ひどいEQシステムがあることもある。そういったことから、非常に耳鳴りになりやすいのである。深刻なケースでは、音楽の仕事をやめざるをえなくなってしまうほどの重い問題となるのである。耳鳴りに治療法はないが、ミュージックセラピー(音楽療法)や認知康応療法などを通じて緩和することができる。

Jacquiは言っている。
「聴力を守るために一番しなければならないことは、イヤープラグ(耳せん)をすることなのはいうまでもありません。聴力が最もたいせつである音楽業界において、DJたちは必要な道具、手段を使って自分の耳を守るための策をとらなければなりません。こういった世界で働いているということは、常に大音量にさらされ続けるということであり、適切に防御し、その大音量からの影響を和らげなければならないということなのです」

運動不足:
DJブースの中で飛びはねること、次のフライトに乗るために全力疾走することを除いては、ツアーをするDJの平均的な日常生活の中には運動する時間はおそらくほとんどないだろう。運動不足は、前述の背中や腰の問題だけでなく、心臓病から、太りすぎ、異常な眠気や無気力、総合的な不健康状態まで、さらに幅広くさまざまな問題につながる。これに関連するものとして、DJのライフスタイルの一部であるといえる粗末な食生活がある(プロモーターが準備する、クラブに入る前のディナーは別として)。空港や機内、その他ファーストフードレストランなどでの栄養価の低い食品は、彼らが健康的な食生活から得られる栄養を摂取できていないことを表わしている。

健康の専門家、Jacquiは言う。
「運動ときちんとした食事は、健康的な生活を維持するために最もたいせつなふたつの要素です。多くの人々がとても忙しい生活をしており、DJたちは特にそうなのですが、それでも、日課に10分間のエクササイズを入れることは、それほど難しいことではありません。同様に、きちんとした食事、(野菜やくだものをたくさん含んだ)バランスの良い食生活も、考えるほど難しくはありません。自分が何を食べているかを意識し、脂肪の多い不健康な食事を避けるようにするだけで良いのです」

うつ病/名声のストレス:
ツアー中の生活は、最初から最後までずっとひとつの大きなパーティというわけではない。DJたちは、人々から離れて、ホテルの部屋にひとりでいることもよくある。彼らのやっている生活を理解できない友人たちとは疎遠になることもあれば、長距離に隔てられ、ずっと離れていることで、親密な関係も壊れてしまうこともある。多くの要因がからみ合って影響するということはこの記事でもすでに述べられているが、最終的にうつ病で苦しむようなことになることもあるのである。また、名声のプレッシャー、つまり、常に人目にさらされていたり、ファンから色々と要求されたり、といったことが不安やストレスを引き起こすこともある。

Jacquiは言う。
「うつ病の影響は、悲しい、希望がない、などといった気持ちが続くことで、かつては楽しんでいたことに興味が持てなくなったり、すぐに泣いたり、絶えずいらいらしていたり……と幅広く、また、一般的にも、友人や世の中から孤立している、孤独である、誤解されている、などと感じることが原因でうつ病になりやすくなります。慢性疲労、不眠症、食欲不振、性衝動、さまざまな痛みや苦痛など、身体的な症状もあります」

DJのライフスタイルは、多くの人々にとって、夢を現実にしたようなものである。そして、彼らのようにさまざまな意味において極限的な生活をすることは、誰にでもできることではない。この記事の目的は、DJたちの行なっている生活に起因する健康上の問題のいくつかを見てみることであるが、彼らが長期的で深刻な問題の影響を避けるためにこの記事が役立てば嬉しく思う。





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ひとつ前の記事で訳した“DJS AND MENTAL HEALTH: ELECTRONIC MUSIC'S LAST TABOO”の中でも、気になったリンクだったので訳してみました。最後のパートのようなことは、私もイベントやパーティに行くたびにいつも思うことで、私たちはたまに行くからちょっとハメを外して楽しむんだけど、やってる人はあれが日常の一部なわけで。なんかわけわからなくなりそうだな、と。ホテルの部屋でひとり待ってる時間のことは、ダニロもインタビューで話していました。極限から極限にふれるような生活は確かにキツイでしょうね。ダニロは今ヨーロッパだけでなく割とあちこち行ってるようなので、ほんとムリしないでほしいものです。日本のDJの人たちもあちこち移動多い。小西さんも、年末とかパーティシーズンのスケジュールはかなりハードでした。日本は狭いとはいえ、新幹線や飛行機での移動は結構な距離なので、時間は短くてもカラダは疲れていると思います。どこにいても落ち着かない感じになりそう……って、これがダニロが話してた、「家に帰ってもおさまらない」っていうあの感覚になっていくのかな、もしかして。ああ~、もう、私たちを楽しく幸せにさせてくれている人たちが健康で幸せでありますようにと願うばかりです。切ない。……とか書いてたら、なんかとんでもないニュースが入ってきた。寝ます……(DJの話とは関係ありません)



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