病院に戻る日の外食は、庶民の天丼屋さんてんやにしました。
天丼を前に、
「どれから食べようかな〜」
なんて言っていた息子でしたが、じっと見つめたまま、1時間を過ぎても食べ始められませんでした
気持ちを切り替えて、病院に戻る時間です。
こんな感じでお店を後にしたことは何度もあります。
でも今回は、終わりにしようとしても息子は諦めきれず、トレーを手でガッチリとつかみ、席をたちません
天丼、好きだったもんな
食べたいものが食べれるとは限らず、調子によっては好きなものほど難しかったりします。
息子はシクシク泣き出してしまい、私は病院に電話し、遅刻の了承を得ました。
「もう充分頑張ったよ、悔しいけど気持ち落ち着けてさ、〇分になったら帰ろう」
店内は空いてましたが、もう少しだけいさせてくださいとお店の人にお願いしました。
慰めるとかえって泣いてしまうので、落ち着かせるために無言で時がたつのを待ち。
決めた時間が過ぎた頃、息子は小さくちぎった衣を、ヤケクソみたいな感じで急いで口に放り込みました。
ほんの小さなカケラでも、初めのひとくちさえ口に入れられれば‥!
天ぷらを持って食べ始め、表情から恐怖が消えてるのを横目で確認し、
「食べれてたんだね‥‥よかったねぇ
それなあに?」
と小さく声をかけると笑顔も見せ、おいしそうにバクパク
ところが、その様子に夫が思わずテンション高く、
「できたじゃないかぁ〜」
なんて頭を撫でてしまい、とたんに息子の表情が一変!
入ってくんなとばかりに瞬時に椅子ごと後ろに下がり、また泣いてしまいました
なんとか気を取り直してまた食べ始めてくれたからよかったよぉ
完全にノーマークだったお味噌汁までも、躊躇なく4本指ですくって飲めました
5割ほど食べ、残りは負のオーラ全開のパパに‥
訳アリの私たちを長時間いさせてくれたお店に感謝です。
お店の人、一部始終に驚いただろうなぁ。
あの子どもは拒食症だったか‥と思いきや。
お通夜のような数分後、子どもは隣の母親と笑ってパクパク食べていて、向かいの父親は真下を向いて落ち込んでいる‥
しかもなんだあの味噌汁の飲み方は
と。
別れ際、切り替えてる息子に笑顔で話しかけられ、暗かった夫は少し回復
ドンマイだパパ!
息子大泣きでの退店、電車、別れにならなくてよかったぁ〜
重心後ろの時もあるし、車じゃないので、毎回、スリル満点の行き帰りです