フミちゃんの思い出 | アメリカの片田舎で淡々と暮らす日常

アメリカの片田舎で淡々と暮らす日常

ミドフォーのワーママです。よろしくおねがいします。

子供のお迎えに行ったときのこと。
保育園の出入り口で3,4歳くらいの女の子2人とすれ違った。
仲良さそうにお喋りしている。
その子たちをみていたら、フミちゃんを思い出した。

 

当時4歳。 フミちゃんとは、いつも一緒。
その頃の私は、先生に懐かない、可愛げのない子供で、
フミちゃんとふたりで大騒ぎする、登園拒否する、いわゆる問題児だったらしい。
怒られてばかりの保育園は嫌いだったが、フミちゃんと遊ぶのは大好きだった。
一緒に夏祭りにいって、盆踊りをして、コーラを飲んだ。
ひな祭りには、フミちゃんのお母さんがパーティーに招いてくれた。

フミちゃんのお母さんはきれいで優しくて、いつもおしゃれな服を着ていた。
フミちゃんの家は大きくて、玄関には鎧兜と柱時計があり、まるでお城だった。
段飾りの前でケーキを食べるフミちゃんは、綺麗な洋服を着ていて、
お姫様のようだった。

 

でも、次の年の夏祭りが来る前に、フミちゃんは保育園に来なくなった。
私立の小学校に行くために、引越したのだと聞かされた。
私はとても悲しかったが、フミちゃんの大きな家は、
表札がかわらずそこにあったので、いつかまたもどってくると思っていた。
それから何年もたって、私は進学のために上京し、
地元へ戻るのは、正月休みくらいになっていた。

ある年末の買い物中、私と母は、地元の繁華街にある大きなパン屋に立ち寄った。
そのパン屋は、ヨーロッパをイメージしたルネッサンス式の建物で、まるでお城。

パン以外のハイカラな食べ物やヨーロッパのおもちゃなどを置いている素敵な場所。

地元を出てからも帰省のたびに行っていた。
買い物を終えて店を出ようとした時、母が突然、フミちゃんを覚えてるかと聞いてきた。

何年か前、フミちゃんのお母さんがここで働いているのを見かけたらしい。
いつも綺麗な格好をしていたお母さんが、エプロン姿で働いているのを見て、
とても声をかけられなかったそうだ。

 

フミちゃんが引っ越した理由は当初、小学校受験と聞かされたが、
実は両親の離婚で、お母さんについていったからだった。
フミちゃんが住んでいたあのお城は、今はフミちゃんのお父さんと新しい家族が住んでいて、
あの保育園にはフミちゃんの異母兄弟が通っているそうだ。
それを聞いて以来、私はそのパン屋から足が遠のいた。


そのパン屋も全面改修のために移転し、お城は近代的なビルへと変わるべく工事中。

私も当時の母の年齢を超えた。フミちゃんは今、どうしているだろう。

保育園に通う、もしくはそれより大きな子供がいるお母さんになっているのだろうか。

ただ、記憶の中のフミちゃんは、4歳のまま、私に笑いかけている。