「5年生の頃」

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あたしは部長になった

パートにいる時間が
減ってしまったのも
練習する時間が
減ってしまったのも
事実です

だからあたしは
パートにいる時間を
大切にしようと思った

パート練では
自分の持っている全てを
後輩に教えたいと思った



クラリネットパートは
「マズルカ」という
壁にぶつかっていた

クラリネットのソロ?だった

何回も何回も
練習した

パート練では出来るのに
全体練では出来ない

エンドレスだった

マズルカは開会式で
演奏することになった

しかも暗譜で

ウチらは暗譜なんて
とっくの昔にしていた

それだけマズルカは
練習していたから

しかしあたしは
本番直前の舞台裏で
頭の中が真っ白になった

思い出せない

指が動かない

そんな状態で
本番を迎えた

・・・・・・・・・・失敗した

完全に落ちた

指揮者の響ちゃんが
指揮をしながら
「大丈夫だよ」
って顔をしてくれたのを
覚えてる

けどそれ以降の記憶がない

どうやって演奏を終えて
退場したんだろう

気づいたら舞台裏で
泣いてる自分がいた

気づいたら響ちゃんに
背中をポンポンされていた

部長として部員を
誘導しなくちゃいけなかったのに
涙が止まらなかった

悔しかった
自分が憎く感じた

家に帰ってから
何回も練習した

次の日の本祭で
必ずリベンジしよう
と思った

本祭は
2日間とも成功した

緊張で手汗がすごかった

けど成功で嬉しくて
演奏後に泣いた

今度は嬉し涙だった

みんなに
「良かったよ!」
って言ってもらえた

マズルカは銀杏祭で
封印されちゃったけど

クラの後輩と
「ウチラの思い出の曲って
マズルカだよね」
って定演前に話した


この銀杏祭で
あたしの中の何かが
確実に成長して強くなった
気がする

緊張しても
このときを思い出せば
出来る!って思えた
「4年生の頃」

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あたしはパトリになった

不安よりは
ワクワクした気持ちのほうが
大きかった

色々と理想や目標もあった

でも絶対に
これだけは2年間
守ろうと思っていたことがあった

・後輩を不安にさせない
・後輩に「部活が楽しい」と言ってもらえるようにする

これは自分の今までの
経験から思ったこと



この年にクラには
1年生が入った
…ゆりちゃん

キラキラして
笑顔の可愛い子だった

クラパートの
天使のような存在

ゆりちゃんは
ビックリするくらい
上達が早かった

朝練もちゃんと行く努力家

あたしが教えると
後輩が出来るようになる

教えることが
こんなに楽しいことだと
知らなかった


2年生のれいな

れいなは先輩になった
正直かなり焦っていたと思う

後輩に抜かされる

っていつも言ってた

けどその焦りで
一生懸命に練習する
れいなの姿があたしは
大好きだった

そしてれいなは
トトロの「さんぽ」を
頑張っていた

クラリネットのソロ
れいなのパート2ndは
超重要

緊張と不安で
定演本番2分前に
れいなは泣き出した

あたしは
「間違えたって良いんだよ。」
それしか言わなかった
れいながそれまで
頑張ってきたことを知ってたから

あたしは嬉しかった
不安と緊張で
泣いちゃうくらい
演奏と向き合ってる
れいなの気持ちが嬉しかった


定演の後のセレモニーの後に
後輩2人があたしのところに来た

すると後輩2人が
「先輩いつもありがとうございます」
と言って
手紙とジュースをくれた

ビックリした
引退しないのに後輩から
手紙とかをもらえるとは
思っていなかった

あたしは幸せ者です

こんな後輩2人と頑張った
この1年は本当に楽しかった
「3年生の頃」

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あたしにも後輩ができた

この後輩がいたから
あたしは部活を5年間
続けることができた


この頃のクラリネットパートには
問題があった

パートリーダー(パトリ)が
部活に全く来なかった

だからあたしは
自分のパートも練習して
パトリのパートも練習して
後輩の指導もしていた

全てをこなすことは
無理に近かった

全体練では指揮者に言われて
パトリのパートを演奏していたから
自分のパートの練習ができなかった

けどあたしは我慢していた
文句なんて言わなかった

合宿が近づくとその我慢に
限界がきた

あたしは本音を
パトリにぶつけた
それは合宿中の夜中だった

真っ暗でパトリの顔が
はっきりと見えなかったから
本当の気持ちを全部言えた

ちゃんと
「つらいんです。部活に来てください」
と言った

泣きそうだった

けど伝えた
これでもう大丈夫だと思った

しかし合宿後も
パトリは部活に来なかった

悔しかった

だからあたしは
パトリのソロを奪った

銀杏祭に出なくていい
もう来ないで

と指揮者と一緒に
本番30分前に伝えた

パトリは泣きながらいなくなった
本当に本番は出なかった

しかし結局2日目は
パトリは本番に出た

あたしは悔しくて
泣きそうだった

銀杏祭後も
結局パトリは部活に来なかった

あたしは部活を
やめようって真剣に思った

なんであたしが
こんな思いしなくちゃいけないんだ
もう部活なんてやめたい
行きたくない

って毎日思っていた

けどある思いが
この考えをくい止めた

「よし、退部しよう」
と思った瞬間に
頭にフッと出てくるのは
後輩の顔だった

後輩はどうなるの?
1人になっちゃうよ?
それで良いの?
後輩までつらい思いさせるの?

自分に問いかけた

……退部はできない

あたしは退部どころか
1回もさぼったりしなかった

素直に甘えてくる
後輩が大好きだった

だんだん気持ちは
ポジティブになった

ツラくなくなった

パトリに対しての
悔しい思いもなくなった

しかし定演前になっても
やっぱりパトリは来なかった

あたしは平気だった
もうその頃には慣れてきていた

パトリが珍しく部活に来たときも
あたしは笑顔で迎えた

けど本当は大丈夫じゃなかった

ストレスに気付かなかった

あたしは定演2日前に
インフルエンザで倒れた

ストレスによって
体は疲れ果てていた

定演に出れないかもしれない
という不安で
あたしは家で泣いた

そんなとき先生が
「三枝さんのために
みんなでインフルエンザにかかりましょう」
とミーティングで言ってくれた(らしい)

おかげで
あたしは定演に出ることが出来た

当日は38度の熱があった

2日休んだせいで
出来ていたところが
出来なくなっていた
悔しかった

定演後の引退セレモニーで
パトリにプレゼントを渡すときに
あたしは涙が出た

引退セレモニーで泣くのは
初めてだった

迷惑いっぱいかけられたはずなのに
パトリが引退するのは
悲しかった

なんだかんだ言って
3年も一緒にいたパトリが
大好きだった

パトリのおかげで
強くなれたし
色々な考えを持つことができた

今思うと
感謝したくなってしまう

今ならこの1年間のこと
笑って話せます