翌日、朝。
娘が学校の準備をしている時。
夫から娘に電話がかかってきた。
そのこと自体は、珍しいことではない。
モーニングコールのように、
おはようの挨拶で電話をすることは、
単身赴任になってからよくあることだった。
電話を切った後、
娘が自ら話した内容話を教えてくれた。
「パパ、昨日の夜、
会社のイベントの準備を、会社の人としてたんだって。家で」
ここで、警戒するべきだったんだ。
問いただすべきだった。
家に女性がいたこと。
言い訳が “飲み会” から、
“イベント準備” に変わったこと。
人を家にあげるイメージのない夫の、
これまでにない行動を。
私は今まで夫を疑ったことがない。
人の道を外れるようなことをするはずがないと、
夫を信頼し切っていたから。
間違いだった。
人は簡単に、
本来守るべき人を裏切ることができる。