一度目の探索記事→【廃集落・廃村】冠岩集落【秩父】 2018.4月
二度目の探索記事→【廃集落・廃村】冠岩集落再訪【秩父】 2018.8月
2018年、11月某日。
白岩集落再訪その2 からの続き――
この再訪記事も同様、特に書くこともない。従って、集落については一度目の記事を参照されたし。
白岩の探索を済ませ、登山コースへ戻り、そして鳥首峠の頂上へ到着。
時刻は11時20分前。集落跡からは約35~40分程度で到着したことになる。
毎度ながら途方もない距離、九十九折の上り坂に思えたが、時間からすればそこまで経過していなかった。
↑飯能側の眺め。
↑秩父側の眺め。
↑飯能側のry
↑秩父側のry
三度目ともなれば、経験則から来る余裕によってほんの少しは精神的・肉体的な疲労も一度目よりかは少ないと思われる。
決して油断はできないが……。
ともかく、頂上からの眺めを写真に収め、休憩する。
季節によって山々の様子もまた異なり、それを身をもって体感できたことは誠に感慨深い(語彙不足)。
などと感慨に耽りつつ休憩していたら、森の中から「ガサッ」という物音が。
はあ、なんだかデジャヴだな――と思いつつ、同時に「はい死んだ~ww(^q^)」と走馬灯のように思い出が駆け巡る。
できればいつかのように「鹿さんでありますように」と願って、その音がした方へ視線を向ける。
「こんにちは」
すると、鹿でも熊でもなく人間だった。
私は九死に一生を得た。
……脅かさないで。おしっこちびるかと思った。
今になって思い出せばその記憶はおぼろげではあるが――バケットハットに長袖のネルシャツ(あと確かベストをしていたようにも思える)、そしてスラックスのような生地のズボンを履いた、物腰の柔らかい朗らかな紳士がそこにいた。
森の中から現れた老齢の紳士は、さながら妖精のように神秘的な雰囲気を纏って私に話しかける。
私も挨拶を返し軽くやり取りすると、なんでもこの紳士は白岩の採石場跡の風景や、集落跡の風景をスケッチする為に訪れたということだ。
なんとも素敵な趣味ではないか。
会話していると、彼から冠岩のことについて話が出る。
私はこれからそこを目指すというと、「ここをずっと下りていかれるのですか?」と、紳士も冠岩について興味があるようだった。
何度か来たことがあって~と前置きをした上で、その行程をおおざっぱに説明すると、彼は「後でまた来てみようかなあ」というような返答をした(ような気がする)。
まさかこの鳥首峠、三度目の登山で初めて人と出会い、そして会話することになるとは。
やがて互いに別れの挨拶を交わすと、紳士は再び森の中へ消えていった……。
もしかしたら彼は山に住む妖精や仙人だったのかもしれない(失礼)。
初めての体験に少し呆然としていると、時刻は正午へ向かう。
まだ冠岩と山掴集落跡を巡る目標があるため、休憩もそこそこに再び行動を開始。
山を下り、冠岩集落跡へ……。
頂上から約一時間後、冠岩集落跡に到着。
また会えました。三度目の出会い、これはもう運命としか言いようがない。フォーリンラブだ。
三度目の再会も束の間……。これ以上探索する箇所もないため、この集落跡の様子は以上をもって終了となる。
またいつか会おう、カブちゃん――
山を下り、秩父側の登山口へ到着。
今回も無事に下りることができた。ありがとう、「山の遭難をなくしたい者」。
極彩色の絢爛な紅葉に包まれながら、登山口から林道を経て、現役の一般道へ出る。
秩父側、浦山ダムの周辺だ。
いつものように大日堂のバス停を目指し、20分だか30分で到着。
公衆トイレで用を足し、ベンチに座って行動食を貪り、そして一服。
今回はまだ時間に余裕がある。
すなわち山掴集落跡を回ることができる。
そうして、数分間の休憩の後に重い腰を上げ、鉛のような足に鞭を打って、再び歩き出した……。
今度こそ、山掴集落跡へ――