本日の読書感想文


 

もしも徳川家康が総理大臣になったら

眞邊明人
 

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という。歴史上の偉人たちは、この国のために知恵の限りを尽くしてきた。かつて政治は命懸けだったのだ。時代時代に求められたリーダーが活躍していた。そしてそのDNAは今に受け継がれているはず。私たちはもっと歴史に学んでもいいのではないかと思う。

 

 

 ジャンルを超えた新感覚エンターテイメント

今年7月に映画化されるこの作品。公開が楽しみです。

 

この本の舞台は2020年の日本、時の総理大臣がコロナに感染して死亡したという設定。そこに登場したのが、AIとホログラムによって復活させた歴史上の偉人達による最強内閣。総理大臣は徳川家康、官房長官に坂本龍馬、経済産業大臣に織田信長、財務大臣に豊臣秀吉、外務大臣に足利義満といったメンバー。

 

この本は、著者曰く「ジャンルを超えた新感覚エンターテイメント」であり、「ビジネス小説」なのだ。前半部分、コロナを収束させるためのあまりにも素早い決断と実行力に、過去の日本人ってすごかったんだと感心していたら、途中からサスペンスチックになって、ハラハラドキドキ。朧げな歴史の記憶をだどり、時にネットで調べて、この世界に引き込まれていった。

 

 

 リーダーとはかくあるべし

例えば秀吉。

秀吉といえばスピード。実行力、計画性、構想力に優れている。彼は「仕事と思うな、祭りと思え」と言って部下を鼓舞した。確かに政治は祭りごと。

 

またこうも言っている「やるべきことが明確であるからこそ、日夜寝食を忘れて没頭できる」そして、ゴールだけを見せて、やり方は任せたのだ。現場のことは現場の方がわかっている。秀吉様に「よろしくな」と言われたら、全力で応えようとしてしまいそうだ。

 

また家康は「政とは時には厳しいことを民に強いることもある」という。

決してきれいごとは言わない。人気取りでその場を丸く収めるようなことをしないからこそ、江戸時代という長く続く時代の基盤を作ることができたのだ。

 

家康は、領土を拡大して成長することを止めた世界にも稀なリーダーだったといわれる。彼は安定を求めたのだ。だから江戸時代は長く続いた。

 

私は東京に住んでいるのだが、江戸城が皇居になり、あちこちに家康が風水的に整えた痕跡を見ることができる。歴史は過去からずっと繋がっていて、現代のこの国は、過去の偉人たちが命をかけて築いてきたものなのだ。今は城も町もないけれど、リーダーとはかくあるべしというものを示してくれている。

 

 

 時代に必要とされるリーダー

家康や秀吉だけではない。それぞれの時代に、必要とされる人材が活躍していたし、その考え方は今でも応用することができる。全国民に現金を配ったり、リモート国会、歌舞伎町再編、楽市楽座、リモート万博など、やり方をちょっと変えれば、すぐにできそうだ。

 

そして潰す役割のリーダーもいれば、立て直す役割のリーダーもいた。わざわざ偉人たちをホログラムで復活させなくても、その考え方だけを現代の政治家がインストールしてくれればいいのだ。今の大臣が「信長だったらこうしたと思う」なんて発言をしてくれたら、もっと政治も面白くなるのではないか。

 

この最強内閣は、各自が過去に得意とした業務を担当している。かつてやったことがあるから、今回もできると思っている。だから先にゴールを決めて、できる方法でやることができるのだ。彼らは過去からきたので、なんのしがらみもない。そこがまたいいのだろう。

 

どの偉人たちも自分の強みを知って、なすべきことをなしていた。それはもう、清々しいほどだった。

 

この本で特に印象に残ったのは、偉人たちが「決めたことは守る」という態度を貫いていたことである。自分との約束を守るのは難しいと言われるが、どうしたらできるかだけを考えてただやるという姿勢は、今の私に一番必要だ。

 
 

 さいごに

最後にやはりこう思う。私達の先祖はなんと優秀なのだろうと。日本人って、やっぱりすごい。これを過去のこととしてしまっておくのはもったいない。だから私達はもっと歴史に学ぶべきなのだ。政治家だけではない。

 

私達も、自分がリスペクトする偉人を決めて、その人の業績や考え方を学び、その思考をインストールすれば、今の自分よりも素晴らしい脳になって、人生が充実してくるのではないかと思う。

 
 
 

人生は1度きり。だから思いっきり楽しむべきよ。

by ココ・シャネル