この記事の要約

〇仕事の契約形態には雇用契約と業務委託契約の2つがあるよ。まず自分の働いてる所の契約がどっちか確認しよう

〇雇用契約の収入は皆知ってる通り103万まで確定申告しなくていいけど、業務委託契約の収入は経費を引いた後の金額が48万超えたら確定申告しないといけないよ

〇もし業務委託契約の仕事が「家内労働者等の必要経費の特例」に該当する場合、実際に経費がかかっていなくてもみなし経費が使えるので所得額が下げられるよ

〇もし申告をしないといけなかったのにしていなかったとしても、今から5年前までの分は期限後確定申告ができるよ

〇初めてだったけど税務署の人にやり方を聞きながら確定申告できたよ(時と場所と場合によるかも)

〇最初に業務委託契約の説明をしなかった会社を許さないよ

〇所得税の相談はネットじゃなくて国税局や税務署に聞こうね

〇住民税や社会保険料の相談は役所に行こうね


※この記事は所得や税金のあれこれについて知ったばかりの素人が書いています。用語や内容に誤りがあるかもしれません。コメントでご指摘いただいた場合は修正させていただきます。


塾で働き始めて早5年


私は大学に入学した頃から、かれこれ5年半塾講師として働いている。

大学受験直前の夜の食卓で、祖母に「大学入ってバイトするなら家庭教師とかにしなさい」と言われたのが何となく頭に残っていたのと、家庭教師や塾講師は時給が良いらしいという噂、あと高校卒業後にやった単発の倉庫バイトとスーパーのバイトに良い思い出がなかったので違う職種がやってみたかった、というのが発端。


大学生の間、塾の稼ぎだけでは自分の金遣いに対応できなかったので塾の傍ら色んなバイトを経験したが、どれもほとんど1~2ヶ月しか続かなかった。

塾だけは教室の性質上そんなに気張らなくて良いのと、そんなに高くはないが普通のバイトより時給が良いこともありもう5年以上続いていて、同期は大学卒業と就職を機にごっそり辞めていったため、今は私が(教室担当の社員含め)最古参である。


業務委託契約とは何ぞや


ところで皆さんは業務委託契約という言葉をご存知だろうか。


私も素人なので完璧な知識ではないのだが、世の中の働く形には大きく分けて雇用契約業務委託契約の2つがあるらしい。

大体のアルバイトは雇用契約である。労働法に基づき、最低賃金や労働時間、社会保険や有給や労災など様々な保障がある。

一方業務委託契約は、労働法の適用外であるために上記のような保障はなくても良いことになっている。これらの保障をしたくないがために業務委託契約を持ち掛ける会社も少なくないとか何とか。


私が自分の塾講師の仕事が業務委託契約であると知ったのは、令和2年4月、コロナ禍に突入し塾が2ヶ月休みになった時であった。

突然の2ヶ月間収入0で支払いに追われていた私は、当時の上司に当時のコロナの休業支援金が適用にならないのか、有給扱いにして給料は出ないのかと聞いたのだが、「業務委託契約なので支援金の対象ではないし、講師に有給はそもそも存在しない」という回答だったのである。


これにはびっくらこいた。調べてみると確かに上司の言う通り、業務委託契約は労働法の対象外なので労働者としては守られない。

何て抜け穴を使いやがるんだ!と憤慨したのを今でも覚えている。


103万の壁と思いきや


こうして2年目にして業務委託契約の狡猾さにハンカチーフを食いちぎらんばかりだった私だが、この時はまだ業務委託契約のもう一つの穴を知らなかった。


「103万の壁」という言葉は、アルバイト含め働いたことのある人なら誰もが知っているだろう。給与所得が103万を超えると所得税がかかるから気を付けなさいよ、というやつだ。


私は塾の仕事が業務委託契約ということを知ったわけだが、その後も認識はずっと「アルバイト」のままだった。

「アルバイト 所得税」と調べればどのサイトも103万を超えると~と出てくる。故に、自分の収入は全部足しても何十万にしかならないし、確定申告はしなくて良いや~と思っていた。そして、一度も確定申告をしたことはなかった。


ところがどっこい、この業務委託契約で得た収入というのは普通の雇用契約で得られる給与所得ではなく、事業所得または雑所得という全く別の扱いになる。

2つの違いは継続的に得ているものか、単発で得たものからしい。その定義に則れば私の場合は事業所得ということになる。


そしてこの事業所得(正確には、業務委託契約の仕事で得た収入-働く上でかかった経費=事業所得、と計算する)、年間で103万ではなく48万を超えたら確定申告しないといけないのである。


仕組みとしては、雇用契約の収入に使える控除は基礎控除48万+給与所得控除55万=合計103万となるため。収入-控除=課税対象となる所得金額なので、収入が103万以下であれば課税対象は0円となり、所得税が発生しない(=申告不要)というワケ。

一方業務委託契約の収入に使えるのは基礎控除48万のみで、給与所得控除は適用されないためであるらしい。(給与所得ではないのでそれはそう。)


私がこれに気付いたのは、今年(令和6年)の私の収入は所得税は発生するのかな~?と何となく調べ始めたのがきっかけだった。私は今年3月に大学を卒業後、勤務時間を増やしたため、収入が去年よりも多くなったのである。

当初の認識としては、基礎控除48万、給与所得控除55万に加え、私は双極性障害で精神障害者手帳3級を持っているため障害者控除27万も適用。控除は合計130万なので、130万までは稼いでも所得税0、という認識だった。


ところがどっこい(2回目)。

業務委託契約の仕事は給与所得控除55万が適用にならないと分かったわけである。

この時の焦りは半端なかった。

もっと言うと、障害者手帳を持ち始めたのは2年前だから、3年前以前は障害者控除もない。

つまり、本当に年間48万を超えたら申告しないといけなかったわけである。


うそうそうそうそ。

5年前から申告したことないよ。

48万絶対超えてるって!

えっどうしようどうしようどうしよう。


焦って調べたら、今からでも5年前の分は申告できるけど、延滞税とか無申告加算税とかがかかるとかかからないとか書いてある。

ますますパニック。

今月の支払いもカツカツなのに延滞金とか払えんて!


慌てて親に連絡した。

「何か103万超えてないから確定申告しなくていいと思ってたのが業務委託契約だと48万からしなきゃいけなかったみたい。5年前からしないといけなかったのにしてなかった。税金とか色々やばいかも」

連絡後も慌ててググりまくること数分。


やがて親から返信が来た。


「この『家内労働者等の必要経費の特例』ってやつに当てはまらん?


初耳である。何じゃそりゃ。


調べてみると、



「事業所得または雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。

しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円まで(令和元年分以前は65万円。以下同じです。)認められる特例があります。

(注)家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。」


親が言うには、この「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人」に塾講師が当てはまらないか?ということだった。


調べてみると出てきたサイトでは、塾講師は当てはまるとなっていた。

確かに、特定の者(塾の会社)に対して継続的に(単発ではなく)人的役務(生徒に学習指導をする)の提供を行うことを業務とする人ではある。

これが例えば個人でピアノ教室をやるとかだと、特定の者ではなく不特定多数の生徒が対象となるので不適用らしい。

とはいえググって出てきただけのよく知らないサイトが必ずしも正しいとは限らないので、この辺の判断は税務署や国税局などオフィシャルな所に確かめた方が良いと思う。


私も念の為国税局に電話して確認してみたところ、私の働き方なら本当に当てはまるとのことだった。

この特例に当てはまるということは、経費として(実際はかかっていなくても)最大55万円を計上してよく、そして事業所得=収入-経費なので、所得額がめちゃめちゃ低くなるということである。

やったー!教えてくれてありがとう父ちゃん!


なお、所得が事業所得のみの人はこの計算で良いのだが、私のように事業所得と給与所得の両方ある人だとちょっと違ってくる。

ざっくり言うと、経費は55万満額ではなく、55万から給与所得を引いた額となる。つまり給与所得が55万を超える人はこの特例は利用できない。というか、経費が0円扱いになってしまうので使う意味がない。私は給与所得が高い年でも30万行かなかったので利用できるということになる。

事業所得のみの場合より経費は低くなるが、結果として私の場合特に影響はなかった(計算例は後述)。


しかし特例が適用になるとしても、全部の計算のやり方や、どの控除が適用されてどれが適用されないのか、そもそも所得税が課税される年はあるのかなど、分からないことだらけだったのと、国税局の人に「もし所得税が0になるとしても、所得額の証明のために確定申告はしておいて損はない」と聞いたので、念の為期限後確定申告というものをすることにした。

通常確定申告は2~3月頃に前年分を申告するのだが、もしそれを過ぎてしまっても、5年前までは遡って確定申告できるというものである。

この5年前までというのが助かった。塾で働き始めたのが6年前以前だったら絶望していた。


相談は税務署へGO


計算含め確定申告のやり方が、特に私のように

〇事業所得と給与所得の両方ある

〇家内労働者等~に該当

〇障害者控除適用

の場合、どうしたら良いのか調べても全く分からなかったので、最寄りの税務署の対面相談を予約した。


電話口で言われた持ち物は、

①過去5年間の源泉徴収票(雇用契約の給与や源泉徴収額が載っている)

②過去5年間の報酬明細・支払調書(業務委託契約の収入となる額が載っている)

③マイナンバーカード(マイナンバーがオンライン申請に必要)

④スマホ(オンライン申請に必要)

の4つ。

①②は言われなくても絶対必要だと分かっていたので、塾の会社の他、過去に働いていた会社全てに連絡を取り再発行してもらって、全部の書類が揃ってから税務署に電話した。

③④は常に携帯しているので説明不要。


普通の確定申告のシーズンはめちゃめちゃ混むと聞くが、9月に期限後申告ということもあり予約はすんなり取れたし、行ってみたら私の他に1、2人しかいなかった。

ネットでは「一般的なことは答えてくれるけど個別の計算やどの控除が使えるとかは教えてくれない」という情報が多かったが、人が少ないのもあってか1時間1対1でつきっきりで計算や申告のやり方を教えてくれた。


例えば私の業務委託契約の収入が40万、給与が25万の年の場合。

経費=家内労働者等の必要経費の特例55万-25万=30万

事業所得=40万-30万=10万

給与所得=25万-給与所得控除55万=0万

課税所得=10万+0万-基礎控除48万-障害者控除27万=0万

よって所得税は0円ということになる。


これはあくまで一例である。事業所得でなく雑所得にあたる場合は計算も変わってくるらしい他、私も100%正確な計算の仕方は分かっていないが、担当してくれた税務署の方が「家内労働者等~」適用の場合の計算プリントのようなものを渡してくれたので、それに収入や経費や給与を書き込み、プリントの手順に沿って電卓で計算した事業所得をe-Tax(オンラインで確定申告が出来るサイト)に打ち込めばOKだった。

最初に令和5年分を担当の方と一緒に計算しながらやったが、慣れれば意外と簡単で、過去4年分の申告は1人で出来た。


結果的に、令和1~5年全てにおいて所得税は0。これには一安心。

さらに雇用契約のアルバイトで源泉徴収されていた分が合計15000円ほど還付されることが分かった。

当時給与明細を見た時は数千円くらいだし確定申告って面倒臭そうだし良いやとスルーしていたのだが(良くはない)、積み重なると結構大きい。申告して良かった!


ただし会社、テメーはダメだ


めでたしめでたしで終わると思ったか?

確定申告が一段落した今、私の怒りは契約相手である塾の会社に向かっている。


最初にサインした契約書には確かに業務委託契約と書いてあったので法的には騙してはいない。

だがしかし。

多くの人が大学1年生からアルバイトを始めるとして、18歳かそこらのちょっと前まで高校生だったような人達に、雇用契約と業務委託契約の違いやメリットデメリット、48万超えたら申告しないといけないとか、この仕事は家内労働者等~に当たるとか、説明しなくても全部分かってると思っているのだろうか!?

今の時代知識がなくては生きていけないような世の中ではあるが、その辺の説明義務とか何もないのだろうか?

甚だ疑問である。


現に私の同期の1人も3年ほど何も知らずに働いていて、確定申告が必要になった年に源泉徴収票の発行を依頼したら、業務委託契約だから源泉徴収票じゃなくて~と説明されて初めて知ったとか。ダメじゃん。


まあそれはそれとして


所得税がかかるのかかからないのか不安でしょうがなかったのが解消されたし、源泉徴収されてるけど面倒臭くて確定申告してなかった人は還付金がある可能性もあるし、今はe-Tax使えばめちゃくちゃめんどくさくはないので、気にかかるようだったら確定申告するのをお勧めします。


ちなみに期限後申告するか決めかねてた時に知恵袋で金額とか書いて申告すべきかどうか質問したら、「税務署はそんなはした金追ってこないから申告せんでいい」みたいな回答がついて、その辺きっちりしたいタイプの私はキレた。そんなこと言って、万が一後から摘発されたりしたらどうしてくれるんだ。

まあ実際されないらしいけど、故意に脱税はしたくない。したくなくない?

25になっても赤信号守ったりエスカレーター右側でも立ったりする人間だから真面目すぎるのかもしれないけど、ルール知っててわざと違反するのは違うと思うんだな。


あと知恵袋じゃダメだと思って税理士ドットコム(税金の質問に税理士が無料で回答してくれるらしい)も使ってみたけど、回答の情報が古かったり返信の度に計算金額が変わったりして全然信用ならなかった。あれ本当に税理士なんかな。


きっちりしときたい人は、税金のことはネットじゃなくて国税局や税務署に聞きましょう。


払わなきゃいけないものが多すぎる


そう、私は知っているんだ。所得によって金額が変わるのって所得税だけじゃないよね。

住民税とか社会保険とか年金とかってどうなるん!?


調べたら所得税は国税局や税務署の管轄だけど、住民税や社会保険は各自治体の役所の管轄らしいので、役所の部署をハシゴして聞いてきた。


なお、聞いた内容はあくまで私の場合の話、また私が住む自治体での情報なので、もしかしたら都道府県や市区町村によって異なるのかもしれない。

各自調べたりお住まいの自治体に問い合わせたりするのをお勧めする。


住民税 

・合計所得金額が45万を越えなければ住民税非課税。

・障害者の場合、合計所得金額が135万を超えなければ住民税非課税。

・合計所得金額の合計が48万を超えなければ扶養に入れる。(所得税も住民税も)


社会保険(国民健康保険)

・基本的に世帯の所得の合計が高くなるほど保険料も高くなるが、金額には上限がある。

私の場合家族が高給取りすぎて既に上限の額を払っているので、私の所得が増えた所で保険料に変更はないらしい。

もし変更になったとしても通知が来るそうなので安心。


国民年金

・そもそも保険料は一律(約1.7万)なので、所得が0でもウン千万でも変わらない。


厚生年金

・金額は会社が支払う給与(私の親が支払われた給与)に依るので、私の所得は関係ない。


今回の場合、私は5年間のいずれも住民税非課税&扶養入れてた&各種保険料変更なし、ということで非常に丸く収まった。


鬼が笑うとは言うけれど


個別のケースでそれぞれのお金がいくらになるのか聞くだけでは、来年以降も逐一聞きに行かないと分からなくて不便である。

そのため上記のように「いくらを超えなければ良いのか」という確認の仕方をしてきたわけだが、来年以降いかに税金を払わなくて済むように&扶養を抜けないように稼げばいいのか、考えないといけないのがまた悩ましい。


というか、そんなこと気にしなくても稼いだ分だけ貰える世の中になってほしい。

もしそうだったら、そもそも今回もこんなにびっくりしたり慌てたり手間がかかったりしなくて済んだのだから……