日曜日あたりから食欲がなくなり、水曜日にはまったく動けなくなった。
とりわけ苦しそうな様子は見られなかったが、しだいに声も出せなくなっていった。
それでも、薬と点滴は投与していた。が、金曜日の午前11時ころ、軽い痙攣と「ふぅ」というため息を交互に繰り返しはじめる。そんな状態が10分くらいつづいただろうか。
ふと、もえの顔を見ると、なんというのだろうか、今まで見たこともないような、鋭く険しい表情をしている。苦しいというより、凛々しく野性的な顔。耳がぴんと立ち、目を見開いて、威嚇するように上あごを振るわせている。
そして次の瞬間、その表情が緩くなったかと思うやいなや、瞳孔がゆっくりと開き、もえはぴくりとも動かなくなった。
死んじゃったの? 死んじゃったの?
私はもえの脇腹を揺すり、体を抱き上げた。体はまだあたたかかいが、手応えはむなしいばかり。先ほどの険しい表情とは打って変わって、リラックスしたようなおだやかな顔だった。
ガンの宣告からおよそ40日。10年の歳月をともにした人生初めてのネコ・もえは、天国に旅立っていった。とうとう、逝ってしまった。
逝ってしまった。
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