[評価]
☆☆☆★(75点) 日本公開 2010.07.17
[解説]
スタジオジブリ2年ぶりの新作は、メアリー・ノートンの児童文学「床下の小人たち」を原案にした心温まるファンタジー。小人の少女と人間の少年の交流を描く。
本作は派手なアクションシーンも幻想的な架空の世界もない。しかし、臨場感溢れる描写や、自分たちの分を知って身の丈に合った生活を楽しむ小人たちを丁寧に見せることで、我々の日常と床板一枚を隔てた先にある小人たちの世界に夢中にさせてくれた。キャラクター造形、美術、音楽、キャストと全てが完璧で、見終わった後にそっと家の戸棚や床下を開きたくなるかも。
宮崎駿が企画を担当し、「崖の上のポニョ」で原画を担当した米林宏昌が初監督を務めた。
声の出演は、「誰も守ってくれない」の志田未来、「サマーウォーズ」の神木隆之介。
[コメント]
この作品は、小人と少年の心の交流を通じて、生物多様性の危機を告発し、人と多様な生き物たちとの共生のあり方を問う作品だろう。しかしそれだけではなく、主人公の出会いと別れに切なさも感じさせてくれる。この映画の良いところは、無駄に小人と人間が親しくならないところ。逆に仲良くなってしまっていたらただのありがちなアニメになってしまっていただろう。微妙な距離感がとても良かった。また、小人の視点から世界はどのように映り、どのように聞こえるのかを、小人のパースペクティブから世界を描き出している。その想像力を駆使した造形が秀逸で見所の一つ。子どもたちに、世界を別様の視点から見ることの面白さ、大切さに気付いてもらいたい。「共生」を可能にするのは、独りよがりな同情ではなく、他者への豊かな想像力なのだろうから。
[情報]
ジャンル : アニメーション/ジブリ
製作年 : 2010年
製作国 : 日本
配給 : 東宝
上映時間 : 94分
[スタッフ・キャスト]
監督 : 米林宏昌
出演(声) : 志田未来(アリエッティ)、神木隆之介(翔)、大竹しのぶ(ホミリー)、竹下景子(貞子)、藤原竜也(スピラー)、三浦友和(ポッド)、樹木希林(ハル)
[STORY]
とある郊外に、荒れた庭を持つ広大な古い屋敷があった。その床下に、もうすぐ14歳になるアリエッティ(声・志田未来)、その父ポッド(三浦友和)、母ホミリー(大竹しのぶ)の3人の家族が、ひっそりと静かに暮らしていた。屋敷の床上には、68歳の女主人・貞子(竹下景子)と65歳のお手伝い・ハル(樹木希林)の2人の老婦人が住んでいる。小人たちの暮らしは、彼女たちに気づかれないように少しずつ、石鹸や食べ物、電気やガスなど必要なものを、必要な分だけ借りてきて成り立つ“借りぐらし”だった。ある夏の日、その屋敷に、12歳の少年・翔(神木隆之介)がやってくる。母が育ったその屋敷で、病気の療養をするためだった。床下の小人たちには、人間にその姿を見られたら引っ越さなければならないという掟があった。しかし、アリエッティは翔に姿を見られてしまう。ポッドは、家族を危険にさらすことになるとアリエッティを諭すが、アリエッティはそんな父に反発する。生来の好奇心と向う見ずな性格も手伝い、アリエッティは次第に翔に近づいていく。そのころ、大きな事件がアリエッティとその家族に迫っていた。



















