私が住んでいる群馬県は言わずと知れた海なし県である。

しかし、船が交通手段として用いられているのだ。

誰もがそれを疑いたくなるだろう。

 

伊勢崎市境町島村の「島村渡船」である。

島村地区は利根川で南北に分断されているが、この地区の南北を結ぶ役割を担ってきた。

また、この渡船はかつて群馬県道新地・今泉線の一部でもあった。

渡船の部分は2012年4月には県道の指定を解かれ、伊勢崎市道の一部となったのである。

よって、伊勢崎市によって渡船は運行されていた。

 

しかし、2019年の台風19号の被害を受け、島村渡船は休止を余儀なくされる。

そして、2022年4月に廃止。

乗客数の減少も続いていて、台風によってとどめを刺されたようなものであった。

 

自分も2008年7月に島村渡船に乗船している。

梅雨の合間の晴天の日だった。

ときおり飛んでくる水しぶきが爽快だったことを覚えている。

ちなみに、県道の一部ということもあり、無料で乗船できた。

今となってはレアな体験をできたとつくづく思う。

 

本県には利根川に多くの渡船があったが、主に新規の架橋によってそのほとんどが姿を消してしまった。

唯一残るのは邑楽郡千代田町と埼玉県熊谷市の間を結ぶ赤岩渡船だけだ。

こちらも、利根新橋の架橋計画があり、それが実現したら即座に廃止されるだろう。