低くたれこめて
太陽の光をさえぎる黒い雲の向こう
まだ夜になることを
ためらっているような
碧さを残した空と
その空にちりばめた茜色
家路についた鳥たちは
ついさっきまで
柿の実の味を確かめていたのかな?
桜の木の 秋色を数えていたのかな?
今日もまた少し
冷たさを増したように感じさせる風の中で
枝先にしがみつく葉が
ゆれている
家路をたどる
わたしの足もとにも
落ち葉のひそやかな音
今夜もいちだんときれいだね
きのうよりも大きくなった月は
光もいちだんと強くなって
吹き払われ 清められてゆく
空の片隅で
西の空の一番星を 呼んでいる
いつもと同じ道だけれど
君が待つ部屋につづく
いつもの道だけれど
夕暮れの景色は一日一日
違っている
いつもと同じ時間
いつものように
夕陽を追いかけるように
歩く道だけれど
季節は一日一日
流れている
夕日と 枯れ葉と 帰り道
君のいる部屋の灯りが
降りてきた夜の中で
あたたかい
いつもと同じ
おかえりなさい が
待ってくれている
