ナナを迎えると決めて、いよいよ契約。
すでに真菌症にかかりハゲだらけだったナナ、
すると連れて帰れるのはいつになるかわからないと言われた。シャンプーもトリマーさんを予約しないとできないし、人間にもうつるので、治療中の真菌症を治してからといわれたが、真菌はいわゆるカビで空気感染するので、お店に居るフレブルさんもなっているから治りかけてもお互いにまたうつしあってしまい、服薬してはいるが2匹ともなかなか治らないでいると。
飼育環境は見るからに劣悪で、ガラスケース内にはウンチがあちこちに転がっている。それをリサイクル活動し始めた仔犬が気になって、私は待っているから先に掃除してあげて下さいと言うと、掃除はキリがないのでマニュアルで決まった時間にしかしませんとのこと。
鼻が敏感な犬にとってこのケース内はどんなに苦痛なことだろう。
今ならこんなイカれた店で犬を買おうとする客なんか阿呆の極みと思うけれど、すでにナナに運命を感じてしまっていた良い鴨の私は、愚かにも余計に早く家に連れて帰りたい気持ちを固めてしまった。
真菌症が治るまでの医療費は全額保険がおりると言うし、シャンプーは自分でやるから犬に必要な物を一式揃えて今日連れて帰れるようにして欲しいとお願いして、夫にも相談せずに強硬突破した。
当時を今振り返ってみれば...鬱病の治療薬の副作用のせいか?不眠のせいか?
変にテンションが上がり過ぎていて、マトモな判断力を失っていたようにも思う。
その足で近所のサロンに飛び込みでナナを連れて行ったが、予約がいっぱいと断られた。
今考えたら、予約が空いていてもそごうデパートの中に入ってる高級なサロンにホームセンターの箱に入ったままのウンチだらけの仔犬が歓迎されるワケないよね
仕方なく家に帰ってシャンプーしたが、3回シャンプーしてもウンチ臭さはなかなか取れなかった。それから5日は毎日シャンプーした。
耳掃除や爪切りも全部してサッパリしてやっとふわふわになったナナはハゲだらけだけどとても可愛いかった。耳の中は真っ黒で、前脚の親指的な爪は丸まって伸びて根元の肉に刺さっていた。
その日、帰宅した旦那はあまりの突飛なことに怒るより呆然としていた。鬱と診断されて薬を飲んでいることは、不仲で口もきかなくなっていた夫にはまだ内緒にしていた。
もし激怒されたら、その時は思いのたけを全てぶちまけて娘と犬を連れて家を飛び出す良い機会だわ!くらいに腹をくくっていた。冷静に考えたら幼子と犬を連れた無職のオバさんなんか、まず住むところすら無いのにイカれてますね
そのくらいに当時の私はもういろいろとぶっ壊れていた。
予想に反して夫はあまり怒らなかった。
というより冷静に怒りを飲み込んでくれた。
たぶんこれで自分が怒ってしまえば、それは家族の終わりの引き金を引くことになると夫にはわかっていたのだと思う。
この日、結婚以来初めて私は夫に感謝した。
もう少し頑張ってみようと思った。
ナナが家族になった記念日は、崖っぷち家族が持ちこたえた記念日にもなった。
私とナナがお互いに助けあった日。
可愛かったな。
長文を最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
