先日の記事 「新型コロナ通信(50)- 第5波(2)」 の続きです。
前回の記事では、
新型コロナ第5波の感染爆発は、感染がほぼ一巡するまでは感染の伝播は続くであろうこと。
そしてほぼ現実化しつつありますが、保健所が実施している 「積極的疫学調査」 アプローチは破綻し、医療崩壊を起こすこと。
そしてエビデンスこそありませんが、論理的に考えた上での第5波。アルファ株(イギリス株)からデルタ株(インド株)、そして、これから来るであろうガンマ株が現在、どのようにして感染爆発を起こしているか。その伝播モデルについて説明致しました。
このような危機に対し、どのような対応を採ったら良いのでしょうか。
大きなオピニオンとして育たぬ以上、幾らこんな 「草の根ブログ」 で愚痴っていても仕方ないのですが、本来であれば、進むべき道を見据えた上で、今現在自分達が何処に居るのか、現状をきちんと認識する必要があります。
令和版 「三途の川」? 地獄の一丁目一番地?
日医は「野戦病院」設置を提案
未だに日本のコロナ禍に対する医療体制は旧態依然で、今、ようやく重い腰をあげて日医の会長が 「野戦病院」 を提案。しかし東京都も厚生労働省も消極的なのだそうです。
「日医会も提案『野戦病院』なぜ設置しない? 東京都からの返答は“意味不明”だった」
「東京都には豊富な医療資源があります。役割分担をして、必要な施設を整備しながら体制をつくってきました。宿泊療養施設での抗体カクテル療法をできるようにしたり、酸素ステーションの整備も進めています。いわゆる野戦病院のように患者を1カ所に集めてオペレーションするのが効率的との考え方があるのは承知しています。しかし、医療資源があるのに、わざわざ、医療的に環境の悪い体育館に臨時病床をつくる必要性はない。検討する予定もありません」(感染症対策部)
医療資源が十分にあるのであれば、そもそも何で感染者の搬送先が見つからないという事態が起こるのでしょう?
本当に重篤な患者を受け入れるべく医療機関や保健所でいろいろと手立てを講じ、他県の病院に搬送したりと日夜奮闘されていることは想像に難くありません。
しかし、それが出来るのも、多くの中等症初期の肺炎患者を自宅待機にさせた上でのことで、待機のまま亡くなられていく方も少なくない。当然のことながら、今後この傾向はもっと強くなってきます。
にもかかわらず、「臨時病床をつくる必要はない」 とか 「検討する予定もない」 などと言い切ったものですし、良くもまあ言い切れたものです。
首都圏の惨状
第5波が感染爆発を起こしている中、「パラリンピック」 も開催されることになりました。
首都圏が医療崩壊を起こしており、医療に掛かりたくても掛かれない。個人の生命や健康といった基本的人権が脅かされている最中であるにも、かかわらずです。
「コロナで自宅療養中の女性、死亡 入院先が1週間以上決まらず」
「坂上忍、親子3人で自宅療養中の40代母親の死亡に『ほとんど見殺しに等しい』」
8月16~22日の1週間に救急搬送を要請した東京消防庁管内の患者1,983人のうち1,160人が搬送されなかったとのこと。
東京都の職員がどんなに阿呆でも、この現状が認識できないとは思えませんが、現状に反して東京都の対応は頑なです。
東京都は医療機関を追究?
東京都は 「コロナ患者受け入れ拒否」 をする病院については、病院名公表をするという方針を打ち出して来ています。
「コロナ患者受け入れ拒否なら『病院名公表』に現場は怒りの声も『医療従事者をスケープゴートにするんですね』」
どちらの言い分が正しいのかは分かりませんが、「行政 VS 医療機関」 の構図が強まって来ているのは確か。
「医療資源がある」 と言っているのは、特定の医療機関・病院機構を指しているのかどうかは分かりませんが、少なくとも東京都は、行政の要請に対して消極的な姿勢を取る医療機関・病院機構が存在し、まだまだ十分な余力があると考えているようです。
行政 VS 医療機関? 役所の認識に対する疑問
実際に現場で生じる細かい問題を事細かに把握しているわけではありませんので、あくまでも推測の域を出ませんが、感染者を受け入れて欲しい東京都とこれ以上は受け入れる余裕のない医療機関の間で、かなりの軋轢が生じているようです。
やはり病院というのは、感染症にきちんと対応できる施設や設備が整っていない限りにおいては、なかなか、一般の怪我や病気とコロナの二つを見るのは難しく、何処かで交差を起こした途端、外部に汚染が広がってしまうわけです。
もちろん、病院には運用の問題だけでなく、スタッフなどの人員の問題もあれば、設備の問題、専門性や技術的な問題など、病院毎にいろいろな問題があるわけです。
役所が全ての病院に対して均等に感染者を受け入れて貰おうと思っているのであれば、やはり役所の考えが浅いとしか言いようがなくて、本来であれば、暫定的であるにせよ、緊急に感染者を収容し、治療に当たることの出来る施設をどれだけ迅速に、どれだけ多く確保するかに掛かっているわけです。
引っ越しの際には、一見無駄なスペースに映るかもしれませんが、荷造りするスペースも必要だし、その荷物を置くスペースも必要になります。それであれば夏場でもあるし、さっさと何処かに 「野戦病院」 を作ってしまえば済むことです。
「野戦病院」 を作ったとしても、そこで面倒を見ることが出来るのは、基礎疾患に問題がある軽症者と肺炎を起こしている中等症者、そして、酸素吸入を受けながら投薬治療を続ける中等症Ⅱの患者迄です。
当然、医療機関として中等症Ⅱから重症患者の受入れ施設の整備は、今後も整備拡充が求められるわけです。
「役所 VS 医療機関」 の対立の構図が、まさしくこの通りなのだとしたら、はっきり言って人の命が掛かっているわけですから、それが首長の意思決定であったにせよ、それを正すことの出来ない役人の幹部も悪い。役所の無策と無能に尽きるとしか言いようがありません。
首都圏の(医療崩壊の)現状
既に 「自宅待機」 や 「入院調整」 という言葉が、いつの間にか 「自宅療養」 という言葉に置き換わってしまっています。
しかも想像するに、大半の人達はもしかしたら医師の診察すらも受けていないかも知れない。保健所に電話を掛けても繋がらないのは、今も昔と同じとは思いましたが、1,983件の搬送要請のうち、1,160人は保健所の判断で搬送されなかったらしいですから、救急車を呼ぶような事態であっても、医師の診察すら受けられない。
そういう事態になってきているということです。
昔であれば、少なくともクラスター感染で誰か感染者が出れば、その人の行動履歴から濃厚接触者の割り出しが起こり、少なくともその人達については保健所からのアプローチがありました。
しかし残念ながら、その保健所が諸手を上げようとしています。海外のようにPCR検査が拡充されるわけでもありませんし、各地に発熱外来・コロナ外来が常設されているわけでもありません。
病院に行っても診察もしてくれないばかりか、救急車を呼んでも病院に搬送してくれない。救急隊員によって暫定的に血中の酸素濃度は図るかも知れませんし、バイタルサインの確認はされるのかも知れませんが、肺炎の進行を確認するはずの胸部の撮像もなしです。
市民、感染者当人からの医療へのアクセスは、完全に失われている状態 です。
ワクチン接種の効果もあるのでしょうか。「パラリンピック」 も開催される運びとなり、社会は一見落ち着いた日常的な日々を取り戻しつつあります。
しかし第5波の魔の手は一定の確率で、平和な家庭にも忍び寄ります。
ワクチン接種の効果も 94~95%。つまりは、5~6%の人には予防効果や重症化抑制効果が見られないことを意味します。
そして新型コロナに感染し重症化するのはワクチン接種の有無により大きく変わっては来ますが、平均で 1.6%。感染して重症化する確率は年代ごとに異なり、30代を1とする場合、40代でその4倍、50代で10倍、60代で25倍、70代で45倍と言われています。
そして今日現在の東京都における重傷患者数の推移がコレです。自分も久し振りに東京都の感染動向のサイトを見ましたが、重症者数が8月15日あたりから 「不自然な頭打ち状態」 となっています。
これでも控えめに書いたつもりですが、黄緑色で書き足した線が、このまま自然に推移していたら辿ったであろうカーブ。
つまり、この頭打ちの線は、これ以上重症者病棟を増やせないがために、これ以上増えようがない限界ラインに到達していること。そして本来であれば重症者に名前を連ねていたであろう人々が、黄緑の部分であるわけです。
しかし東京都の死亡者数の推移は全く増えていませんので、黄緑の部分は、他県に搬送されたか、搬送前もしくは搬送中に亡くなられているか、「調整」 の名の下に引き続き中等症の延長として繋ぎ止められているのでしょうか。
いずれにしましても、東京都には 「重症」 の感染者としてカウントされていない闇の部分です。
今後のゆくえ
そして多分、この惨劇はもう暫くは続きますし、そのダメージは、為政者が想像する以上になるかも知れません。
現在の「第5波」は新型コロナウイルスが感染力を増強することで、ウイルスがレッドオーシャンからブルーオーシャンへの移行を果たした結果、感染が大きく広がった。ウイルスとしては存続に成功した状態にあります。
デルタ株における感染状況は、このように20代をピークに、10代未満も巻き込んで感染を広げています。以前であれば、感染しても不顕性感染とされた領域です。
しかし、日本の原罪の人口動態から見れば、この10代未満から20代30代といった世代は、裾野の部分に過ぎません。
日本の人口の中核は、高齢者に見られるピーク部分の 「団塊の世代」 と、現在の40代から50代に掛けてみられる二段目のピークに相当する 「団塊ジュニア」 と呼ばれる部分に集中しています。
そして今現在、ワクチン接種において 「置いてけぼり」 を喰らい、第5波においては発症すると一番重症化する世代にあたるのが、この40代から50代にあたる 「団塊ジュニア」 の世代なのです。
下の図は、沖縄の病院における8月17日現在の重症および中等症患者の年代別の内訳です。
つまり、高齢者に対するワクチン接種が進むことによって、高齢者の重症化は、かなり劇的に抑制出来たというのが、今回の第5波です。
そしてその結果、その下の世代。40代50代。要は65歳未満の部分が重症化のピークと化しているわけです。
選挙対策?メディアウケ狙い?
そこで急に何を思いついたのかは知りませんが、うちの百合子がまた奇行に走ります。
選挙でのメディアウケを意識したのでしょうか。若者を対象としたワクチン接種に走り出します。
「年金もそうだけど、何で働かない上の世代ばかりが優先されるんだ!」 と言いたくなる若者の気持ちは解かります。いつも 「置いてけぼり」 ですので、このセンセーショナルな若者を対象とした接種の推進に、心配症の若者たちも幾らか救われた気分のことでしょう。
しかし、これはどう考えても、メディアウケを意識した 「百合子の選挙対策」 にしか見えません。何故ならあまりにも非論理的なのです。
急ぐべきは 「団塊ジュニア」 世代
そもそも若者がビビリだしているのも、メディアによる視聴者の恐怖を煽る報道の副作用に過ぎません。確かに第5波においては、感染の中核部分でもありますし、20代30代の中等症患者の数が増えて来ていることは事実でしょう。
しかし現実は、重症者もそうですし死亡者も大部分は 40代以上。
早急にワクチンの接種を急ぐべきなのは、現在の日本の人口動態において生産人口を支える40代から50代の 「団塊ジュニア」 の世代なのです。
手を洗わない人達?
まあ、女性はともかく男の場合は、もう使いものにはなりませんので、意図的に ”まとめて処分” しようとしているのであれば、逆に 「実に的確な政策」 としか言いようがありませんが。(^^;)苦笑
しかし、同一世代ではあっても、70代では男の数が女性の数の倍、それ以下の世代でも3倍から4~5倍の差。
この男女での重症化比率の違いを見ると、どうしても 手を洗わない人達 のグラフに見えてしまうのは、自分だけでしょうか。
ここしばらくの凌ぎ方
医療機関や救急車の利用を避ける
医療崩壊の余波が、他の医療機関にも派生している可能性があります。新型コロナの患者を看ない病院の外来等であっても混雑している可能性はあるので、出来るだけ予定の範囲内に留める。
不要不急という表現はおかしいかも知れませんが、不必要な通院は避ける。
重要なことは敢えてこの時期に 「新型コロナ」 に感染するようなリスクを冒さないこと。これはワクチン接種済であったとしてもです。
そして極力、病院の世話にならないよう努めること。これは日常的な病気や怪我の予防ばかりでなく、事故などの防止も含めてです。
ワクチンの接種
40代以上で、まだワクチンの接種を済まされていない方の場合は、出来るだけ早くワクチンの接種を済ませることをお薦めします。
2回の摂取を済ませるに越したことはありませんが、ワクチン接種が1回だけであっても、一定の重症予防効果が認められるようです。
20代~30代の摂取については、確かに第5波で中等症や重症になるケースは見られるものの、かなり限定的です。難病や基礎疾患があるような人であれば、既に接種を受けているかも知れませんが、死亡率という点から見ると個人的には懐疑的です。
以下の図は、新型コロナによる死亡者の累計値です。ブルーとピンクの書き込みは、ワクチン接種後に死亡された人数です。ワクチン接種後に死亡された方の要因については、一向に解析は進んでいませんが、このように一般のワクチンと比べるとかなり高い数値を示しています。
「厚労省が新型コロナワクチン接種後の死亡者のデータを隠匿しています」
但し全ての年代の死亡者が含まれており、大半は70代以降の高齢者ですので、20代に限定してみると、ワクチンによる死亡例も1人、コロナの重症化も1人というオーダーです。但し感染確率とワクチン事故の確率を比較すると、前者は 1.7%、後者は 0.00166%ということで、ワクチン接種を推す人も少なくありません。
「ワクチン接種後「死亡事例751件」厚労省が21日の副反応検討部会に報告 前回から195件増」
「7月30日までにワクチン接種後死亡919事例と厚労省が明らかに…前回報告から168件増」
「ワクチン接種後の死亡事例が1093例と厚労省が最新報告 前回から174例増」
家庭内感染の予防
第5波の感染は、20代の若者を中心に10代未満の子供まで広がっており、多くの保育施設が閉鎖になっています。また、子供から親に感染するケースも出て来ているようです。
換気に努め、感染者の呼気にも気を付ける必要がありますが、この時期の感染は唾・唾液など、口からの飛沫や糞便等による 「飛沫感染」 もしくは 「接触感染」 です。
歯ブラシや歯磨き粉、コップやタオルなど粘膜に触れる可能性のあるものは、個人毎に用意します。
食事も箸やコップなどの共用は、避ける必要があります。
また、手洗い・うがいなどのほか、可能であれば洗顔・洗髪等。室内であってもマスクは着用し、同室での就寝は避け、洗面所やトイレ、ドアや取手のノブや窓ガラス・床等のほか、電話の受話器やパソコンのキーボード等には多くの細菌やウイルスが付着していますので、次亜塩素酸水もしくは塩素系漂白剤を使った消毒が有効です。
またゴミの扱いに際しては、ゴミに付着した粘液が乾燥してゴミの収集時に舞ったりする可能性もありますので、家庭内でもそうですし、ゴミを出す際にも十分気を付ける必要があります。
パルスオキシメーターの入手・準備
「自宅療養」 ではあっても、血中酸素濃度を測る 「パルスオキシメーター」 があれば、まだ自分で計れるだけ良いのかも知れません。
保健所や地方自治体から送られてくる地域もあるようですが、実際に送られてきたのは1週間後だったなんて笑い話にもなりません。昔は10万超えとかする高価なものでしたが、今は小型になり値段も安くなっておりますので、心配な方は自分で購入されておいても良いかも知れません。
但し、体温計と違い、あったからと言ってそんなに頻繁に使うものではありません。
その他参考となる資料
自宅にて、「自宅待機」 や 「自宅療養」 をどのように乗り越えるかについては、専門家が書かれている以下の記事が参考になると思います。
「自宅療養者・・医師がチェックする重症化サインは? 療養に必要なモノ、家族ができることは」
(つづく)