映画:「レミーのおいしいレストラン」 | atom×atom

映画:「レミーのおいしいレストラン」

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レミーのおいしいレストラン


レミーのおいしいレストラン [RATATOUILLE]

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監督: ブラッド・バード Brad Bird
声の出演: パットン・オズワルト Patton Oswalt
ルー・ロマノ Lou Romano     他
【解説】
 天才的な料理の才能を持ち、いつか一流レストランのシェフになるという叶わぬ夢を持つドブネズミのレミー。ある日、彼は嵐で家族とはぐれてしまい、パリのとある一軒のレストランに辿り着く。なんとそこは、レミーが尊敬する今は亡き名シェフ、グストーの店だった。一方その厨房内では、見習いシェフのリングイニがスープを台無しにする失態を演じてしまう。すると、レミーはこっそりとそのスープを作り直し、最高の味に仕上げるのだった。それを目撃していたリングイニは、自分に料理の才能がないことからレミーの力を借りることを提案。こうして彼らは秘かにコンビを組み、パリ一番のシェフを目指すことになるのだが…。
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【ネタバレあり】
「誰でも名シェフになれる」、尊敬するシェフ・グストーの言葉を胸に、ドブネズミのレミーが料理の才能のない青年と協力しながら夢を追いかける物語。
調理場にネズミ、という取り合わせからして現実にはあり得ない設定のファンタジーなんだけど、ストーリーが進むにつれて思わずレミーを応援してしまうような、そんな魅力にあふれている。それは全てをファンタジーで都合よく片付けてしまわずに、どこか現実感を持たせた設定を用意してあるからだと思う。例えば、レミーの姿形はミッキーマウスのように擬人化されていないし、二足歩行するのだって調理時の衛生のためという現実的な理由がある。レミーがおいしい料理を作れるからといって、みんながみんな認めてくれるわけじゃない。
自分がシェフになるなんて大それた夢だと分かっているけれど、自分で限界を決めずに勇気を持って踏み出すレミーに対して、もう一方の主人公・リングイニはとても情けない。料理の才能のない彼は、努力もしないでレミーに泣きつく「のび太」みたいなキャラなんだけど、のび太よりタチが悪いのは反省が少ないところ。リングイニにもっと見せ場があれば盛り上がったのになぁ。
とはいえ、辛口批評家・イーゴの批評~幸せだけどちょっとほろ苦いラストのシークエンスは大人のためのお伽噺とも言えるような、素敵な感動あり。
言うまでもなく映像面でも充分に楽しめる出来。料理の一品一品は勿論、レミーが見るパリの光景や水しぶきの表現も一瞬で通り過ぎてしまうのが勿体なく感じられる程。レミーの視点で見る世界も楽しいし、レミーが料理の匂いをかぐ仕草も可愛らしい。見終わった後にはちょっとの空腹感とホッと落ち着くような幸福感を得られること間違いなし。

【超個人的評価】
★9