2014年 個人的映画ランキング | 24時のブルース

24時のブルース

映画・音楽などに関することを、ひねもすのたりと語ります。

今年はとある受験で忙しく、9月頃まで
全然映画を観ることが出来なかった。
解き放たれ後は狂ったように名画座を中心に通い、
今年新作は62作品、名画座で古い映画を鑑賞したのを含めると、
今年は映画館では80本近く観れているのではないかと思う。
DVD等のパッケージを含めて総数116作品観れた。

毎年恒例、新作のランキングをつけると共に、
トップ10、ワースト3に短評を添えていきたいと思う。


1 her 世界でひとつの彼女
2 アメイジング・スパイダーマン2
3 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
4 とらわれて夏
5 ゴーン・ガール
6 ぼくたちの家族
7 ジャージー・ボーイズ
8 物語る私たち
9 そこのみにて光輝く
10 5つ数えれば君の夢

11 野のなななのか
12 ゼロ・グラビティ
13 ネブラスカ~ふたつの心をつなぐ旅~
14 マイ・マザー
15 劇場版 テレクラキャノンボール2013
16 ザ・レイド GOKUDO
17 ウルフ・オブ・ウォールストリート
18 サードパーソン
19 WOOD JOB! 神去なあなあ日常
20 キャプテンアメリカ ウィンターソルジャー
21 イコライザー
22 それでも夜は明ける
23 フランシス・ハ
24 グランド・ブタペスト・ホテル
25 エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
26 インターステラー
27 ホドロフスキーのDUNE
28 大脱出
29 レッド・ファミリー
30 おとぎ話みたい
31 るろうに剣心~京都大火編~
32 オール・ユー・ニード・イズ・キル
33 寄生獣
34 紙の月
35 複製された男
36 インターステラー
37 ブルージャスミン
38 GODZILLA
39 思い出のマーニー
40 アナと雪の女王
41 トム・アット・ザ・ファーム
42 リアリティのダンス
43 Seventh Code
44 インサイド・ルーウィン・デイヴィス~名もなき男の歌~
45 花宵道中
46 私の男
47 日々ロック
48 サボタージュ
49 パズル
50 パリ、ただよう花
51 るろうに剣心~伝説の最期編~
52 ある過去の行方
53 オンリー・ゴッド
54 X-MEN:フューチャー&パスト
55 聖者たちの食卓
56 ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
57 TOKYO TRIBE
58 仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル
59 アクト・オブ・キリング

60 エスケイプ・フロム・トゥモロー
61 サッドティー
62 渇き。


まずはワースト3の短評から。

60位 エスケイプ・フロム・トゥモロー
うーむ、結局何を言いたいのかがさっぱり。
何かしらの教訓やメッセージがあるわけでもなく、
一つの家族の結末としてはあまりにも悪趣味だし、
後味を悪くするならもっと露悪的にして欲しかった。
併映していた短編、入江悠監督による
『エスケイプ・フロム・フジQ』の方が遥かに面白かった。

61位 サッドティー
内田けんじ的な群像劇をやろうとしてるんだろうけど、
こんなの群像劇じゃないし、時折差し込まれるギャグが
一つも面白くなかった。所謂オタクに対する捉え方も浅薄で不快。
上映後のトークショーを聴く気にもなれず劇場を足早に立ち去った。
ただし、青柳文子という新しい才能の発見は僥倖だった。

62位 渇き。
この監督の「逃げ」しか感じ取れなかった。
皆が絶賛する小松菜々さんについても、
僕は然程魅力を感じなかった。
あの役をやるなら『害虫』の宮﨑あおいに
匹敵するような魅力がないとダメでしょ。

そして、トップ10についての短評です。

10位 5つ数えれば君の夢


凄く歪な美しいものを観てしまったという感覚。
『おとぎ話みたい』を観て確信したけど、
山戸監督は平成の大林宣彦たりえる存在かもしれない(御大はまだご存命だが)。
この作品より以下に今年を代表する傑作を連ねる結果になったが、
とある方が仰っていたのと同様で、この作品をトップ10に入れることが
自分の意思表示になると思って、この順位となりました。
劇中新井ひとみさんの「人非人になっても構わない」という台詞と
『時をかける少女』もかくやの美しいカーテンコールに心が囚われたままである。

9位 そこのみにて光輝く


一分の隙もない作品、邦画編。
どん詰まりの中で燻っていた魂同士が、
微かな希望に賭けて互いに寄り添い再生していく様子に胸が打たれた。
演者の皆様どなたも名演でしたが、個人的には
菅田将輝くんに拍手を送りたいと思います。
ラストの美し過ぎる後光にも号泣。

8位 物語る私たち


サラ・ポーリー監督自身の出生の秘密を読み解く為の
手段的なドキュメンタリーかと思いきや、ラストには
自分を取り巻く家族、特に父と母に対する赦しの為の作品なのだと分かる。
中盤、吉田大八監督的手法を思わせる、虚実がシームレスになる
種明かしには、サラ・ポーリー流石だなと感心してしまいました。

7位 ジャージー・ボーイズ


実は物語の起伏・トーンは抑えめにしつつも、
音楽とその見せ方で5億点なシーンを連発させている、
そんな離れ業をしれっとやってのけるイーストウッド御大に驚く。
そして何と言ってもカーテンコール。
本編はリアリティに則り苦みのある終わり方だったけど、
カーテンコールには幸福しか存在せず、監督の優しさにやはり男泣き。

6位 ぼくたちの家族


石井裕也監督は奥さんが満島ひかりということのやっかみもあって
『川の底からこんにちは』以来観ていなかったのですが、やっぱり巧い。
母の罹る病が、家族関係にメタファーになっているあたりもさすが。
家族総出でどんどん窮地に追いやられていきながらも、
微かな光が見えてきてからの展開は、やや予定調和的と
思われるかもしれないが個人的にはグッとくるものがあった。
家族と会話をしたくなった、そんな作品です。

5位 ゴーン・ガール


年末にとんでもない作品が来てしまった。
家族失踪系のサスペンス、もしくはミステリーかと思いきや、
普遍的な家族・夫婦にまつわる話を寓話的に描いていることに気付く。
ベン・アフレックのダメな男っぷり、
ロザムンド・パイク(一世一代の名演!)のファム・ファタールっぷり、
エミリー・ラタコウスキーのおっぱい等、見所に枚挙の暇がない!
円環構造的な締めくくり方に、思わず「恐ろしい…」と声が漏れてしまった。
フィンチャー恐るべしといった作品。

4位 とらわれて夏


ジェイソン・ライトマンの新たな一面を見せつけられた傑作。
母子と脱獄囚の男が、「家族になっていく」様を淡々と、
しかし美しく描かれていく。
『懲役が20年長くなってもいい、君とあと3日過ごせるなら』
というジョシュ・ブローリンの台詞に嗚咽。

3位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー


3位にしていますが、極めて1位に近い3位です。
僕は今年30歳になりますが、心のどこかではやはり、
「『スター・ウォーズ EP4』をリアルタイムで観れていない」
という劣等感みたいなものがあるわけです。
クライマックスで、幻の中で病床の母が主人公に手を差し伸べるシーン、
あれは劣等感を抱いて燻っている自分に、ジェームス・ガンが
手を差し伸べてくれているシーンでもあるのだと思い、号泣。
胸を張って、「自分にとってのスター・ウォーズ」と呼べる大傑作です。

2位 アメイジング・スパイダーマン2


「俺は絶対に負けない」
そう確信した時、真のヒーローが生まれる。
ヒーロー誕生の瞬間は、いつだって感動的である。

1位 her 世界でひとつの彼女


1~3位で悩んでいた時に、前年の1位を振り返った。
その結果今作をやはり1位に挙げなくてはと思った。
自分にとってやはり「ファッション」も作品を語る上で
大きな要素である、ということを再認識したからだ。
今作は演技・演出・世界観等々、全てを含めて完璧な作品だと思う。
『ゴーン・ガール』同様、SFではありながら、その実
男女の出会いと別れ(いや、寧ろ男女に限らず人と人の出会い全般か)、
という人生において普遍的なテーマをやはり今作でも寓話的に描いている。
その結果、既に逝ってしまった大切な人達への思慕が込められている。
「これは俺の映画だ」と思わせてくれた作品です。


あと、個人的にとある方に捧げる為に、下記の作品を特別賞としたいと思います。

『マイ・マザー』
『わたしはロランス』


こうやってトップ10を振り返ってみると、
普遍的なテーマを独特な語り口で描いていたり、
窮地に立った人間が現状を打開し飛躍していく、
そういう作品が好きなんだなと、自分の嗜好を再認識した気がします。


来年はどんな年になるのやら。