こんにちは、行徳の訪問マッサージ師 田口です。
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脳出血を発症したSさん(80代男性)は、左片麻痺(かたまひ)の後遺症がある患者さんです。
片麻痺とは、体の右(or左)半身が麻痺してしまう症状のことで、脳梗塞や脳出血で起こる代表的な後遺症です。
Sさんは杖をついて、自力で歩くことができます。
ただし、側に誰か付いていないとやや不安です。
リハビリでは毎回、最後に家の中を歩く練習をしています。
この日はいつもより歩くスピードが速く、私は驚きました。
「何かコツをつかんだのですか?」と聞くと、Sさんはうなずきながら答えてくれました。
「ようやく”こっちの足”に重心をかける大切さがわかってきたんですよ」
”こっちの足”とは、麻痺側である左足です。
人が歩くときには、足を交互に出して進んでいきます。
健常者はこのとき、何も考えずにスタスタ歩くと思います。
片麻痺の患者さんはスタスタ歩けないので、うまく歩くための方法を考えます。
すると大抵の場合、「足を前に出す」という意識が強くなります。
もちろん、それは間違いではありません。
ただし歩く動作は、足を前に出すだけではうまく進みません。
もう片方の足で体を支える動作があるからこそ、足を前に出せるのです。
例えば、右足を前に出そうとすれば、左足で体を支える瞬間がありますよね。
時間にすればコンマ何秒の間ですが、片方の足だけに重心がかかります。
脳卒中で片麻痺の患者さんは、麻痺側の足にうまく重心をかけられない人が多いものです。
逆に言えば、麻痺側の足にうまく重心をかけられれば、歩き方も劇的に変わるのです。
上記のSさんが、良い例ですね。
そうは言っても、脳卒中で片麻痺の患者さんにとって、麻痺側の足に重心をかけることはハードルの高い動作です。
Sさんも、最初は重心をかけることが怖い様子でした。
動作を繰り返したことで、徐々にできるようになりました。
そして今また”重心をかけることの大切さ”が、自分でわかってきたのです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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