サイネオス・ヘルス・クリニカル株式会社(Syneos Health Clinical K.K.)はビジネスユニット制および社内公募制を採用しています。
INC ResearchとinVentiv Healthとの2社の合併時、インヴェンティヴ社員はいくつかのビジネスユニットに振り分けられました。
合併前、インヴェンティヴにはビジネスユニット制も社内公募制も存在しませんでした。
合併が決まった時「1つのビジネスユニットが1つの小さな会社のようなもの。他のビジネスユニットに移るのは、転職のように大変になる」と聞かされました。
【ビジネスユニット(BU)について】
それぞれのビジネスユニットの日本のトップはディレクターです。ディレクターの下に複数名のマネージャーがおり、その下に一般社員がいるという組織で構成されています。
2018年以降、他のビジネスユニットに異動する場合、社員が社内公募に応募し、面接に合格しなければならなくなりました。
※但し、1つのビジネスユニット内に、プロジェクトマネジメント と クリニカルオペレーションの2つのラインがあり、2つのラインを異動するには、同じビジネスユニット内でも社内公募への応募・合格が必要です。
(プロジェクトマネジメント=プロジェクトディレクター・プロジェクトマネージャー等/
クリニカルオペレーション=ディレクター・マネージャー、CRA=Clinical Research Associate)等)
この社内公募制が退職勧奨に利用されています。
まず、ディレクターは、退職させたい社員の仕事を外します。もしくは、治験の注文が少なくなり部署に人が余って来た時、退職させたい人員のターゲットを決めます。
そこで、ディレクターは人事部と共同で、社員に退職勧奨を行い、以下のように告げます。
「あなたにはこの部署での仕事はありません。自分で社内公募に応募し、ポジションを見つけてください。〇日までに見つけられなければ退職してください」
退職勧奨を社員に通告した後は、部門ディレクターは責任を放棄して、対応を全て人事に託します。その後の退職パッケージの提示等は人事が行います。
こうする事で、部門ディレクターも人事も罪悪感なく、スムーズに事が進められて行くのです。
【社内公募について】
社内公募で受け入れる側の部署は、採用面接として扱うだけなので応募者を簡単に落選させます。
落選した時は「英語が流暢な人でなければ」「もっと実地経験のある人を採用したい」など、転職面接のような落選通知が送られてきます。
社内公募と言っても、候補者は社外にも募集しています。
実際、過去に退職勧奨を受けた社員が、仕方なく社内公募を受けた時「候補者には社外からの新規採用の方も含まれている」と聞かされています。
社内公募でポジションを探し、中には合格する人もいますが、多くは落選し、追い詰められてやむなく退職せざるを得なくなります。
INC ResearchとinVentiv Healthの合併は対等ではなく、 INCが株を53パーセント保有しており、全ての決定権はINCにあります(2017/5/10 Syneos Press Releases)。
このような背景により、退職勧奨を受けているのはほとんどが旧インヴェンティヴ社員です。
旧インヴェンティヴ社員は人事権を持っているINC社員(ディレクター等)から「役に立たない」とレッテルを貼られ、 少しでも気に入らないことがあると、通常は退職させられるようなことではないことで、簡単に退職に追い込まれます。
また、退職勧奨を受けた時に、その社員に応募可能なポジションがあるかどうかは考慮されません。前回の記事に書いた、CTA(=COS)への退職勧奨の際、COSが応募可能なポジションは、退職勧奨を受けた人数分はありませんでした。
退職勧奨と呼んでいますが、実際には、退職強要に該当するのではないでしょうか。
社員の多くは、自分の周りで行われている退職勧奨に気づきながら、いつ自分に回ってくるかと身をすくめて働いているのが現状です。