第3回の裁判期日で、AGCグリーンテック社は、「総合職となる営業職及び管理職の採用方法」として、次のように主張していた。
 

 

1)          営業職及び管理職を採用した場合は、これらの職員を総合職としている。

 

2)          採用する場合は、いずれも採用支援会社を通して中途採用の募集をかけ、採用支援会社から応募として紹介された者について、書面審査を行い、採用試験を実施して候補者を絞り、面接を行って採用する。

 

3)          給与は、前職の給与や本人の希望も参考にして、当該時期の給与規程に基づき年齢給、経験給及び業績給を調整して決定している。但し、調整しきれない場合もあり、それによって「社宅補助の金額」も加算して提示することで、採用予定者の希望する年収に合わせるということも行っていた。

 

 

【その実態は・・・】

 

1)    について

AGCグリーンテック社は、管理室長(事務職)1名を除いてすべて営業職である。営業職の採用で「管理職」を採用したことは今まで1度もない。営業職は若手しか採用していないと、団体交渉で会社社長自ら話していた。なので、営業職で管理職を採用することはない。「管理職」の採用は、管理室(事務職)のみ対象である。

 

2)について

採用する場合は、採用支援会社を通してと主張しているが、中には採用支援会社を通さず、採用されている総合職が数名いる。その数名は現在の営業本部長(当時の西日本営業所長)を通して採用の経緯に至っている。また、20数名と少人数の会社で、工場や大規模支店がない中、現在の取締役のご子息が採用(直接応募)されている。これにはOBも非常に驚いていた。こちらも現在の営業本部長(当時の西日本営業所長)の下での採用となっている。なお、人事評価査定の会社最終評価者は現在取締役の父親である。現在、組合員の査定差別において裁判中である。

さらに一般職男性の採用については、AGCグリーンテック社は裁判で、「本人から採用の打診があったため」と言っていたが、この一般職男性もまた現在の営業本部長(当時の西日本営業所長)を通しての採用経緯となっている。人事関係の仕事をしている組合員が、一般職男性が本社に入社すると知ったのは入社する1週間前だった。一般職男性を特別な採用の仕方をしていると察することができる。

 

3)について

給与決定については、調整しきれない場合、「社宅補助の金額」も加算し、採用予定者の希望する年収に合わせていた。社宅は福利厚生であるのに、給与として調整していたことになる。

AGCグリーンテック社が団体交渉や裁判で主張している総合職に社宅を貸与する理由とは矛盾しているのではないか。

 

 

提訴後に採用された総合職女性だけは、転勤・異動がなく、ポジションが確定された総合職の採用をとっていた。現在のAGCグリーンテック社には、転勤のない総合職(エリア総合職)対象は規程にはない。提訴後に、営業職だけを転勤扱いとし、事務職の総合職は転勤扱いがないとした。そしてこの総合職女性(事務職)は、転勤がないため、社宅の貸与はしないとしていた。管理室長(総合職男性)については、転勤はありうると会社は主張していた。

管理室(事務職)の総合職は、男性は転勤あり、女性は転勤なし、とした。

まとめてみると、AGCグリーンテック社の総合職は、3つに分けられる。

     総合職営業(男性)は、転勤あり扱い

     管理室(事務職)総合職(男性)は、転勤あり扱い

     管理室(事務職)総合職(女性)は、転勤なし ⇒ 転勤がないので社宅の貸与はなし

 

会社が主張することは、筋が通らないのではないか?

提訴後の裁判中に、2021年会社が新設した、転勤のない総合職(エリア総合職)は、未だ従業員には周知されていない。裁判の中で会社が都合よく主張しているにすぎない。これもまた会社側の都合のいいように制度の運用をしている。