息子(介護請負人)が、最近、細菌・ウイルスに凝ってうるさいです。
「ねえ、ちよちゃん、人間ってウイルスから生まれたんだって」
「???」
「21世紀は、そのウイルスと人間の生存競争をかけた戦いの時代になるんだって」
「・・・・・・」
「ウイルスと人間の受け売りでしょう!」
「・・・・・・」
へこんだ息子を見て、下の子が小児麻痺のワクチンをうった時のことを思い出しました。
ワクチンは、二回うたないといけないといわれ、一回目はお国が無料でしてくださいました。
後の分のお金がないので、父に無心しました。
隣の家にも、同じ年頃の女の子がいたので、お誘いしたら、珍しくご主人が出てきて、
「奥さん、すみません、ソ連の施しは受けたくないので・・・・」
そのとき隣のご主人が、ソ連で強制捕虜生活を送られたことを知りました。
それをきっかけに、お隣と家族ぐるみのお付き合いが始まりました。
「介護請負人の東大入学」→「主人の死」→「隣の家のお嬢様のご結婚」と冠婚葬祭が1ヶ月の間にあった忙しい時期に、その奥様が体調不良になられました。
娘さんのご結婚等で、疲れたのだから、休憩したら治るといっていたら、急にご逝去されました。
ウイルス性肝炎でした。
だんな様は、ソ連での捕虜生活で、仏壇の製作技術を取得されていました。
だんな様は、主人とその奥様のお仏壇を立て続けに作るという、悲しい思いをされました。
今でも仏壇に手を合わせると、そのときのことをよく思い出します。
ご冥福を、心より、申し上げます。
中嶋 ちよ