Ep 77 ☆次の目標☆
初めての試合は、第一試合であっという間に終わった。
なんとなく予想はしていた。
練習中、同じ体育館をバレーボール部と半分ずつ使っていたからだ。
バレー部には、私の唯一の友達も入っていて、人気がある。
男子バスケ部もそれなりに人数がいる。
けれど女子バスケ部はーー
2年生5人、1年生3人。
ギリギリでチームが成立する人数。
男子が全面を使う日は、私たちはギャラリーを走ったり、舞台でパス練習をしたり。
「弱小チーム」という言葉が自然と浮かぶ環境だった。
前日に頑張って作った きゅうりの浅漬とレモンの砂糖漬け。
出番はなく、そのまま夕食の一品になった。
***
「チッチちゃん、トイレ行こ」
休み時間のお決まりの合図。
いつものように、一人の友達と向かおうとするとーー
「えっ、行くの?私も行く」
その一言に、少し驚いた。
部活を始めて私が変わったのと同時に周りとの距離も少しずつ変わり始めていた。
「試合どうだった?うちらは、3回戦までだったよ」
友達がバレー部にいたことで、自然と話す相手が増えていた。
バレー部の子たちは、背が高くて運動と勉強もできる。
私と違う世界の子たち……と思っていたけれど、
一緒に過ごす時間はどこか居心地がよかった。
……でも、待てよ。
あんなに強そうな彼女たちでも3回戦まで。
私は、皆に追いつくことだけで精一杯だったけれど
ここで終わりじゃない。
もっと上手くなりたい、強くなりたい。
自然とそんな気持ちがわいてくる。
静かに、次の目標が見えた。
スポーツって、悪くない。
