Ep 48 ☆全校集会☆
学校での集団生活というのは、私にとって苦痛の日々だった。
特に通っていた小学校は「運動を推進する学校」だったので、朝や二時間目の休み時間には必ず運動をしなくてはいけなかった。
そんな学校行事のひとつに「全校集会」というものがあった。
生徒も教師も全員、体育館に集まって校長先生の話を聞く時間。
行事やお知らせの報告もあったけれど、とにかくその時間ずっと「立っていなければ、ならない」のだ。
これが拷問と言わずして、なんと言おう!
朝の行事なので、朝の弱い子はよく気分が悪くなって座り込む。
けれど座ると、すかさず先生の声が飛ぶ。
「立ちなさい!」
ーーバタッ!!!
誰かが倒れた音がした。
ざわざわ……
生徒達がざわつく中、先生の怒鳴り声。
「静かにしなさい!」
倒れた子は無言で保健室へ運ばれていく。
……うらやましい。
私も倒れたかった。
ふだん給食も食べるのが遅く、何をするにもトロい私なのに、なぜか倒れない。
視界は真っ暗、耳鳴りはキーン。
校長先生の声なんて、もう聞こえないのに
ーー倒れない。
つらい、つらい、辛い。
でも座り込んでも、また立たされる。
この場から逃れるには、倒れるしかないのに倒れない。
倒れるって、実は危険なことだと今なら分かります。
でもあの頃の私は、保健室に運ばれていくあの子たちを
うらやましいと思っていたのだ。
今の全校集会は座って聞くそうだけど、
昭和の時代は、どうしてあんなに過酷だったのだろう…。
