Ep 31 ☆歴史☆

まったく学力がついていけなかった私にも唯一好きになれた授業が一つだけあった。

それは『歴史』ーー小学生だから正式には『社会』だったのかもしれない。

当時の小学校は担任の先生が全教科を受け持っていたと思うのだけれど、この時間だけは違う先生だったのか?
それとも担任の先生が切り替えていたのか?そのあたりは記憶があいまい。

ただ一つハッキリしているのはーー
どの授業もチンプンカンプンだった私が、話を聞ける唯一の先生がいた。ということ。

私から見れば″おじいちゃん先生″にしか見えない年配の先生は、社会の授業、とりわけ歴史の話になると、まるで一人芝居のように熱演してくれた。

戦国時代の授業なんてーー!

「この時、相手はこうしてぇ~!」

「するとこちらからは…わぁ~!」

「うっ!うわぁ~~!おのれぇ~!」

黒板の前で声色を変え、身振り手振りを交えて語る姿は、
先生自信が甲冑をまとった戦国武将のように見えてしまうほど。

「戦争」の授業も、ただ淡々と年号を暗記するのではなく、
先生の演技のおかげで、情景が浮かんできて、私は夢中で聞いていた。

その影響で、家でも時代劇をよく観るようになり
気づけば今でも、歴史作品は大好きで、よく観たり読んだりしている。

つくづく思う。
先生との出会いって、大事なんだなぁ~…。

      「チッチ物語」続く...