Ep 23 ☆ガーコちゃん☆
昭和の時代、道を歩けば放し飼いの犬や野良犬に出くわすのは日常茶飯事。
でも、私にとっては恐怖以外の何ものでもなかった。
だってーー
目線の高さが同じくらいの犬なんて、
もう「怪獣」!!
怖いのなんのって...…。
そのせいで犬はもちろん、猫も動物という動物が全て怖かった。
そんなある日。
下校が一緒になったお寺の娘がニコニコしながら言った。
「カラスのガーコちゃんがいるよ♪」
……カラスノガーコ?
なにそれ呪文?
言われるままに彼女の家に寄ってみると、物置小屋の中に黒々としたカラスが。
どうやら、いつの間にか住みついてしまったらしい。
「ガーコちゃんっていうの。かわいいでしょ?」
よく見ると、小屋の中には鳥小屋まで設置されていて、
どうやら家族公認の″ペット″らしい。
ドアは開いているのに、なぜか飛び立とうとしない。
「チッチちゃんもエサあげてみて♪」
え、私が!?
カラスって大きいし、真っ黒だし、絶対怖いし……。
てもーー差し出したエサを
パク…。
……か、かわいい。
しかも、私たちがきゃっきゃっと走り回ると、一緒に後をついてくる。
カラスって怖い鳥だとばかり思っていたけれど、
あのガーコちゃんは、とてもかわいい存在だった。
