プロパガンダとは政治的な宣伝のこと。特に特定の主義・思想について、一方的に喧伝するようなものや、刷り込もうとするような宣伝活動などを言う。多くの場合は情報による大衆扇動・世論操作と考えてよく、どうしても悪いイメージになる。

 

特に今回の侵略戦争でロシア側の虚偽宣伝が目立つ。民主主義国家でもデマ、虚偽宣伝、インチキが時々行われるが、今回のロシア侵略戦争ではロシア側の虚偽宣伝ぶりが凄まじい。

 

侵略を正当化するための虚偽宣伝

まずは、ロシアが仕掛けた侵略戦争をラブノフ外相が「我々はウクライナを攻撃していない」と言い切ったのは噴飯ものだ。ロシアの安全が脅威にさらされている、という不満はある程度理解できるが、それは話し合いで解決できる余地があったはず。また「ウクライナという実験室で行われている米国防省の実験」というが、その事実を証明する証拠が示されていない


さらに、民間人を標的にした攻撃を行うロシアが「人間の盾として人質になっている民間人を解放したい」というのは行為との整合性がない。ロシアが「民間人を解放する」と言うのは、戦争を正当化するためのウソ。これは第二次大戦で日本が侵略するためにでっち上げた大義名分「欧米列強の植民地支配から東南アジアの国々を開放する」と同じようなものだ。ウクライナを攻撃していない-1

ウクライナを攻撃していない-3

それにしても、国際社会の公式の場で、一国の外相があれだけ堂々と虚偽発言ができるのがすごい。軍事力を背景に、一方的な決め付けをしてくる恐ろしさとともに世界中の人が呆れたのではないか?

 

情報戦とはデマ・ウソ戦

情報戦と言うとカッコイイが、早い話が「デマ・ウソツキ戦争」(笑)国を代表する立場の人間が、何の根拠も示さず壮大なウソを披露する事が各国から失笑されている。たとえば、ロシア側は原発への攻撃について「ウクライナの破壊工作員が施設に火を付けた」とか「自作自演」だと主張した。しかし、チェルノブイリ原発事故で放射能被害を経験しているウクライナ側が原発を破壊して何の利益があるかと考えれば簡単だ。ウクライナ側に動機はなく、ロシア側が戦略拠点である電源施設を破壊しようとしたと考えるのが正当だろう。自作自演の証拠も動機もないのだ。

ロシアン・フェイク2

戦争の可視化で虚偽情報が分かる

戦時中でなくてもウソ・デマの類いはそこらに溢れているし、珍しいものではない。ただ、今回のロシアの侵略戦争で主にロシア側が演出した虚偽情報が壮大で分かり易すぎる。

 

今回のロシア侵略戦争はスマホが普及した時代の戦争である。誰もが写真や動画をすぐに撮れる時代なのだ。様々な所から投稿される生々しい映像で戦闘状況が可視化され、ロシア側の大本営発表の虚偽情報がいくつも明らかになっている。ウクライナ側にもデマや誇張がありえるが、ロシア側の虚偽情報には及ばないだろう。

ロシアン・フェイク3

画像や動画でもフェイクがある

もちろん、画像や動画が加工されて事実が歪曲される可能性がある。そういう事実があり得ることを承知のうえで、前述の証拠や動機などの考察や他の複数の情報ソースと比較するなどのチェックが必要だ。事実がはっきりしない情報を鵜呑みにせず、ありそうもない事を喧伝する情報は「おそらくフェイク」と疑ってかかったほうがよい。今回のロシア侵略戦争でも、さっそくディープフェイク動画が登場している。

☞ ウクライナ大統領のディープフェイク拡散 メタ、ユーチューブが削除

ウクライナ軍はロシアが情報戦の一環でゼレンスキー氏のディープフェイク動画を流す可能性をかねて指摘しており、国民に注意を促してきた

このディープフェイク動画は、個人の悪ふざけというより戦略的なフェイク情報だろう。

 

戦争プロパガンダに進歩なし

どの国であっても戦争プロパガンダは単純で分かりやすい。戦争を美化し、国民世論を煽り、軍隊の士気を昂揚させて戦意向上を目的とする点は共通だ。第二次大戦中には「大本営発表」と称して国民に虚偽情報ばかり流してきた日本が元祖ハイブリッド戦だったと名乗りを上げてもいいだろう(笑)

戦争プロパガンダ日本2

日本が決め付けた「鬼畜米英」側も負けていなかった。タコの怪物のような東洋人を焼き殺す絵や、ワルサーP38を持ったドイツのヒトラーのような人物と血糊の付いたナイフを持った凶悪そうな東洋人がアメリカをにらんでいるプロパガンダポスターもあったらしい。ま、戦争プロパガンダに関してはどっちもどっちであるし、時代が変わってもプロパガンダの本質は不変だと言える。

戦争プロパガンダ米国

こんな単純な宣伝に載せられるのはお子様ぐらいかと思っていたが、今回のロシア侵略戦争でも、大変分かりやすいお子様向けプロパガンダ放送があったらしい。少女に「私達はウクライナを平和にしたい」と戦争を仕掛けたプーチンの代弁者のように語るおじさん、「フェイクを信じている人がとても多い」とインチキおじさんに説得された少女は「これまでニュース(ロシア大本営発表)をしっかり見てこなかった」と悟ったらしい(笑)

ロシア国営プロパガンダ放送

最後に「これからは全部確かめます」と、なぜかカメラ目線で語る幼気(いたいけ)な少女。ロシア当局の情報統制で視聴や閲覧が禁止されている世界のニュースやSNSを見たらどうなるだろうか?事実がはっきりしない情報や証拠がない情報を鵜呑みにしないように、という大変分かりやすい番組…提供はロシア国営放送局でした(笑)

 

このような詐欺的な行為に世界中が冷笑している。少なくともプーチンが権力の座に居座る限り、ロシアは信用できない国と思われるだろう。