「平助くんは何にする?私はソフトクリーム」
「俺はかき氷だな。なぁなぁ、二人で半分こしようぜ」
「僕もかき氷。千歳ちゃん、平助菌が移るから、半分こは止めた方が良いよ。馬鹿がさらに馬鹿になるから。僕と半分こしようよ」
「総司!何を言っている。女子と食べ物を分け合うなど…俺もかき氷だな」
「一君は相変わらず頭固いなー」
「平助くん!先輩に君付けは駄目だよ」
ここに土方先生が居たら確実に大目玉をくらう場面ではあるけれど、今はそれが楽しくてしょうがない。
皆がかき氷を持って席につき、私はソフトクリームを受け取ってテーブルへと急いだ。
「千歳だけだな、ソフトクリームにしたのは」
「かき氷も好きだけど、クリームっぽいのが食べたかったから」
「僕もクリームっぽいのが食べたいな。千歳ちゃん少し頂戴」
えっ?と声を出す間もなく、沖田先輩は私の持っているソフトクリームをパクッと食べてしまいました。
「美味しいよ。千歳ちゃんも溶ける前に早く食べなよ」
「えっ?あの?これ?」
「総司!これじゃあ間接キスじゃねーかよ!」
「そっ総司!女子の食べ物に口をつけるのではない!」
「一君、声が上擦ってるよ」
皆がわぁわぁ騒いでいる中で私は食べかけのソフトクリームをどうしたら良いかわからず、うろたえることしか出来ません。
その時、誰かが私のソフトクリームをひょいととりあげました。
「こーら。買い食いしてるんじゃねーよ。土方先生に見つかったら大目玉だぞ」
私の後ろには原田先生が居て、残ったソフトクリームを美味しそうに食べています。
「あー左之助…それ千歳の食べかけじゃなくて、総司のやつが食ったやつだから。総司と間接キスだぞ」
「マジか⁉野郎と間接キスはキツイぜ」
「平助くん、先生を呼び捨てしちゃ駄目でしょ!」
「平助、雪村の言う通りだ。しかし左之助先生のおかげで、雪村の貞操は守られました」
「一君…間接キスくらいで貞操が云々って…ぷっ!」
(私のソフトクリーム…)
皆がわぁわぁ騒いでいる中で、ソフトクリームを全部食べられた私はどうしたら良いかわからず、やっぱりうろたえることしか出来ませんでした(泣)。