雑務に忙殺される中、人との交流について悩ましく思う毎日です。
私は私の中で『交流する人』の人数に上限があると思っていました。
誰かに出会えば誰かと別れる…それは世の常。
だから定員に達したら誰かと別れることになるのだと、そう思っていました。
でもそうでは無いらしく…広がる交流の輪に喜びを感じつつ、同時に戸惑いを感じています。
「千歳ちゃん最近忙しそうね。こうやって二人で合うのはどのくらいぶりだろう。」
「お千ちゃんごめんね。お千ちゃんも忙しいのに。」
「ううん、気にしないで。千歳ちゃんの毎日が充実していれば、それが嬉しいから。」
「充実…なのかなぁ」
「なに?なに?良かったら話せる範疇で話してみて。」
私はポツリポツリと、自分の心情をお千ちゃんに話しました。
「ふーん。人間関係での悩みか。」
「あまり多くの人と親しく接したことが無いから、なんだか戸惑っちゃって…。」
「人付き合いは永遠の悩みよね~。」
「うん…自分の気持ちが頭の中でこんがらがっちゃって。」
「大丈夫だよ!千歳ちゃんなら。」
「そうかなぁ…」
「悩むのは千歳ちゃんが優しいからだね。でも反りが合わないとかって、やっぱりあるじゃない?」
「そうだね。」
俯く私の肩を、お千ちゃんがポンと軽く叩きました。
「知ってる?反りが合わないって、もともとは刀と鞘のことなんだよ。」
「そうなの?」
「【そり】は刀の刃の峰の反っている部分のこと。この【反り】が刀を収める鞘の形に合っていなかったら、刀を収めることが出来ないでしょ?そこから生まれた言葉なのよ。」
「お千ちゃん物知りだね。」
「お菊の受け売りだよ。」
「そうなんだ。」
二人で顔を見合わせ、ふふっと笑い合いました。
「千歳ちゃんなら大丈夫!大事なことだから二回言ったからね。」
「うん…有難う。自分の歩幅でゆっくり歩いて行ってみる。」
お千ちゃんのおかげで、忙しい師走も無事に駆け抜けて行けそうです。