紅く咲いていた枝垂れ桜は色が抜けて、白くなり始めています。
『もう終わりなんだな…』
それでも色濃い小さな蕾が幾つか目に入りました。
その姿はまるですべてを諦めないでいるように見えて
自分の抱えているものを捨てられずにいるように見えて
自分以外の何者にもなれず、ただただ生きているように見えて
彼等のようだと…そう思ったのです。
(…彼等って…誰だっけ?)

散る花を 惜しむ心や とどまりて また来ん春の たねとなるべき
西行法師
散っていく桜を惜しむ想いがまた来る春の種となる
私が感じている想いもまた来る春に芽吹き、やがて形を成す。