国際記念物遺跡会議が除外を求めていた景勝地【三保松原】も含めての登録という事で、静岡市の人達の喜びはひとしおなのだと思います。
今朝の新聞を読んでいて、あれ?っと思った事が一つ。
記事の中に『これを機会に山岳信仰への理解が深まればいい』といった文面がありました。
「ねぇねぇ薫、山岳信仰ってどこの国にもあるものじゃないのかな?」
「はぁ?…中国の五岳、ギリシアのオリンポス、インドとチベットの間にあるヒマラヤ、日本以外にもあるけど?」
「オリンポスって宮殿だけじゃないんだ」
「それを言うなら神殿だろ?千歳…お前頭悪すぎ。その無知で兄さんに恥をかかせるなよ」
「うっ…ごめん。もっと勉強する」
「宿題やっとけよ。妹は馬鹿だから補習受けてるなんて話、みっともなくて誰にも言えやしない」
薫は冷たく一笑し、出かけてしまいました。
日本には日本独自の宗教【神道】があります。
よく無宗教だと言う人がいますが、おそらく誰もがこの【神道】の信仰者であるのです。
【神道】とは山や川、滝など自然や自然現象を敬い、それらに八百万の神を見出す、いわゆる多神教です。
山岳信仰は文字通り、山を神聖視し崇拝の対象とする信仰の事。
山に霊的な力があると信じ、自らの生活を律するために山の持つ威圧感を利用するのだそうです。
神道が根づくこの国に、山岳信仰が存在するのはごく自然な事と言えます。
強い山岳信仰が無くとも、私は山で事故があると「山の機嫌を損ねた」と感じます。
神聖である場所に人が足を踏み入れるのであれば、【神の領域】に入るという事を強く意識すべきなのでしょうね。
世界文化遺産に登録された事で危惧されるのは、環境保全の事です。
世界レベルで注目度が上がるであろう富士山を守れるのは、山を楽しむ人であり、その姿を目で楽しんでいる私達です。
汚れた山を遺し屑の山を産むのではなく、美しくて多くの人に愛される山を遺し、後世の人達の心にも自然を尊ぶ心が産まれるよう、努力すべきだと思いました。

一般的に山の神は女神とされています。
一度に十二人も子を産む多産で安産の神だと言います。
また醜女だという説もあり、美女が入山すると妬んで災害を起こし、自分より醜い女が入山すると、喜んで多くの幸を分け与えてくれるのだとか。
気紛れで心変わりしやすいところと、怒ると手がつけられないところは、確かに女性と同じですね(苦笑)