
私はご飯前派!
本文はここから今日は書庫で山南さんに頼まれた書物を探していました。
踏み台に乗って手を伸ばし、本を引っ張り出したり戻したり…書庫はひんやりとしていて寒いくのに、段々と汗ばむくらい暑くなってきました。
(なかなか見つからない。もしかして本の表題を書き間違えたかな?でも山南さんは今は寝ている時間だから、確認するとしたら日が落ちてからじゃないと無理だし)
書きつけを確認しながら本の背表紙を眺めてみるものの、それにあたるものは一向に見つかりません。
汗を拭いながら再び書棚へと目を向け、再び本の背とにらめっこです。
(もし見つからなかったら今日は諦めて、山南さんに謝ろう。…あっ…あれ?もしかしたあれかも…)
思いっきり伸ばした手が本の背に触れたと同時に
ギシ…
踏み台の軋む音がして
(あっ…立ち眩み…)
次の瞬間体が斜めになって、床に体を強か打ちつけてしまいました。
「いったー!…ぅぅっ…げほげほっ」
倒れた拍子に床の埃が舞い上がるし、肩やお尻は痛いし、汗だくだし…
「もう!最悪!」
悪態をひとつつき、気を取り直して探し出した本を手に取って、私は書庫を後にしました。
(部屋に戻る前に顔だけ洗おう)
井戸へと向かうと、井戸の側で伊東さんが何かを洗っていました。
「伊東さん、こんにちは。洗い物でしたら私がやりますから、遠慮なさらずおっしゃってください」
「あら、雪村さん、ごきげんよう。うふふ…ねぇ~雪村さん、今日もいい胡瓜が手に入ったのよ。それで今胡瓜を洗っていたと・こ・ろ。そうだ!貴方、今日も暇でしょ…ちょっとちょっと貴方!なんなのその薄汚い姿は!」
「えっ?あぁ…今書庫で探し物を…」
「顔は真っ黒、着物は埃だらけ…そんな薄汚い姿で私の部屋に上がらせるわけにいかないわ!」
「すいません」
(あの…きゅうりぱっくなら丁寧にお断りするつもりなので、伊東さんの部屋にお伺いする用事はないんですけど)
なんて言い訳を伊東さんに伝えるわけにはいきません(苦笑)
「早く湯浴みしてきて頂戴!」
「いえ、私なんかが先にお湯をいただくわけには…」
「いいこと?これは新選組参謀からの命令よ。そんな姿でうろうろされたら、衛生面でも大問題になりましてよ!」
(めっ…命令…)
「はっはい!かしこまりました!」
というわけで、新選組参謀命令により、今日は日の高いうちにお湯をいただくこととなりました。
同じお風呂なのに、外が明るいだけでとっても気持ちがよかったです。
気持ちいいあまりに歌を歌いそうになりましたが、外から聞こえる隊士さん達の声が耳に入って我に返りました(笑)
しかしあまりにものんびりとし過ぎて誰かが入ってきたら非常に困るので、いつものように慌しい湯浴みの時間ではありましたが、私にとっては極上のひとときとなりました。
この後の伊東さんによるきゅうりぱっく地獄が待っていなければ、もっともっと極上なひとときだったんですけど(苦笑)