
私は学校派!
本文はここから※今回はSSL設定のため、現代口調となっています。
「も~平助君、なんでいつも寝坊しちゃうの!?」
「だから~昨日キリのいいところでセーブしようとしたら、なかなか終わらなくってさ~。」
「そんな言い訳風紀委員に通用するわけないでしょ!」
いつもの日常、いつもの朝。
余裕を持って家を出ているハズなのに、幼馴染の平助君を迎えに行くと何故かいつも遅刻寸前になってしまう。
(そしていつも通りなら…そろそろ現れるハズ…)
「おはよう。平助。千歳ちゃん。また遅刻?くす…千歳ちゃんは相変わらずノロマなんだね。」
「うっせー総司に言われたくねぇ!」
「おはようございます、沖田先輩。私は毎朝ちゃんと時間に余裕を持って出ています!でも…」
「でも、事実遅刻寸前なのは変わらないでしょ?」
「ぐぅっ…」
…言い返す言葉が見つからない。
「あのな!千歳は朝早くに俺んちに迎えに来てくれてんの。ノロマじゃねぇぞ!」
「ふぅ~ん…わざわざ平助を迎えにねぇ。じゃあ明日から平助じゃなくて僕の家に来てくれない。目覚まし代わりに。」
「私は目覚まし時計じゃありません!」
この三人でこの道を走るのも、毎朝恒例となってしまった。
(いい運動になる…かもしれないけど…こう毎朝毎朝遅刻と戦うのはもう嫌!(泣))
やっと校門が見えて来た。
校門の前にはやっぱり毎朝お決まりの二人が立ちすくんでいる。
風紀委員の斎藤先輩。
そして風紀委員であり、私の兄である薫。
「はぁ…はぁ…また薫にグズでノロマって言われちゃう…。」
「なんだ、実兄が言うんだから当たってるんじゃないか。ねぇ?グズでノロマな千歳ちゃん。」
「も~沖田先輩に言われるとなんだかすごくムカつきます~!」
あともう一息で校門を通過…といったところでチャイムが鳴り響いた。
「あ~マジ!?」
「今日も遅刻なんて嫌~!」
「じゃお二人さん、お先!」
「えっ?あっ!」
沖田先輩は私達を追い越し、閉まろうとしている校門へと滑り込んでしまった。
私はすれ違う際に肩を軽く叩かれ、それでバランスを崩してしまい…
「あっ…」
不幸にも私の足元に大きめの石があった。
私はそれに躓き、さらにバランスを崩してしまう。
(もう駄目、顔から転んじゃう!)
目を瞑った瞬間誰かが私の手を力強く引いた。
(えっ?えっ?何?)
私はその力に抵抗する暇もなく、されるがままになっていた。
コンクリに打ちつけられると覚悟したのに激しい衝撃はまったく無く、かえってあたたかい何かに抱き寄せられている、そんな感覚に陥った。
「大丈夫か?雪村。」
「へっ?斎藤…先輩?」
気がつけば、私は斎藤先輩の腕の中にいた。
「すまない。咄嗟に腕を掴み引いてしまったが怪我はないか?」
「はい。おかげさまで…大丈夫みたいです。」
(そうか、こけそうなところを斉藤先輩が助けてくれたんだ。斎藤先輩…やっぱり優しい!)
「千歳ずりぃぞ!一人で校門の中入るなんてよ!おい一君!早く千歳から離れろよ!」
「斎藤!僕の妹に勝手に触れるな!すぐに離れろ!さもなくば…1秒ごとに失点を与えてやる!」
「千歳ちゃん、早く一君から離れなよ。一君に君の間抜けノロマ菌が移ったら困るからさ。一君もいつまで千歳ちゃんの事抱きしめてるわけ?まさかと思うけど…クス…意外と物好きなんだね。」
「なっ…おっ…俺は倒れそうな雪村を助けただけでたっ他意はない///。」
「…」
(なんとか遅刻は免れたけど、なんだかおかしな騒動に発展しちゃった…。これもすべて…)

「はぁ…家の隣に学校があったらな…」
そしたら誰にも邪魔されず真っ直ぐに学校に向かえるし、毎回遅刻騒動に巻き込まれなくて済むのにね…。
そして騒動はなかなか収まる事はなく、結局HRに遅れて遅刻扱いになったのでした(泣)。