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二月から四月まで順に、梅 桃 桜 です。
二月…薄墨の世界がようやく色づき始める頃です。今年は寒さが続き花の開花が遅れ気味ですが、清楚な白梅、可憐な紅梅が花をつけ、微かに香る甘い香りが春の到来を告げます。
三月…桃の節句でおなじみの桃の花。赤子の頬のようにやわらかな紅色がひと際目をひきます。
四月…こぼれんばかりの花が咲き誇る季節。まだ風が寒い季節ですが、人は本格的な春の到来を喜び、花を愛でるのです。
皆さまは梅、桃、桜の違いをご存知ですか?
梅も桃も桜も『バラ目・バラ科・サクラ属』の植物です。
花の大きさも姿もよく似ていますが、花のつき方、花びらの形で見分ける事が出来ます。
梅は花丙(花がついている軸の部分)がなく、枝に直接くっつくように花がついています。
一節に花が一つしかつかないので、少しすかすかした風に見えます。
花びらは丸い形をしています。
だから梅に比べると華やかに見えます。
花びらはとがった形をしています。
梅、桃に比べ花の数が多く、華やかに見えます。
花びらの先は割れた形をしています。
お花見と言えば桜。
桜はこの日の本の国でもっとも一般的でもっとも愛され、そして馴染みのある花です。
桜吹雪という言葉もあり、桜の花が散る様は儚く、そして美しく、人の心を惹きつけて離しません。
しかし奈良時代の頃までは、花と言えば梅を指していたのはご存知ですか?
私は梅の花が散る様は、桜に負けず劣らず美しいと思っています。
残念ながら梅林を見た事はありませんが(苦笑)
先日の巡察に同行していた際、白梅を見つけました。
じっと眺めていると家の主人らしき人が現れ、枝を一振り分けてくれました。
手折った梅から小さな白い花びらが ひらり ひらり と舞い落ちます。
まるで粉雪が舞っているようで…私はその幻想的な景色をぼんやりと眺めていました。
梅の花はとても繊細なのですね。
お礼を言い、梅の枝をそっと抱きかかえると、微かに清涼感のある甘い香りが鼻をくすぐりました。
寒さ厳しい冬は長かったけれど、暖かな春はやはり近づいているのです。
あなたの凍てついた心を溶かす春は…あなたのすぐそばにあるのです。